麻帆良祭

「まるでゴキブリホイホイだな」

そのまま千鶴が加わり次の行き先を話し合う少女達だが、千鶴が横島の隣から離れないせいで横島には次々と嫉妬の篭った視線が増えていく

あまりにもアッサリと釣られる男達に横島は苦笑いを浮かべているが、千鶴や美砂達はそんな状況を楽しんでいたりする


「じゃそれで決まりね」

そんな中で美砂を中心に少女達は何かをコソコソと相談をすると、自分達は予定があるから解散するといい横島と千鶴を残して居なくなってしまう

先程まではまだ人が多かったからいいが、横島と千鶴が二人っきりになると嫉妬の視線が更に強くなるのは言うまでもない


「行くか」

「はい」

少女達の思惑を理解している横島はそのまま千鶴と二人でプラネタリウムを後にしていくが、横島と千鶴の後を二十人ほどの男達が尾行している

そしてその後ろを先程居なくなったフリをした木乃香達が尾行しているのだ

横島にしてみればちょっとしたカオスな状況だった


「モテるのも大変なんだな」

「悪い人達ではないんですけど、迷惑なんです」

横島と千鶴を二十人ほどの男と十人ほどの女が尾行する姿は、まるでコントのようだと横島は感じる

一応尾行組は隠れてるつもりらしいが横島や魔法関係者にはまる見えと同じであり、新手の遊びかと聞きたくなる状況だった


「巻き込んでしまってごめんなさいね。 他に頼れる男性が居なくって」

「おっ……俺は別に構わんけどさ~。 素直に迷惑だって言った方が良くないか?」

男達が尾行してることに気付いた千鶴は、そっと横島に腕を絡ませ密着するように歩き出す

その結果横島の腕には久しぶりの柔らかい感触が伝わってしまい、横島の声が一瞬上擦ってしまう


「何度かお願いはしたんですよ。 ただあまり聞いてくれなくって……」

横島が珍しく慌てたような様子で顔が赤くなったのを見て思わずクスクスと笑ってしまう千鶴だが、実際にあの男達に困ってるのは事実らしい

以前にも千鶴の男友達を睨むなど何度か問題を起こした過去があるようだ


「俺があの連中に恨まれそうなんだけど……」

「木乃香さん達がマスターなら上手くやれるし、本当に嫌ならやらないはずだからって言ってましたよ」

千鶴を狙う男達に恨まれるのは嫌だと表情に表すが横島だが、本当に嫌な時ではないと木乃香や夕映に見抜かれていた

本当に嫌ならその前に止めるはずだと彼女達は確信を持ってるらしい


「俺の行動が完璧に読まれてるな」

「助けて下さい。 お礼はしますので」

行動パターンを読まれてる事実に僅かに渇いた笑いを見せる横島に、千鶴は素直に助けてほしいと頼ってしまう

千鶴もまた横島が断らないことを理解している

そして普通に楽しめる天文部に戻したいと考えてるようだった


「面白くなって来たわね!」

「少々悪趣味な気はしますが、那波さんが困ってるのは事実ですからね」

一方横島達から少し離れた距離を尾行している少女達だが、美砂達を中心に盛り上がり木乃香やのどかは千鶴と横島が腕を組んだ時点でドキドキしながら見守っていた

そんな中で比較的冷静な夕映は妙なことになったと考えつつも、目の前の迷惑な男達がどうなるのか興味津々な様子でもある

彼女達は千鶴を助けようと考えつつも、面白い展開になったと楽しんでいたようだった



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