麻帆良祭

パーティーにはおよそ二百名の関係者が参加しており、会場のあちこちでは複数のグループが出来ている

実際参加者の大半は魔法協会を知らぬ者達だが、それでも麻帆良学園への貢献度は馬鹿に出来ない

世界最大級の学園都市である麻帆良の維持と発展には多額の資金が必要なことは確かであり、その資金の獲得には民間企業の協力が必要不可欠だった

まして麻帆良学園は二十年前にメガロ系の勢力を排除した為に、メガロからの資金が絶たれた過去がある

麻帆良学園と関東魔法協会を独自運営するには何よりも金が必要なのだ

二十年前の苦しい時に麻帆良学園と関東魔法協会を資金面で救ったのは、他ならぬ雪広・那波両家だった

近右衛門を交えた両家は麻帆良学園の独自運営を守る為に、恒久的な財源の確保を目的にした経営戦略を確立させたのである

麻帆良祭の商業化は表向きは国際化に対応した生徒の自立心の育成とされているが、本来の目的は資金確保であり協力企業と麻帆良学園との交流の為でもあった

実際に麻帆良祭関連での経済効果は凄まじく、麻帆良学園も協力企業も莫大な収入源となっている

加えて麻帆良祭で企業と生徒が交流することにより、多彩な人材の確保や各種技術の共同研究などの恩恵にも預かっていた

口の悪い連中は麻帆良学園と雪広・那波は癒着してると陰口を叩くが、陰口を叩く連中もまた清廉潔白とは程遠い連中なのは言うまでもない



少し余談だが各国魔法協会の立場に関してはメガロメセンブリアと地球側国家による極秘条約があり、一定の自治権と自衛権が認められている

この条約は魔法界と地球側との複雑な歴史と関係の賜物のような条約でありかなり複雑なのだが、簡単に言うと魔法協会を魔法界と地球側国家権力から引き離す目的があった

魔法使いを国家が利用したり魔法使いが国家を利用したりしないように、一定の自治権を与え中立的立場にしたのである

まあ現在は関東魔法協会のように立場や関係が変わってる組織も結構あり一概には言えないが、一定の自治権と自衛権は変わらぬ状況だった

麻帆良学園に軍事研なんてサークルがあり、本物の兵器が存在する根本的な理由は自衛権の補助にあったりする

無論関東魔法協会が戦車や戦闘機で戦う訳ではないが、研究開発や対策などは当然行われていた

話を戻すが結局麻帆良学園という巨大都市を維持発展させるのが、並大抵の苦労ではないことは分かって頂けただろう

麻帆良祭を楽しむ生徒や住民の裏では、関係者の様々な努力が存在することは忘れてはならない

今回行われてるパーティーに関しても招待客以外は絶対に入れないと言われており、数年前に世間知らずな国会議員が突然訪れて門前払いを喰らったのは関係者では割と有名な笑い話である

関東魔法協会の存在を知る政治家はまだ大人しいが、知らぬ者は近付いて来る者もまた多かった

今日のパーティーに招待された者達はそんな連中とは一線を置くほどの信頼得が無ければ招待されてない

スパイ天国とも言われる日本で一番防諜に厳しいのが麻帆良学園なのは、諸外国の諜報関係者では有名な事実である

賑やかな麻帆良祭の前夜祭の裏で関係者達は、麻帆良祭の成功を願い今後の話に華を咲かせていく

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