麻帆良祭

さて横島は二日目の仕事に入るのだが、厨房は相変わらずの忙しさだった

まあ昨日に比べればディナーがない分だけ楽ではあるが、客の多さは代わらない為それほど余裕がある訳ではない

じゃがいもなどは箱が何箱も積み上げられており、次々に皮を剥き切られていく

元々調理経験があまりない夕映やハルナは、この期間で随分と包丁に慣れたほどである

はっきり言うと最初に考えてた以上に重労働でキツイと思う者も少なくない

通常の学園祭のレベルを越えた物ことがしたいと、ノリだけで突っ走った者達にとっては働く苦労を痛感してる者もいる

まあ個々の受け取り方は様々だが、総じて言えることはみんな一生懸命だということだろう

特に昨日と今日なんかは余計なことを考える暇がないほど忙しいのだから


ただ横島と組んだ者達はまだ楽だったりする

結局ここまで来ると個々の力量の差よりはチームワークで差が出てしまうのだ

全体の流れを読み周りをまとめることは、超や五月はなかなか真似出来ないことだった

以前横島から幾つかポイントは教わっていたが、それでも忙しくなると早々上手くいくはずもない

他のグループは超や五月にあやかや超包子のメンバーが力を合わせて乗り切っているが、相対的に木乃香達が楽な事実は否定しようがないほどだった


(あの人をどうするべきか難しいネ)

そして横島を知れば知るほど扱いに困っていたのは超鈴音である

元々横島にはさほど力があるように見えなかった為に今までは気にしてなかったが、よく知ると力以外の部分が脅威となりつつあった

超以外は誰も気付いてないことではあるが、横島の厨房での働きをそのまま戦闘ですれば力がなくても脅威となると気付いている


(魔法使いと組まれると困るヨ)

現時点で横島と魔法協会は関係ないが、計画が実行された時に横島がどちらに動くかで微妙に戦況に影響を与える気がしていた

かと言って横島が超の理想や計画に賛同するとも思えない

不安要素は早めに消したいが、いざとなればどうとでも出来るように見えるだけ逆に扱いに悩んでしまうようだ

そんな超の思惑はともかく、仮設店舗はますます繁盛していた

メインに調理する木乃香や千鶴はガスの熱で汗を浮かべるほど大変だったが、それでも次々に料理を作っている

横島を含めて彼女達はコスプレした分だけ普段より大変だったのだが、本人達は気分の問題でさほど気にしてなく楽しんでいるようだ

多少のハプニングや間違いなどはあったが、全体的には順調なまま横島達の担当時間は過ぎればていく



「ちょっと休んで行かなくて大丈夫か?」

「ウチは大丈夫や」

そのまま無事に担当時間が終わった横島は、木乃香・夕映・のどか・ハルナと図書館島に向かっていた

実はこの後、図書館探検部として探検大会の案内係をしなくてはならないのだ

まあ図書館探検部は部員が多いことから横島達は二日目の夕方の一回だけでいいのだが、流石に一回は担当しなければならないようである



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