麻帆良祭

さて仮設店舗の営業も今日で四日目になり、本番まで今日を入れて二日になる

エヴァとの朝食を終えた横島は仮設店舗に行き仕込みを行いつつ、仕込みに来たメンバーに昨夜作った簡易マニュアルを渡す

このマニュアルには調理する上での優先する食材や、時間帯ごとの作業の区分けなどを出来るだけ簡素化して書かれていた

元になる来店人数は昨年の雪広グループのレストランの売り上げと昨日までの三日間の売り上げを参考にして、今日から麻帆良祭最終日までの来店人数を予測している


「この来店予測は本当なのですか?」

早朝の仕込みのメンバーとして来ていたあやかは、今日の来店予測は昨日よりまた二割ほど増えると書かれているのだから驚きであった

他にも麻帆良祭本番の来店人数は、昨年の雪広グループの売り上げの二倍から四倍の来店人数になるだろうとの予測も書かれていたのだから、驚かない方がおかしい


「そんな真面目に予測した訳じゃないけど、今日は二割から三割は客が増えると思う。 準備の追い込みに入ってる人も多いみたいだし大量注文にも対応したいから、中華まんは多めに頼むな」

普段は料理以外はいい加減な横島だが、今回のイベントはみんなに迷惑が掛からないように割と細かく気を使っている

今日と明日の二日間は中等部や高等部の方では麻帆良祭の準備の追い込み期間であり、そっちの方からの大量注文もすでに想定していた

昼食や夜食なんかに超包子の中華まんを大量注文される可能性があると考えているのだ


「カレーも今日は量が多いですね」

「このカレー作るのに多少手間がかかるからな。 急に客が増えて売り切れになんてしたくないしさ」

横島が今回の為に作ったフレンチカレーは、昨日までの三日間で順調に売り上げを伸ばしている

一度ルーを作れば調理自体も簡単なのが利点なのだが、そのカレーのルーを作るのに手間がかかるのが難点だった

一応超と五月には作り方を教えたが営業中に作るのは難しいと考えている


「から揚げとおからのケーキも評判いいみたいだし今日も継続でいいか。 しかし何か目玉になるような限定メニューが欲しいな」

昨日から出したから揚げとおからのパウンドケーキは両方とも評判が良かった

横島としてはから揚げはともかくオカラのケーキは昨日の限定メニューの予定だったが、思ってた以上に評判がいいので今日も数量限定で販売することにする


「目玉になるメニューですか……、私としてはお店の紅茶が欲しいとこですが」

限定メニューを考える横島にあやかは横島が店で出してる紅茶が欲しいと言い出す

一応仮設店舗でも紅茶は出してるが、手間の関係でティパックの紅茶だったのだ

あやかとしては料理が絶品なだけに飲み物にこだわりたくなったらしい


「紅茶か~ 確かに飲み物は比較的普通なんだよな。 でも紅茶は手間がかかるし……」

ずっとメニューに考えが向いていた横島はあやかの意見に盲点だったと苦笑いを浮かべて考えるが、流石に今から本格的な紅茶を出すのは難しかった



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