麻帆良祭

「無理な物は無理だな」

予想外のことで混雑さが増してるが、正直この時点での品数の変更は無理だった

勝手に店の名前を出されて批評されてる事は多少問題がある気もするが、仮に今から抗議しても一度広がった情報はどうしようもない

それに横島は知らないが、麻帆良祭ではこの手の批評を行う者はかなりいる

飲食のみならず各種イベントや出し物など種類も様々で、批評してるサークルや個人は多いのだ

内容によっては抗議や注意されることもよくあるが、始めから抗議などを覚悟してる者も多く相手にするだけ時間の無駄であった



何はともあれ営業は無事に続いて行き、限定ディナーを販売するこの時間は昼以上に忙しくなる

外では一日目の中夜祭でパレードや花火などで盛大に盛り上がっているが、夕食時なだけに店内の席も常に満席だった

限定ディナーはやはりすぐに売り切れるが、集まった客は通常のメニューを頼みトラブルになることはないようだ

加えて今日から売り出したお子様ランチだが、こちらはご飯とカレーに中華料理を少しずつ盛ったお得なメニューである

デザートには小さいながらも特製の桃のゼリーが付いておりかなり好評だった

盛り付けには多少手間がかかっているが調理自体は他の客の注文と一緒に作るなどする為に、さほど手間ではなかったようだ

まあ混雑さを上手く利用して効率的に調理出来たということだろう



「お疲れさま~!」

結局一日目の営業が終わり店内から客が居なくなったのは十時近くになった頃だった

一応オーダーストップが八時半で閉店が九時の予定だったのだが、客が途切れない為に多少時間が伸びていたのだ


「凄いね、あんだけあった食材がほとんど空だよ」

「儲かったわねー」

客が居なくなると疲れた木乃香達はとたんにグッタリとして座り込むが、割と元気な桜子や美砂は空になった冷蔵庫を見て儲かったと笑っている


「余るように注文したんだがな~ 明日はもう少し追加しとくか」

今日の仕入れに関しても絶対に食材不足にならないように考えてはいたが、やはり予測がズレて最終的にもぎりぎりになっていた

実はこの日は仕入れの量が多く冷蔵庫が全然足りない為に、配達して来た冷蔵車と冷凍車がそのまま残って臨時の冷凍庫代わりになっていたのだ

雪広グループ側も販売商品が多く冷蔵や冷凍のコンテナを用意していたが、そちらも入り切らない為に急遽用意した物である

流石に大企業だけあって商品が足りないなどのことが全くなく、横島の気まぐれで急な注文にも即答えているのは流石と言うしかないだろう

まあ実際の担当者達は追加に次ぐ追加でかなり大変な思いはしているのだが、これは嬉しい悲鳴と言うべきである

雪広グループ側が主宰する芸能人のトークショーなどのイベントもたくさんの人を集めており、幾つもの相乗効果が全体的な売り上げ上昇の原因だった

そんな横島がすでに明日の注文を増やそうと考えてる頃、雪広グループ側も販売商品を追加で発注してる最中であり社員が忙しく走り回っていたりする


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