異邦の占い師
「お嬢さん~ 占いいかがっすか? 安くしときますよ!」
数分後横島が異空間アジトから折りたたみ式の椅子とテーブルと水晶玉を取り寄せて、世界樹前広場で始めたのはなんと占い師だった
しかし見た目二十歳前後でジーンズにバンダナ姿の横島の占いに、客など来るはずがない
まるでかつてのナンパのように客の呼び込みをするが、もちろん止まる人はいなかった
(うーん、占いは得意なんだがなー)
霊能者や神界調査官の能力を持つ横島の占いは、本気になれば予言とも言えるほどである
横島としてはそこまで見るつもりはないが、それでもほどほどに当てる自信はあるのだ
しかし見た目が若い男性の横島ではイマイチ占いが当たる神秘性も信頼感も無かった
その後も横島は様々な人に声をかけるが、軽い口調も影響してか客は一人も来ない
「お兄さん占い得意なん?」
占いを始めてから二時間ほどした頃、制服に身を包んだ中学生くらいの少女が横島の前で止まっている
長い黒髪と京都弁らしき言葉にほんわかとした雰囲気が印象的な、大和撫子のような美少女だった
「ああ、得意だよ。 何でも一回五百円で占うけど、お嬢さんは可愛いから三百円にしとこう!」
興味ありげに見つめてくる少女に、横島は相変わらずの口調で占いの勧誘をする
なんと言うか見る人が見れば、新手のナンパに見えなくもない
(ところであの子…… なんで俺に殺気を向けられるんだ?)
横島が少女に占いを勧めていると、離れた場所から視線と殺気が僅かに横島に向けられてくる
その少女は少しキツめの表情で何故か横島を睨んでいた
「三百円は安いなー うちも占い研究会で得意なんよ。 じゃあ一つ占ってもらおうか」
横島の勧誘にも全く動じない少女は用意した椅子に座り、よほど占いが好きらしく興味ありげに横島を見つめる
「オーケー、何を占って欲しいんだ?」
「うーん、とりあえず明日の運勢でお願いや」
占って欲しいと言うより占いが見たい少女は、少し悩んで明日の運勢を聞いていた
横島は少女が見つめる前で水晶玉にほんの僅かな霊力を込める
すると僅かに水晶玉が輝き、横島には断続的な少女の運勢が見えていた
「水難が見えるな。 水に気をつけた方がいい。 それほど厄介でもないけど、濡れるくらいはあるかもしれないから気をつけてな。 後は…………、特に無いかな」
運勢を見ていた横島は少女に水難が見えるが、同時に明日に関係ない強い出会いの運勢も見えてしまう
(これは……、強い出会いの運勢? しかも相手は俺?)
強い出会いの運勢が見えた横島だが、相手が自分だとなると口に出せないでいた
まあ軽く占っただけなので当たるか外れるかは横島にもわからないし、それが絶対でもない
しかし横島は心の底では理解していた
このままこの街に居れば、この少女との出会いは必然であると……
「水難なんやー 明日は傘でも持って行こうかな? 当たるか楽しみやな~ お兄さんはまた此処に居るん?」
「ああ、しばらくは居ると思うぞ? よかったらまた来てくれよ」
「そかそか、じゃあ当たったらまた来るね」
占いの結果を楽しみにしている少女は、笑顔を残して帰っていく
これが横島忠夫と近衛木乃香のファーストコンタクトであった
この出会いにより横島はこの世界の一部として運命に巻き込まれる事になるのだが、横島がそれに気付くのはまだ先である
数分後横島が異空間アジトから折りたたみ式の椅子とテーブルと水晶玉を取り寄せて、世界樹前広場で始めたのはなんと占い師だった
しかし見た目二十歳前後でジーンズにバンダナ姿の横島の占いに、客など来るはずがない
まるでかつてのナンパのように客の呼び込みをするが、もちろん止まる人はいなかった
(うーん、占いは得意なんだがなー)
霊能者や神界調査官の能力を持つ横島の占いは、本気になれば予言とも言えるほどである
横島としてはそこまで見るつもりはないが、それでもほどほどに当てる自信はあるのだ
しかし見た目が若い男性の横島ではイマイチ占いが当たる神秘性も信頼感も無かった
その後も横島は様々な人に声をかけるが、軽い口調も影響してか客は一人も来ない
「お兄さん占い得意なん?」
占いを始めてから二時間ほどした頃、制服に身を包んだ中学生くらいの少女が横島の前で止まっている
長い黒髪と京都弁らしき言葉にほんわかとした雰囲気が印象的な、大和撫子のような美少女だった
「ああ、得意だよ。 何でも一回五百円で占うけど、お嬢さんは可愛いから三百円にしとこう!」
興味ありげに見つめてくる少女に、横島は相変わらずの口調で占いの勧誘をする
なんと言うか見る人が見れば、新手のナンパに見えなくもない
(ところであの子…… なんで俺に殺気を向けられるんだ?)
横島が少女に占いを勧めていると、離れた場所から視線と殺気が僅かに横島に向けられてくる
その少女は少しキツめの表情で何故か横島を睨んでいた
「三百円は安いなー うちも占い研究会で得意なんよ。 じゃあ一つ占ってもらおうか」
横島の勧誘にも全く動じない少女は用意した椅子に座り、よほど占いが好きらしく興味ありげに横島を見つめる
「オーケー、何を占って欲しいんだ?」
「うーん、とりあえず明日の運勢でお願いや」
占って欲しいと言うより占いが見たい少女は、少し悩んで明日の運勢を聞いていた
横島は少女が見つめる前で水晶玉にほんの僅かな霊力を込める
すると僅かに水晶玉が輝き、横島には断続的な少女の運勢が見えていた
「水難が見えるな。 水に気をつけた方がいい。 それほど厄介でもないけど、濡れるくらいはあるかもしれないから気をつけてな。 後は…………、特に無いかな」
運勢を見ていた横島は少女に水難が見えるが、同時に明日に関係ない強い出会いの運勢も見えてしまう
(これは……、強い出会いの運勢? しかも相手は俺?)
強い出会いの運勢が見えた横島だが、相手が自分だとなると口に出せないでいた
まあ軽く占っただけなので当たるか外れるかは横島にもわからないし、それが絶対でもない
しかし横島は心の底では理解していた
このままこの街に居れば、この少女との出会いは必然であると……
「水難なんやー 明日は傘でも持って行こうかな? 当たるか楽しみやな~ お兄さんはまた此処に居るん?」
「ああ、しばらくは居ると思うぞ? よかったらまた来てくれよ」
「そかそか、じゃあ当たったらまた来るね」
占いの結果を楽しみにしている少女は、笑顔を残して帰っていく
これが横島忠夫と近衛木乃香のファーストコンタクトであった
この出会いにより横島はこの世界の一部として運命に巻き込まれる事になるのだが、横島がそれに気付くのはまだ先である