二年目の春・10
一方驚いた様子の横島にタマモはうんうんと満足げだった。
サプライズが成功したことが嬉しいのだろう。
別荘にはタマモが呼んだ多くのハニワ兵も集まっていて、みんなで賑やかに横島の誕生日パーティーをすることになる。
料理はハニワ兵たちと木乃香とのどかが作ったものだ。
「はい、横島さん」
いつもは横島が取り分けてやることが多いが、この日は木乃香やのどかが横島に料理を取り分けてあげていた。
少し恥ずかしそうというか、戸惑った様子の横島に少女達はクスクスと笑っている。
パーティーなどがあれば率先して盛り上げているが、実は自分が主役になるよりはわき役で楽しみたい男だった。
「マスター、誕生日おめでとう!」
「プレゼントは、わ・た・し・だよ♪」
今回はハニワ兵の人数も多いので、別荘の一階のリビングダイニングや庭も使った自由なパーティーといった様子だ。
木乃香たちが作ってくれたごちそうを一口食べた横島は、周りのみんなに見つめられていることに照れた様子を見せながらも嬉しそうだった。
ただいつもと違い大人しい横島と対称的に、少女達とハニワ兵たちは早くも盛り上がっていて横島にも絡んでいく。
例によって桜子とまき絵が横島に抱き着くと、まき絵なんかはどっかのドラマかコントで見たようなセリフを真面目に言っていた。
「ありがとう。嬉しいんだが、引っ付き過ぎだ!! 俺はどっかの保父さんかよ!」
そしてその光景に触発されたタマモや白ハニワ兵が、自分もと横島に抱き着くと悪乗りした美沙や木乃香に千鶴まで加わって、横島は揉みくちゃにされてしまう。
そこで卑猥な様子にならないのが、横島と少女達のいいところなのかもしれない。
「はい、あーん」
「えー! ずるい! 私もー」
「わたしも、あーん!」
「お前ら、そんなに食え……」
ただ日ごろからブレーキ役の少女達が今日はお祝いだからと止めないでいると、今度は少女達が横島に料理を先に食べさせてあげようと競うように料理を口に持っていく。
だがこれは複数で同時にやると最早甘い空気はなく、無理やり食べさせている拷問のようにも見えなくはない。
しかし横島という男は、とことん女子供に甘い。特に自分が気に入った者には。
文句を言いつつ、口いっぱいに頬張るとどこか嬉しそうに笑みを見せていた。
「んっ!!」
「あ、詰まった!?」
「水、みず!!」
尤も横島は別にフードファイターではない。
調子に乗って詰め込むようにどんどん口に入れていく少女達に、とうとう喉に詰まらせてしまう。
「くはははは……」
周りの少女達も流石にやり過ぎたと慌てて水を飲ませて、横島もなんとか落ち着くが、横島はそんな心配する少女達とハニワ兵の姿になぜか一人で爆笑していた。
「横島さん?」
「こっ、壊れた?」
「いや悪い、なんか久々に無茶したなってさ」
爆笑する横島に理解出来ない少女達はやり過ぎたかと反省していたが、横島本人は少し昔のことを思い出していた。
セクハラしてしばかれたり、無茶して怪我をしたりと日常茶飯事だったのだから。
大人になり自分としては落ち着いたと思っている身としては、こうして無茶することが懐かしく感じて楽しかった。
「しかしそれ、他の人にはやるなよ。普通に危ないわ。主神や魔王と戦った時より危なかったぞ」
「うむ。私達は魔王を超えたんだね」
「苦節十五年。悲願だったわ」
横島も落ち着くと少女達はまたすぐに盛り上がっていく。
遠い過去も苦しい過去も笑い話にできることが、横島と少女達の信頼の証だろう。
「タマちゃん。本当に真似したら駄目ですからね? 約束ですよ」
「うん!」
ちなみに夕映とのどかとあやかはタマモを捕まえて、本気でタマモが真似しないようにと言い聞かせていた。
もちろんタマモは抱えている白いハニワ兵と一緒に素直に頷いている。
