平和な日常~夏~

そのまま静かな一日が終わり、店は史上最低の売り上げを記録していた

麻帆良祭の反動が来たと思えばおかしくはないが、実は誰も今日は店をやってないと思っているだけだったりする

毎日来てる木乃香達ですら今日は横島も休んでるだろうと思い来なかったのだから、他の客が来るはずは無かった



「柔らかいソファーですね~」

そんな横島が店の後片付けをしてる頃、二階のリビングではさよがソファーを見てはしゃいでいた

日中はどこかに散歩に行っていたさよは、帰宅早々新品のソファーに驚き喜んでいたのだ



「………きゃー!! お化けーーー」

それは突然のことだった

ソファーの上をぴょんぴょんと跳ねて遊んでいたさよは、突然何かを見て悲鳴を上げてしまう

無論幽霊の悲鳴なので一般人には聞こえないが、一階にいた横島には当然聞こえており慌てて二階にやって来る


「どうしたんだ!?」

「おっ、お化けが出たんです!!」

慌てて部屋に入って来た横島にさよは涙目でお化けが出たと訴えるが、そもそも自分もお化けの類だということは忘れてるらしい


「とりあえず落ち着いてくれ。 幽霊の気配なんてないんだが……」

涙目のさよをなんとか宥めつつ一応周囲を霊視する横島だが、そもそも横島は自分のテリトリーに見知らぬ幽霊が近付けばその時点で分かるはずである


「ぽー……」

何かの勘違いかと考えかけた時、横島は扉の影に隠れ困った表情をしているハニワ兵を発見して苦笑いを浮かべた

どうやらさよはハニワ兵を見てしまいお化けと勘違いしたようである


「えーと、さよちゃん。 君に新しい友達を紹介しよう。 俺の友達のハニワ兵だ」

「ぽー!」

ハニワ兵をさよに見られた横島は、少し考えた後にハニワ兵をさよの友達として紹介してしまう


「お化けじゃ……ないんですか?」

挨拶するように短い手を振るコミカルなハニワ兵にさよは怖いのか横島の影に隠れるが、害がないと分かると恐る恐る近付く


「最近のハニワは動くんですね~」

「いいか、さよちゃん。 世の中不思議なことがいっぱいだけど、このハニワ兵は君の友達だ」

ハニワ兵にさよが慣れた頃、横島は一切説明せずにさよの友達として収めてしまう


(全く、カオスのじいさんがハニワ兵の自我を強化するから……)

互いに恐る恐る友達として接するさよとハニワ兵を見つめ、横島は軽くため息をつく

現在稼動してるハニワ兵がアシュタロス時代より強化された件は以前少し説明したが、実はハニワ兵の自我もより確実な物へと強化されていた

この辺りはハニワ兵の強化に関わったドクターカオスの意見により自我が強化されたのだが、自我の強化は個性に繋がり今回さよに見つかったようにドジなハニワ兵まで出現している

非効率的だという意見もあったが、カオスは同じだとつまらないからといいハニワ兵に個性が出るだけ自我を与えた訳だった

結局ちょっとドジなハニワ兵がさよの三人目の友達となる



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