麻帆良祭

仮設店舗において仕込みや雑用などを終えた横島は一緒に仕込みをしていた少女達を送って帰ろうとするが、2-Aの少女達はせっかくの前夜祭の夜をそう簡単に終えるつもりなど無かった


「じゃあ前夜祭パーティー始めるわよ!」

誰が始めに言い出したのかは分からないが、いつの間にか横島の店で2-Aのパーティーをすることになってしまう

すでに時間は夜の十時を過ぎているが、まだまだ騒ぐ気満々である

一応横島に負担をかけないようにと途中の屋台やコンビニから食べ物やお菓子やジュースなどを持参して持ち込むという、有り難いのか有り難くないのか微妙に悩む行動により横島は場所を提供しただけであった


「いつもすいません……」

すっかり2-Aの一員と化して来ている為か横島に遠慮が減ったクラスメートを横目にあやかは申し訳なさそうに謝罪というかお願いをするが、寮から近くて室内で落ち着いて騒げる横島の店は少女達にとっては絶好の宴会場なようだ


「自由に使ってくれ。 俺はちょっと相手出来ないけどな」

騒ぐ少女達にあちこちから呼ばれる横島だったが、仕事が残ってるからと謝り厨房で明日の注文品のスイーツを作り始める

一緒に騒ぎたいのは山々なのだが、この日も注文品の製作をそろそろ始めないときつくなるのだ


「何を作るん?」

さっそく厨房で調理を始めようとしていたのだが、木乃香やのどかなど数人の少女達が興味津々な様子で横島を見つめている

料理に興味がある少女達は横島が何を作るのか興味があるらしい


「とりあえず和菓子からだな。 明日の朝でいいやつは朝にするんだよ」

地下から小豆やもち粉など和菓子に必要な材料を運ぶとさっそく作り始めるが、結構体力を使うし細かい手間がかかる作業も多かった

それほど特別な製法ではなく一般的な製法だが、全てが手作業な為に手間と時間がかかるのだ

羊羹などは割と簡単なのだが、練り切りなどの技術がいる和菓子は結構大変である

特に茶道部の注文が大変な物が多かった

まあ茶道部の場合は横島の他にも複数の店から和菓子を購入してるらしいが、それでも茶道用の和菓子は大変である


「相変わらずなんでも作れるんですね。 普通は何年も修行して一人前になるはずですが……」

「器用だよね」

大福や羊羹などはすでに驚かない夕映とのどかだが、練り切りなどの繊細な技術の物を作っていると流石に呆れ気味だった

テレビなどで見るような匠の技を鼻歌混じりに再現されると、見てる方は不思議な気持ちになるらしい


「正直そんなに得意じゃないし、作った経験もあんまりないんだけどな」

夕映の常識的なツッコミに若干苦笑いを浮かべる横島だが、この和菓子作成の技術は元々小竜姫の技術だったりする

何故小竜姫が和菓子に詳しく上手いのかは実は横島も知らなく、小竜姫の当時の記憶も今のところ横島には見えてない

横島が知ってるのは小竜姫が割と古い料理に詳しく、昔から和菓子などを作ってたという大まかな記憶のみである

その技術と記憶を元に魔鈴やおキヌなどの現代の技術や知識と合わせる形で、横島は和菓子を作っていた

技術や経験の統合はすでに戦闘関係では経験済みだが、最近料理に関しても技術と経験の統合をしはじめている



57/95ページ
スキ