麻帆良祭
横島が美砂と盛り上がる最中も店内には客が続々とやって来ていた
カウンターでは四名で接客しているが、カウンターから人が消える事はほとんどない
「今日は小学生が多いな」
「初等部は準備とか計画的で早いのよ。 先生とか保護者が関わるから」
昨日と同じように混雑してる店内だが、今日は小学生などの小さい子が比較的多かった
美砂いわく初等部の出し物は大人が関わるから徹夜もないし計画的に準備するらしい
従って前日はほとんど準備も終わり麻帆良祭を楽しむ事が多いようだ
苦労して作った店内に目を輝かせる子供達を見ていると、横島も美砂も作ってよかったと心底感じる
「泣き声が聞こえないか?」
「えっ!?」
その時突然泣き声が聞こえると言い出した横島は、立ち上がると店外の方に歩き出す
泣き声など聞こえなかった美砂は半信半疑な様子で横島の後を追うが、二人が見たのは入口から少し離れた場所で転んでアイスを落とした小さな女の子だった
「大丈夫か?」
「怪我はない?」
二人が来た時にはすでに近くの学生や大人が女の子の周りに集まり心配そうに声をかけているが、女の子はなかなか泣き止まない
周りの人が困ったようになだめる中、美砂は気が付くと隣に居たはずの横島の姿を見失っていた
「お嬢ちゃん、これやるよ」
姿が見えなかった横島は何故か再び店内から現れると、手にはソフトクリームを持っており慣れた様子で女の子をなだめていく
「……お金ないの」
横島がソフトクリームを渡すと女の子はようやく泣き止むが、目に涙を溜めたままお金がないからと返そうとする
「そんなこと気にしなくていいから。 せっかくのお祭りなんだからサービスだよ」
サービスだからと言う横島に女の子は迷いの表情を見せるが、周りの大人が横島を援護するように食べていいからと言うと女の子はニッコリと笑ってソフトクリームを食べていく
「また転んじゃダメだから座って食べような」
女の子が泣き止んだことで周りで心配していた者達が散っていくが、横島は近くにあったベンチに女の子を座らせてソフトクリームを食べる姿を見つめていた
「マスター、子供好きなのね」
「可愛い子には優しくしておかないとな」
いつの間にか女の子は笑顔を見せており横島に懐いている
その手際の良さに美砂は驚きの表情を見せるが、横島は女の子の頭を撫でて可愛い子だからと笑っていた
「お嬢ちゃん一人か?」
「ううん、ママと一緒だよ」
そのまま横島は女の子の情報を聞き出すが、どうやら母親は女の子にアイスをあげてここで食べてるように言って買い物に行ったらしい
横島と美砂は母親が来るまで女の子と一緒に居たが、およそ三十分ほどで母親は迎えに来る
ある程度の事情を説明し母親にお礼を言われて親子と別れるが、女の子は元気いっぱいの笑顔を残して去っていく
「小さい頃に優しくされたことって意外と覚えてるわよね。 あの子、将来マスターみたいな人が好みになったりして」
「じゃ十五年ほど待ってみようかな。 優しい美女になってくれるの期待してさ」
ちょっとからかうような美砂に横島は相変わらずな調子で笑っているが、その表情はとても嬉しそうだった
小さな女の子の普通の笑顔を見れたことが、横島は何より嬉しかったのだろう
カウンターでは四名で接客しているが、カウンターから人が消える事はほとんどない
「今日は小学生が多いな」
「初等部は準備とか計画的で早いのよ。 先生とか保護者が関わるから」
昨日と同じように混雑してる店内だが、今日は小学生などの小さい子が比較的多かった
美砂いわく初等部の出し物は大人が関わるから徹夜もないし計画的に準備するらしい
従って前日はほとんど準備も終わり麻帆良祭を楽しむ事が多いようだ
苦労して作った店内に目を輝かせる子供達を見ていると、横島も美砂も作ってよかったと心底感じる
「泣き声が聞こえないか?」
「えっ!?」
その時突然泣き声が聞こえると言い出した横島は、立ち上がると店外の方に歩き出す
泣き声など聞こえなかった美砂は半信半疑な様子で横島の後を追うが、二人が見たのは入口から少し離れた場所で転んでアイスを落とした小さな女の子だった
「大丈夫か?」
「怪我はない?」
二人が来た時にはすでに近くの学生や大人が女の子の周りに集まり心配そうに声をかけているが、女の子はなかなか泣き止まない
周りの人が困ったようになだめる中、美砂は気が付くと隣に居たはずの横島の姿を見失っていた
「お嬢ちゃん、これやるよ」
姿が見えなかった横島は何故か再び店内から現れると、手にはソフトクリームを持っており慣れた様子で女の子をなだめていく
「……お金ないの」
横島がソフトクリームを渡すと女の子はようやく泣き止むが、目に涙を溜めたままお金がないからと返そうとする
「そんなこと気にしなくていいから。 せっかくのお祭りなんだからサービスだよ」
サービスだからと言う横島に女の子は迷いの表情を見せるが、周りの大人が横島を援護するように食べていいからと言うと女の子はニッコリと笑ってソフトクリームを食べていく
「また転んじゃダメだから座って食べような」
女の子が泣き止んだことで周りで心配していた者達が散っていくが、横島は近くにあったベンチに女の子を座らせてソフトクリームを食べる姿を見つめていた
「マスター、子供好きなのね」
「可愛い子には優しくしておかないとな」
いつの間にか女の子は笑顔を見せており横島に懐いている
その手際の良さに美砂は驚きの表情を見せるが、横島は女の子の頭を撫でて可愛い子だからと笑っていた
「お嬢ちゃん一人か?」
「ううん、ママと一緒だよ」
そのまま横島は女の子の情報を聞き出すが、どうやら母親は女の子にアイスをあげてここで食べてるように言って買い物に行ったらしい
横島と美砂は母親が来るまで女の子と一緒に居たが、およそ三十分ほどで母親は迎えに来る
ある程度の事情を説明し母親にお礼を言われて親子と別れるが、女の子は元気いっぱいの笑顔を残して去っていく
「小さい頃に優しくされたことって意外と覚えてるわよね。 あの子、将来マスターみたいな人が好みになったりして」
「じゃ十五年ほど待ってみようかな。 優しい美女になってくれるの期待してさ」
ちょっとからかうような美砂に横島は相変わらずな調子で笑っているが、その表情はとても嬉しそうだった
小さな女の子の普通の笑顔を見れたことが、横島は何より嬉しかったのだろう