横島君のお店開店

「おう、いらっしゃい」

ようやく開店した喫茶店だが、始めての客はやはり明日菜だった


「やっぱりお客さん来てないわね~」

開店早々心配して来た明日菜だが、予想通りお客がいない現状に不安そうである

ちなみに横島の姿は喫茶店のマスターらしく、キッチリした服を着ておりバンダナも外していた

そして木乃香の姿だが、こちらは少し短めのスカート姿にエプロンをしており木乃香の私服である


「宣伝もなんもしてないからな。 こんなもんだろうよ。 まあ気楽にやれればいいや」

開店しても客が来ないことに対しても横島は相変わらず笑っているだけであった

そんな横島には明日菜ばかりでなく流石の木乃香も不安そうだが、来ないものはどうしようもない


「のどかにハルナも来てくれたんやね」

「やはりお客が来てませんね。 味と値段は悪くないのですが……」

明日菜に続いてやって来たのは、夕映と宮崎のどか・早乙女ハルナの三人だった

やはり夕映も客の入りが気になっていたらしく、のどかとハルナを連れて様子を見に来たらしい


「貴方が噂の占い師ね~ 私は早乙女ハルナよ。 こっちは宮崎のどか。 よろしくね」

最近何かと噂になっていた横島を見てハルナはニヤニヤと意味ありげな視線を送りつつ、自分と男の人がかなり苦手なのどかの自己紹介をしていく


「それでは私はイチゴパフェを……」

夕映達はスイーツを中心に頼み明日菜も加わった四人は賑やかにおしゃべりをしていくが、話題の中心はやはり店の今後だった

ちょっと古い店内だが感じは悪くないし頼んだスイーツも絶品だったのだが、やはり客が居ない現状が寂しく感じてしまうらしい


「ニャ~ン」

「こんにちは~ お店出来たんだね!」

「中もマホラ亭の時のまんまね」

「久しぶりに来たわ」

夕映達に続いて来たのは、ビッケともう一匹の子猫を連れた桜子・柿崎美砂・釘宮円の三人だった

ビッケが慣れた様子で横島の元に走り寄る中、もう一匹の子猫は桜子の元を離れない


「来てくれたのか? おかげで本当に助かってるわ。 安くしとくからこれからもよろしくな」

「えへへ……、ビッケったらまた一人で抜け出そうとしたから一緒に来ちゃったよ~」

桜子と話ながらも横島はビッケともう一匹の子猫にミルクを小皿に入れて出す

ビッケはいつものようにすぐに飲むのだが、もう一匹は大人しい性格なのか桜子の元を離れないままだ


「おいで」

桜子の元を離れない子猫だが、横島がそっとミルクの入った皿を差し出すとゆっくりだが歩き出して皿のミルクを舐め始める


「クッキが桜子以外に懐くなんて始めてじゃない?」

「私達でさえ近寄らないのに……」

恐る恐るだが横島の差し出したミルクを子猫であるクッキが飲む姿に、美砂と円は驚き目を見開いてしまう

どうもクッキはかなり人見知りな子猫らしい


「君達もゆっくりしてってな」

ビッケとクッキがミルクを飲む姿を見つつ桜子達も飲み物とスイーツを頼んでおしゃべりに華を咲かせるが、こちらは人に懐かないクッキが懐いた横島の事を興味津々に観察して噂していく


14/28ページ
スキ