麻帆良祭への道・2

さて仮設店舗の厨房では横島と茶々丸も合流して仕込みに追われていた

届いたばかりの食材を次々に調理していく姿は、本職の料理人にも負けないだろう


「しかし仕込み過ぎじゃないか? こんなに客が来るんか?」

食材を一つ一つ捌いて丁寧に下ごしらえをする横島だったが、仕込みの量が半端でなかった

中華まんの生地などは三百個分は用意しており、超いわくこれでも控え目な数字らしい

中華まんに関しては超包子名物肉まんと新作を三種類に、横島のフレンチカレーを中華まん用にアレンジした麻帆良祭限定品の五種類を販売することになる

実は横島はカレーパンが作りたくて随分悩んだのだが、造る手間を考えると工程が同じ中華まんにするしかなかったようだ


「本番はもっと作るヨ。 みんなに包み方教えたし営業しながらも作る予定ネ」

料理は繊細だが営業自体は割といい加減な横島と違い、超は綿密な計画を立てているらしい

まあ今日は初日の練習も兼ねたプレオープンな為に控え目な計画らしいが……


「茶々丸ちゃん、その鍋の火加減ちょっと弱めてくれ。 それと五月ちゃんの方は塩もう一つまみ入れた方がいいかもしれん」

「何故料理だけそれほど細かいのか不思議ネ。 しかも私達の作業までしっかり見てるのだから驚きヨ」

仕込みは順調に進んでいくが作業が煮込みや味付けになると、横島は時折茶々丸や五月や超にまで口出ししていた

茶々丸の場合はレシピ通りに作れるのだが食材に合わせた細かな応用が出来なく、五月や超は間違いと言えないレベルの微妙なさじ加減の指摘である

流石の超も他の三人の作業を指摘するほど把握出来ないだけに、横島の視野の広さに半ば呆れるほどに驚きだった


「そんな全部見てる訳じゃねえよ。 みんな上手いから重要なポイントに気をつけてれば大丈夫だからな」

「なるほど。 それなら私も出来そうヨ」

横島が厨房を把握するアドバイスを軽くすると、超はすぐさまそれを理解して実行に移していく

理屈の上では個々の腕前と料理ごとのポイントを理解してれば、それほど全部を注視しなくても厨房をコントロール出来るのだが……

それを教えられてすぐさま実行出来る超もまた人並み外れた力量があるのだろう

何はともあれ仕込みは大きなトラブルもなく順調に進んでいく



さてメニューに関してだが、先程説明した中華まん五種類にフライドポテトがカレー・スパイス塩・コンソメの三種類

ソフトクリームがバニラとモモとミックスの三種類、それとおからドーナツでそれらが軽食になる


次にランチについてだが横島が考案した、フレンチカレーライス・フレンチカレーパスタ・特製ハンバーグランチがある

フレンチカレーライスの特徴は具の肉や野菜を自分で選べる点だろう

好きな具を何種類か選んで食べるのである

次に超包子のランチだが、エビチリ・麻婆豆腐・回鍋肉・青椒肉絲など定番中華をメニューに入れていた

基本的にランチは全て五百円で頼んだおかずにご飯と中華スープがついてくる


そしてディナーだが、こちらは日替わりでメニューを変える予定になっていた

千五百円・三千円・五千円のディナーを数量限定で用意する計画である
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