麻帆良祭

その後食事を終えた横島は夕映を誘って麻帆良祭見物に繰り出していた

夕映自身はあまり気にしてなかったが、以前横島が夕映をからかった時に食事をご馳走する約束をしていたことから誘ったのである


「私のことなら気にしなくてもよかったのですが」

「約束は約束だろ。 なんでも好きなものご馳走するぞ」

「今ご飯を食べたばかりです」

横島が人前で夕映を誘ったので美砂達が横島と夕映を見てコソコソと内緒話をしていたことから、夕映は多少意識してしまったらしい

しかし昼食を食べたばかりなのにまた食べ物の話をする横島には、容赦なくツッコミを入れる


「そうか? 俺はまだまだ食えるぞ」

「私に同じだけ求めないで下さい」

どこかズレた話を続ける横島と夕映は、結局夕映の趣味に合わせてジュース巡りをすることになった


「………個性的な味だな……」

「このコーラ牛乳は久しぶりのヒットです」

ジュース巡りを始めた横島と夕映だったが、正直微妙なジュースばかりを選んでいく夕映に横島は何とも言えない表情である

横島としては夕映の味覚を心配したくなるが、肝心の夕映は一口か二口飲むと横島にあげてしまうのだ

美味しいと感じてる訳ではないらしい


「なあ、わざと変なジュース選んでないか?」

「そうですよ。 美味しいジュースが飲みたいなら横島さんの店で十分ですから。 それに個性的なジュースは今しか飲めません」

名前を聞いただけで遠慮したいジュースを五杯くらい飲んだ頃、横島はバツゲームでもしてる気分になり夕映に事情を尋ねるがどうやらわざと変なジュースを飲むのが好きなようである

常識人だと思っていた夕映の変わった趣味に少し驚く横島だが、自分も人のこと言えないだけに笑ってごまかすしかなかった


「なかなか盛況みたいだな」

夕映のお腹が水分で膨れた頃、二人は中等部の校舎を訪れ占い研究会の木乃香の元を尋ねる


「二人とも来てくれたんやね。 じゃあ相性占いがええね」

「ちょっと待って下さい。 何故私と横島さんの相性占いを!?」

二人で来た横島と夕映に当然のように相性占いを進める木乃香だが、半分冗談で半分は本気らしい

どうやら占い研究会に来る客の大半が恋愛絡みの占いを希望するようだ


「あっ、本物の占い屋さん!?」

「プロが来たわよ。 プロが!!」

横島と夕映が木乃香に占ってもらおうとした時、横島に気付いた他の占い研究会のメンバーが騒ぎ出す

実際よく見てみると占い研究会のメンバーの大半は横島が一度は占ったことがある女の子ばっかりだった


「あの、占ってほしいんですけど……」

横島がプロの占い師だという話が広まると会場は混乱しはじめる

何人の女の子が横島に占い師をしてほしいと言い出すと、占い研究会の部員まで占ってほしいと言い出すものだから収集がつかない


「俺いつからプロになったんだ?」

「中等部では結構有名ですからね」

「流石にみんなは無理や。 じゃんけんで五人くらいにすればええと思うわ」

中学生に囲まれ満更でもない表情を見せる横島だったが、いつの間にかプロ扱いされてることには渇いた笑いを浮かべるしか出来なかった

結局木乃香の提案で限定五名だけ横島が占うことになってしまい、すっかり占い研究会のイベント扱いにされていた



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