麻帆良祭

それはまさに一触即発と言うのに相応しいような緊張感だった

明日菜達は横島を心配そうに見つめながらも、突然大人しくなった男達に若干不思議そうである

一方男達は一人を除いて一気に酔いが醒めてしまい、自分達がやり過ぎだったと悟り引き際を探し始めるのだが一人が暴走してしまい困っていた


「君達何をしてるんだ!」

その時まるで待っていたかのようなタイミングで現れたのは、魔法教師のガンドルフィーニと高音・D・グッドマンと佐倉メイだった

走って来たガンドルフィーニは無理矢理に横島と男達の間に入り、双方に睨みを効かせる


「すいません。 ちょっと酔っ払ってまして」

ガンドルフィーニの姿にマズイと感じたのか冷静さを取り戻した男が言い訳をしながら横島の胸倉を掴んだ男を引っ張って逃げようとするが、全身黒ずくめに仮面を付けた男達に囲まれて逃げることが出来ない

この全身黒ずくめの男とは高音・D・グッドマンの影の魔法なのだが、見た目は仮装した実行委員のようである


「ぶっ殺す!!」

仲間がなんとか引っ張って冷静にさせようとしていた胸倉を掴んだ男だが、まだ収まらないようで今度はガンドルフィーニに殴りかかるとあっさりと腕を取られて関節を決められてしまう


「なるほど。 君達が何をしたのかよく分かった。 未成年の飲酒に暴行か。 これは警察行きだな」

あまりにあっさりと関節を決められて無力化されたことで、他の男達は抵抗することも出来ずに後から来た警察に引き渡されていく

男達が警察に連れていかれると明日菜達はようやくホッとするが、その時にはすでに横島はいつもと同じ頼りない感じであった


「ありがとうございます、助かりました」

困ったように苦笑いを浮かべる横島はガンドルフィーニ達に深々と頭を下げてお礼を言うが、ガンドルフィーニはしばし無言のまま横島を見ている


「君は……」

「横島です。 マホラカフェって喫茶店やってます」

ガンドルフィーニは横島の名前を聞きようやく顔と名前が一致したようだが、逆に考え込んでしまう

実はガンドルフィーニは横島の顔は知らなかったが、名前は聞いたことがあったのだ

横島の存在自体は春先に調べられた以外は裏ではほとんど知られてる訳ではないが、木乃香のバイト先としては結構有名だった

学園長の孫がはぐれ魔法使いの元でバイトを始めたとなれば当然噂にもなる

加えて学園長自身も交流があると聞けば、いつの間にか学園長の子飼いの人材かとも噂されてる横島だった


「君もみんなも怪我はないか?」

僅かに考え込んでしまったガンドルフィーニだが、学園長の関係者ならば問題ないだろうと頭を切り替え横島や木乃香達に怪我がないか確認していく

明日菜達はのどかを心配するが、怖かった為か多少動揺はしてるが全員怪我がないことにガンドルフィーニ達はホッとしていた



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