サプライズが成功したことが嬉しいのだろう。
別荘にはタマモが呼んだ多くのハニワ兵も集まっていて、みんなで賑やかに横島の誕生日パーティーをすることになる。
料理はハニワ兵たちと木乃香とのどかが作ったものだ。
「はい、横島さん」
いつもは横島が取り分けてやることが多いが、この日は木乃香やのどかが横島に料理を取り分けてあげていた。
少し恥ずかしそうというか、戸惑った様子の横島に少女達はクスクスと笑っている。
パーティーなどがあれば率先して盛り上げているが、実は自分が主役になるよりはわき役で楽しみたい男だった。
「マスター、誕生日おめでとう!」
「プレゼントは、わ・た・し・だよ♪」
今回はハニワ兵の人数も多いので、別荘の一階のリビングダイニングや庭も使った自由なパーティーといった様子だ。
木乃香たちが作ってくれたごちそうを一口食べた横島は、周りのみんなに見つめられていることに照れた様子を見せながらも嬉しそうだった。
ただいつもと違い大人しい横島と対称的に、少女達とハニワ兵たちは早くも盛り上がっていて横島にも絡んでいく。
例によって桜子とまき絵が横島に抱き着くと、まき絵なんかはどっかのドラマかコントで見たようなセリフを真面目に言っていた。
「ありがとう。嬉しいんだが、引っ付き過ぎだ!! 俺はどっかの保父さんかよ!」
そしてその光景に触発されたタマモや白ハニワ兵が、自分もと横島に抱き着くと悪乗りした美沙や木乃香に千鶴まで加わって、横島は揉みくちゃにされてしまう。
そこで卑猥な様子にならないのが、横島と少女達のいいところなのかもしれない。
「はい、あーん」
「えー! ずるい! 私もー」
「わたしも、あーん!」
「お前ら、そんなに食え……」
ただ日ごろからブレーキ役の少女達が今日はお祝いだからと止めないでいると、今度は少女達が横島に料理を先に食べさせてあげようと競うように料理を口に持っていく。
だがこれは複数で同時にやると最早甘い空気はなく、無理やり食べさせている拷問のようにも見えなくはない。
しかし横島という男は、とことん女子供に甘い。特に自分が気に入った者には。
文句を言いつつ、口いっぱいに頬張るとどこか嬉しそうに笑みを見せていた。
「んっ!!」
「あ、詰まった!?」
「水、みず!!」
尤も横島は別にフードファイターではない。
調子に乗って詰め込むようにどんどん口に入れていく少女達に、とうとう喉に詰まらせてしまう。
「くはははは……」
周りの少女達も流石にやり過ぎたと慌てて水を飲ませて、横島もなんとか落ち着くが、横島はそんな心配する少女達とハニワ兵の姿になぜか一人で爆笑していた。
「横島さん?」
「こっ、壊れた?」
「いや悪い、なんか久々に無茶したなってさ」
爆笑する横島に理解出来ない少女達はやり過ぎたかと反省していたが、横島本人は少し昔のことを思い出していた。
セクハラしてしばかれたり、無茶して怪我をしたりと日常茶飯事だったのだから。
大人になり自分としては落ち着いたと思っている身としては、こうして無茶することが懐かしく感じて楽しかった。
「しかしそれ、他の人にはやるなよ。普通に危ないわ。主神や魔王と戦った時より危なかったぞ」
「うむ。私達は魔王を超えたんだね」
「苦節十五年。悲願だったわ」
横島も落ち着くと少女達はまたすぐに盛り上がっていく。
遠い過去も苦しい過去も笑い話にできることが、横島と少女達の信頼の証だろう。
「タマちゃん。本当に真似したら駄目ですからね? 約束ですよ」
「うん!」
ちなみに夕映とのどかとあやかはタマモを捕まえて、本気でタマモが真似しないようにと言い聞かせていた。
もちろんタマモは抱えている白いハニワ兵と一緒に素直に頷いている。
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