平和な日常~夏~
「ごちそうさま。 ここはどこで私はだれ?」
「はい……?」
予想外に幼い容姿にも慣れキラキラと輝くような金色の髪に懐かしさを感じる横島だったが、またもや予想外の少女の言葉に再び驚きの表情を見せる
「まさか記憶がないのか?」
「……うん」
恐る恐る記憶を尋ねる横島に少し悲しそうに答えてる少女は、どうやら横島の想定以上に記憶がないらしい
(封印しながら少しずつ力を奪われてたからな。 魂に異常はないみたいだし力が戻れば記憶も戻ると思うが……)
困った様子の少女を横島は軽く霊視して状況を確認するが、幸い魂にも身体にも異常はない
横島自身も金毛白面九尾の魂を持つだけに少女の状況はよく分かるが、転生体は通常覚醒するまではほとんど記憶が戻らないのだ
ちなみにかつてのタマモも、神魔戦争時に覚醒して力や記憶を取り戻している
まあ平和な世の中だったら覚醒しなかった可能性もあるが、何よりも力が必要だった時代なだけに覚醒していたのだ
ただ通常の転生ならば種族としての最低限の記憶や経験はあるのだが、目の前の少女にはそれが欠けている
人間に化けたことからも分かるように全ての記憶や経験が失われた訳ではないのだろうが、自分が誰だか分からないのは想定の範囲外だった
「本当に可愛いですね~ 私もお友達になりたいな……」
「いいよ。 友達になる」
「……私が見えるんですか!?」
一方横島が僅かに考え込んでる間に、さよはいつか見たような光景を繰り返し少女と友達になっている
いろいろと疑問はあるのかも知れないが、気にしたら負けだと考え友達になったらしい
自分が他人には絶対見えないと考えてるさよだが、最近見える相手が増えて嬉しいらしくハニワ兵と二人で自己紹介まで始めていた
「とりあえず約束事を決めようか。 人前で変化をしないことだ。 変化は分かるだろ? 人前で狐から人に変化したらダメなんだ」
「うん、分かった」
「後は名前だな」
横島が考えてる間に話が着々と進み友達になったと喜ぶさよと少女に、横島は本当に必要最低限の約束をさせる
横島の言葉の意味をなんとなく理解してるような少女は静かに頷くが、問題は名前だった
「狐さんだからキーちゃんがいいと思います」
「ポー!」
名前の話になると少女は考え込み、さよは狐から取った名前を勧めるが横島は無言である
少女がどんな名前を名乗るのか横島は知りたかったのだ
「…………タマモ。 私の名前はタマモ」
横島達が静かに見守る中で少女は自らの名を思い出していた
それは彼女が思い出せない記憶を本当は喪失してない何よりの証だろう
名前を名乗りニッコリと嬉しそうに微笑むタマモは、横島が知るタマモより遥かに幼い表情だった
しかしその気高い金毛白面九尾の魂は確かに輝き、横島にかつて失ったモノの大きさをも再認識してしまう
「どうしたの? 私の名前きらい?」
横島の心が揺れたのは僅かに一瞬の間だったが、タマモと名乗った少女は横島の心の揺れを見抜いてしまい自分が悪いのかと悲しそうに見上げる
「いや、そんな訳ないだろう! 今日から一緒に住む家族みたいなもんだからな。 よろしくな……タマモ」
横島も油断していた訳ではなかった
それでも見抜かれたのは、やはりタマモが金毛白面九尾だからだろう
そんな瞬間、横島には何故かかつて自分と出会った時のタマモの記憶が見えてくる
人間への複雑な想いと、理不尽な世界に対する怒りや憎しみや悲しみが……
そして……横島自身へ向けられた微かな希望と感謝が見えていた
「はい……?」
予想外に幼い容姿にも慣れキラキラと輝くような金色の髪に懐かしさを感じる横島だったが、またもや予想外の少女の言葉に再び驚きの表情を見せる
「まさか記憶がないのか?」
「……うん」
恐る恐る記憶を尋ねる横島に少し悲しそうに答えてる少女は、どうやら横島の想定以上に記憶がないらしい
(封印しながら少しずつ力を奪われてたからな。 魂に異常はないみたいだし力が戻れば記憶も戻ると思うが……)
困った様子の少女を横島は軽く霊視して状況を確認するが、幸い魂にも身体にも異常はない
横島自身も金毛白面九尾の魂を持つだけに少女の状況はよく分かるが、転生体は通常覚醒するまではほとんど記憶が戻らないのだ
ちなみにかつてのタマモも、神魔戦争時に覚醒して力や記憶を取り戻している
まあ平和な世の中だったら覚醒しなかった可能性もあるが、何よりも力が必要だった時代なだけに覚醒していたのだ
ただ通常の転生ならば種族としての最低限の記憶や経験はあるのだが、目の前の少女にはそれが欠けている
人間に化けたことからも分かるように全ての記憶や経験が失われた訳ではないのだろうが、自分が誰だか分からないのは想定の範囲外だった
「本当に可愛いですね~ 私もお友達になりたいな……」
「いいよ。 友達になる」
「……私が見えるんですか!?」
一方横島が僅かに考え込んでる間に、さよはいつか見たような光景を繰り返し少女と友達になっている
いろいろと疑問はあるのかも知れないが、気にしたら負けだと考え友達になったらしい
自分が他人には絶対見えないと考えてるさよだが、最近見える相手が増えて嬉しいらしくハニワ兵と二人で自己紹介まで始めていた
「とりあえず約束事を決めようか。 人前で変化をしないことだ。 変化は分かるだろ? 人前で狐から人に変化したらダメなんだ」
「うん、分かった」
「後は名前だな」
横島が考えてる間に話が着々と進み友達になったと喜ぶさよと少女に、横島は本当に必要最低限の約束をさせる
横島の言葉の意味をなんとなく理解してるような少女は静かに頷くが、問題は名前だった
「狐さんだからキーちゃんがいいと思います」
「ポー!」
名前の話になると少女は考え込み、さよは狐から取った名前を勧めるが横島は無言である
少女がどんな名前を名乗るのか横島は知りたかったのだ
「…………タマモ。 私の名前はタマモ」
横島達が静かに見守る中で少女は自らの名を思い出していた
それは彼女が思い出せない記憶を本当は喪失してない何よりの証だろう
名前を名乗りニッコリと嬉しそうに微笑むタマモは、横島が知るタマモより遥かに幼い表情だった
しかしその気高い金毛白面九尾の魂は確かに輝き、横島にかつて失ったモノの大きさをも再認識してしまう
「どうしたの? 私の名前きらい?」
横島の心が揺れたのは僅かに一瞬の間だったが、タマモと名乗った少女は横島の心の揺れを見抜いてしまい自分が悪いのかと悲しそうに見上げる
「いや、そんな訳ないだろう! 今日から一緒に住む家族みたいなもんだからな。 よろしくな……タマモ」
横島も油断していた訳ではなかった
それでも見抜かれたのは、やはりタマモが金毛白面九尾だからだろう
そんな瞬間、横島には何故かかつて自分と出会った時のタマモの記憶が見えてくる
人間への複雑な想いと、理不尽な世界に対する怒りや憎しみや悲しみが……
そして……横島自身へ向けられた微かな希望と感謝が見えていた