麻帆良祭

さてそんな三日目の店の状況だが、すでに初日や昨日来た客がリピーターとなって来はじめていた

客層は六対四で男性が若干多いが、超包子と中等部の女の子を目当てに来てる者も居るのでそんなものだろう

来店人数は初日と二日目は昨年の雪広グループの臨時レストランと比べて五割増しであり、話題性という意味では出だしは成功である

同じ敷地内の雪広グループのパビリオンも昨年より来場者が多く、レストランで使用した食材の販売ブースは売り上げが好調らしい

二日目の段階では肉類と乳製品の売り上げが特によかったらしく、肉類は中華まんなどの影響で乳製品はソフトクリームの影響だと思われる

まあレストランを含めて事前に宣伝活動を結構行っていたので予測の範囲内の売れ行きだったが、それでも個性豊かな麻帆良祭で失敗しなくて雪広グループ関係者は安堵してるらしい


「新メニューが来たぞ。 から揚げとおからのケーキだと」

そんな雪広グループのパビリオンの方にも差し入れという形で新メニューが届いていた

現地の責任者達が集まり新メニューの試食をするが、やはり驚きの表情である


「時代が変わったのか? 俺達の時は文化祭でこんな美味い料理作れなかったぞ」

「誰だよ本家のお嬢様のわがままだなんて言ったの」

文化祭のプレオープン三日目で新メニューを投入するやる気とスピードには、関係者も驚きを通り越して戸惑いのレベルだった

実は今回の計画当初には本家のお嬢様のわがままに付き合わされるのは嫌だとの陰口も僅かにあったが、確かな実績を残されるとぐうの音もでない


「やっぱりあの横島シェフは相当な腕前らしいな。 正直見た目は学生にしか見えんが……」

「マグロの解体の件もあるし頭が上がらないな。 腕の割に腰が低いのが不思議だ」

新メニューの試食をしながら話す関係者達だが、マグロの解体を急遽行った件もあり横島の評価が高かった

ただその割に妙なほど腰が低い横島がちょっとした噂になっているが


「これも美味いな。 商品化出来ないか?」

「超包子の中華まんとマホラカフェのフレンチカレーは商品化も含めて検討に入ってるが、麻帆良祭が終わるまでは話が進まんだろう。 お嬢様には伝えたが麻帆良祭が終わる前の話し合いは無理だと断られた」

試食しながらも関係者達は話し合いを始めていたが、どうやら雪広グループ側は商品化も含めた検討をすでに始めてるようだ


「こんなことなら最初から商品化込みで話を進めたらよかったのに……」

「超包子はともかくマホラカフェはただの喫茶店だぞ。 こんな料理作るだなんて予想出来る訳ないだろう」

予想以上の料理を次々に販売する横島と超に、雪広グループ関係者達は戸惑いの方が多いのかもしれない

正直これだけの完成度の料理が作れると知っていたら、最初から商品化も含めた長期戦略が可能だったのだ

実際に商品化して売れる売れないは別だが、話題性と噛み合わせれば十分にやってみる価値はある

結局臨時店舗の予想以上のレベルに雪広グループ関係者も驚いてる側であった



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