横島君のお店開店
マホラカフェが開店して三日が過ぎていた
安いメニューと日替わり限定メニューが話題となり、客の入りはまあまあである
「ここか……」
「はい、みなさんが話題にしておられた絶品ランチがあるそうです。 店主の気分でメニューが変わるらしく、その日にならないとメニューは分からないとの事です」
お昼には少し早い午前11時頃、エヴァンジェリン・A・Kマクダウエルと絡繰茶々丸は店の前で店内を覗きつつそんな会話をしていた
麻帆良を出られない彼女にとって数少ない楽しみは食事であり、麻帆良内の飲食店は必ず一度は行くというほどの熱の入れようである
この日どこからか噂を聞き付けた二人は、昼食にとやって来たらしい
「いらっしゃい~」
多少馴れ馴れしい挨拶で迎えた横島を、エヴァは無視したまま一番奥にある席に座る
「本日の限定メニュー一つとコーヒーを一つお願いします」
注文を取りに来た横島に茶々丸は淡々と注文するが、エヴァは相変わらず横島に視線を合わせない
これはエヴァが横島を意識してる訳ではなく、ただ単に誰に対しても同じで人と関わろうとしない為である
(あれが例のバンパイアね。 確かに無茶苦茶な呪い持ちだな)
闇の魔王と異名を取る吸血鬼の少女が麻帆良に居る事は、以前土偶羅より報告があった
登校地獄などと言うアホな呪いだと聞き横島も半信半疑だったが、実際に見てみると言葉がでない
(可哀相に……、中途半端にこの街に括った為にかえって生き地獄だろうよ)
目を合わせるどころか顔すら見ない少女に横島は思わず同情してしまう
表向き魔法界の英雄が倒して封じたとなっているが、実は少女を保護更正させようとしたのだと報告にあったのだ
しかし現状では正体を知る魔法関係者からは忌み嫌われ、10年以上も麻帆良内の中学校を転々と行くだけでなく無理矢理働かされてると聞き何とも言えない気持ちになっていたのであった
(誰だか知らんが助けるならちゃんと助けろよな。 あれじゃ余計に人間が嫌いになるだろうに)
数百年生きてる吸血鬼を無理矢理に更正させようとした英雄とやらに、横島は珍しく苛立ちを感じてしまう
現状のエヴァを見ると生かしも殺しもせずに利用してるだけに見えるのだ
(せめて解呪の方法くらい残してから死ねよな)
誰も解呪出来ない無茶苦茶な呪いを残し行方不明になった英雄に、横島は内心で文句を付けつつ注文された料理を作っていく
「お待たせしました。 本日の限定メニューの春御膳です」
数分後横島が料理を運ぶと、料理を見たエヴァは驚いたようで初めて横島に視線を向けた
この日のメニューは山菜や筍などを使った本格和食だったのだ
筍ご飯と味噌汁から始まり、旬の山菜や筍のオカズが四品で値段が280円だった
予想以上に本格的な料理に、エヴァは初めてどんな人間が作ったのか気になったらしい
「ゆっくりしてくれよ」
横島とエヴァが視線を合わせたのは僅かに数秒であった
エヴァは若い横島に何か言葉に出来ない違和感を感じる
(あの男、裏の人間だな)
横島は力を完全に隠匿して一般人と変わらぬようにしているが、エヴァは長年の経験から何か一般人ではない独特の雰囲気を感じ取っていた
安いメニューと日替わり限定メニューが話題となり、客の入りはまあまあである
「ここか……」
「はい、みなさんが話題にしておられた絶品ランチがあるそうです。 店主の気分でメニューが変わるらしく、その日にならないとメニューは分からないとの事です」
お昼には少し早い午前11時頃、エヴァンジェリン・A・Kマクダウエルと絡繰茶々丸は店の前で店内を覗きつつそんな会話をしていた
麻帆良を出られない彼女にとって数少ない楽しみは食事であり、麻帆良内の飲食店は必ず一度は行くというほどの熱の入れようである
この日どこからか噂を聞き付けた二人は、昼食にとやって来たらしい
「いらっしゃい~」
多少馴れ馴れしい挨拶で迎えた横島を、エヴァは無視したまま一番奥にある席に座る
「本日の限定メニュー一つとコーヒーを一つお願いします」
注文を取りに来た横島に茶々丸は淡々と注文するが、エヴァは相変わらず横島に視線を合わせない
これはエヴァが横島を意識してる訳ではなく、ただ単に誰に対しても同じで人と関わろうとしない為である
(あれが例のバンパイアね。 確かに無茶苦茶な呪い持ちだな)
闇の魔王と異名を取る吸血鬼の少女が麻帆良に居る事は、以前土偶羅より報告があった
登校地獄などと言うアホな呪いだと聞き横島も半信半疑だったが、実際に見てみると言葉がでない
(可哀相に……、中途半端にこの街に括った為にかえって生き地獄だろうよ)
目を合わせるどころか顔すら見ない少女に横島は思わず同情してしまう
表向き魔法界の英雄が倒して封じたとなっているが、実は少女を保護更正させようとしたのだと報告にあったのだ
しかし現状では正体を知る魔法関係者からは忌み嫌われ、10年以上も麻帆良内の中学校を転々と行くだけでなく無理矢理働かされてると聞き何とも言えない気持ちになっていたのであった
(誰だか知らんが助けるならちゃんと助けろよな。 あれじゃ余計に人間が嫌いになるだろうに)
数百年生きてる吸血鬼を無理矢理に更正させようとした英雄とやらに、横島は珍しく苛立ちを感じてしまう
現状のエヴァを見ると生かしも殺しもせずに利用してるだけに見えるのだ
(せめて解呪の方法くらい残してから死ねよな)
誰も解呪出来ない無茶苦茶な呪いを残し行方不明になった英雄に、横島は内心で文句を付けつつ注文された料理を作っていく
「お待たせしました。 本日の限定メニューの春御膳です」
数分後横島が料理を運ぶと、料理を見たエヴァは驚いたようで初めて横島に視線を向けた
この日のメニューは山菜や筍などを使った本格和食だったのだ
筍ご飯と味噌汁から始まり、旬の山菜や筍のオカズが四品で値段が280円だった
予想以上に本格的な料理に、エヴァは初めてどんな人間が作ったのか気になったらしい
「ゆっくりしてくれよ」
横島とエヴァが視線を合わせたのは僅かに数秒であった
エヴァは若い横島に何か言葉に出来ない違和感を感じる
(あの男、裏の人間だな)
横島は力を完全に隠匿して一般人と変わらぬようにしているが、エヴァは長年の経験から何か一般人ではない独特の雰囲気を感じ取っていた