麻帆良祭

チアリーディングの公演が終了すると横島達は美砂達三人と合流していた

チアリーディング部は一日に何回か公演があるらしいが、基本的に一人一公演の出演が基本らしくこの後は暇らしいのだ

横島が割引券を持っていた中等部のメイド喫茶に顔を出して一休みする一同だったが、横島はメイドの女の子から御主人様と呼ばれて嬉しそうにデレデレしている


「うちもメイド喫茶にしようかな~」

「私はやりませんよ」

人生初のメイド喫茶に横島は思わずメイド喫茶にしたいと口にするが、明日菜は即答で拒否してのどかは顔を真っ赤にして首を横に振っていた

普通なら冗談で笑えるのだが二人は横島ならばやりかねないと半ば本気で拒否していたのだ


「面白そうね!」

「私やりたい!」

明日菜達と対照的に美砂と桜子は興味津々な様子で話に食いついてくるが、円は苦笑いを浮かべている

三人も横島なら本当にやりかねないと考えており、賛成と反対に分かれたようだが美砂と桜子がどこまで本気かは不明だった


「じゃあ、やるか!?」

「別に反対はしませんけど……、お客さんが男ばっかりになりますよ」

美砂達が賛成したことで更に悪のりしそうになる横島だったが、明日菜の一言に横島は石化したように固まってしまう

横島をよく知ってる明日菜は弱点もよく理解している


「流石ね、アスナ。 一言でマスターを撃沈出来るのはアスナか夕映ちゃんくらいよね」

「撃沈って人聞きの悪いこと言わないでよ。 横島さんノリでやっちゃいそうだけど、お客さんが男ばっかりになったら店辞めちゃいそうだもの」

自分の店にもメイドさんがほしいとテンションを上げていた横島を一言で止めた明日菜を、美砂は感心したように見つめていた

ただ明日菜としては当然のツッコミであり、実は横島も明日菜がツッコミを入れるのを期待していたのには誰も気付かなかったようである

基本的に止めてくれそうな人が居る時に悪のりするのが楽しいのは今のところばれてないようだ


「元気出して。 はい、アーン」

一方桜子はそんな明日菜と美砂などお構いなしに、ここがチャンスだとばかりにケーキを横島に食べさせようとする


「ありがとう美味しいよ。 しかし流石に照れるな~」

女子中等部の喫茶店で、照れた表情でケーキを食べさせて貰う横島はやはり目立っていた

女の子目当てに来ている男達には羨ましげな視線を向けられ、メイド喫茶を運営してる少女達はクスクス笑っているのだ

ただでさえ一人の男が五人も女の子を連れてると目立つのに、そんなことをすれば嫉妬の視線を浴びて当然だった

まあ男達に比べて少女達は割と好意的な様子ではあったが……

大学生くらいの横島が中学生にデレデレする姿は笑えるのだが、どこか憎めない空気を周りに与えていたのである


「よくそんな恥ずかしいこと出来るわね」

「楽しいよ。 アスナもやってみなよ」

「……えっ!?」

そして恥ずかしげもなく横島にケーキを食べさせる桜子に明日菜は若干呆れたような表情をするが、逆に桜子に楽しいからと進められると僅かに顔を赤くして拒否してしまう

食べさせる姿を想像した結果耐えられなかったらしい



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