平和な日常~夏~

街が夕日に包まれる頃、店内は穏やかな空気が流れていた

夕映は本を読みのどかは勉強をするなど、中高生の女の子が自由気ままにくつろいでいる


「後は火加減さえ気をつければ大丈夫だよ」

一方厨房では、横島が十人近い女の子を相手に料理教室を開いていた

特別料理教室をやるつもりは無かったが、超包子のメンバーで仮設店舗に参加していた女子大生や女子高生が店に料理を教え欲しいと尋ねて来たのだ

相変わらず暇だった横島は店を木乃香に任せて、彼女達に料理を教えていたのである


「その火加減が難しいのよね」

料理教室に参加してのは基本的には超包子のメンバーだったが、何故か千鶴と夏美が混じっていた

まあ理由はちょうど店に居たので、一緒に教わりたいと言い出しただけなのだが……


元々2-Aの少女達は横島の店に来てる者が多かったが、麻帆良祭後は更に来るメンバーが増えていた

昨日の夕方などはクラスの八割ほどが集まってしまい、学校の延長のような流れになったのは記憶に新しい

中等部ではすでに横島の噂が広まっており、ファーストフード感覚で来る少女が多いようだ


「基本的なポイントを押さえれば失敗はしないって。 後は家の火力とかは何回か作れば分かるもんだよ」

この日横島は麻帆良祭でも好評だった特製ハンバーグを教えていたのだが、夏美は火加減に苦戦していた

割と普通に料理は出来る夏美だが、正直本格的な料理をする超包子の面々や千鶴と比べると苦戦するのは当然だろう

結局横島が割と物覚えがいい他の子達を気にしつつ夏美に着いて教えていく



「そういえば、あのストーカー連中はどうなった?」

そんな料理教室も終わり超包子のメンバーが帰ったた後、横島は千鶴に麻帆良祭後の天文部の様子を尋ねる

ちょっとお灸を据えたつもりだったが、万が一悪化していたらもう一度考えなければならないと考えている


「あの時に最後まで残ってた人達は自主退部したらしいです。 他の方には会ってませんが、もう大丈夫だからと先輩が言ってました」

千鶴自身も詳しい裏側は聞かされてないらしいが、実はあの件は麻帆良祭後に天文部でかなり問題になっていたのである

元々天文部の主要メンバーは星を楽しむ者ばかりだし、彼らの行動は以前から問題になっていたらしい

今までは上手く問題にならない程度にやっていたので注意程度で済んだが、今回横島が報道部と組んで証拠を作ってしまった為に大学や高校の天文部が彼らに自主退部を迫ったようだった

他にも途中で逃げた者やあの日参加しなかった連中も居たようだが、今回の件を境に二度と同じことがないように注意と指導の強化が行われるらしい

まあ今回の件がいい教訓となり他は大人しくなるだろうというのが大筋の見方だった


「本当は話して分かってくれるとよかったんですが……」

「話して分かるような連中は途中で逃げ出したからな。 まああの連中さえ辞めればおそらくもうあんなことはないと思うよ」

横島は無事に問題が解決に向かっていることにホッとしているが、千鶴は若干複雑そうである

まあホッとしたのは本心なのだろうが、問題が千鶴の予想以上に大きくなったことは少し悩む要素もあるのかもしれない



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