二年目の春・10
放課後になると横島の店では、いつものように学生達で賑わっていた。
話題は麻帆良祭のことであり、3-Aの出し物の順位なんかが何位になるのかということで盛り上がっている。
あとはバンド大会での活躍の影響で、タマモがまたもや大人気だった。
「珍しいよなぁ。アナスタシアがご馳走してくれるなんて」
横島自身はそんな常連のお客さん達にからかわれたりしていたが、いつもと違うのは夕食の支度が不要なことだろう。
どうやら横島は本当に自分の誕生日を忘れてるらしく、今夜の誕生日パーティーはエヴァが夕食をご馳走するという名目で夕食の支度をしないでいいと言われたらしい。
「まあ、たまにはいいんじゃない?」
木乃香とのどかは一足先にパーティー会場の異空間アジトで準備をしているが、明日菜はバイトとして店で働いている。
すっかり自分の誕生日を忘れてる横島に明日菜は、本当に神様や魔王を超える凄い人なんだろうかと疑問を抱く。
まあ、横島が変なのは今に始まったことではない。凄いけど変なのが横島だったのであまり気にしてないが。
「タマちゃん、ただいま~」
「まきえちゃん、おかえり!」
そのまま横島がのんびりと仕事をしつつ常連の少女達の愚痴や恋愛相談なんかを聞いていると、まき絵と亜子が学校から帰ってくる。
当然のようにタマモにただいまと言うと、まき絵はタマモを抱き抱えて一緒に喜びの笑顔を見せる。
「マスター、ただいま!」
「おう、おかえり。……だから抱きつくなって! もう子供じゃないんだから!!」
ただし、まき絵がタマモと同じノリで横島にも抱きつくと、横島は相変わらず困った表情をしつつ受け止めている。
明日菜もいつものことだと笑っているし、まき絵は美沙と違い横島を意識して誘惑してる訳ではない。
他のメンバーと違いまき絵だけは抱き付いてもいやらしさがないのは、まき絵にとっては好都合だった。
尤もまき絵もまた成長している。
横島に男性を意識しているし、恋愛感情もある。
ただどうしても子供っぽさが前面に出ているのが幸いと言えば幸いだった。
以前は子供っぽさがコンプレックスだったが、元々細かい事を気にしない性格なうえに子供っぽさを気にしない横島にも影響された部分もあるし、割と役得な立場でもあるので以前よりは気にしなくなっている。
単純に横島やみんなと一緒にいるのが楽しいというのも大きいが。
この時期の夕暮れは遅い。
夕食時になると流石にお客さんも減っていて、今日はアナスタシアに夕食をご馳走になるからと店も早めに閉めて待っている。
「揃っているな。ではいくか」
アナスタシアが店に顔を現したのは、いつものメンバーと雪広さやかが集まった頃だった。
教師である高畑と刀子が少し前に来ていて、一部の少女はお腹が空いたと騒いるところだ。
いつものように異空間アジトに転移した一行は慣れた様子で別荘に向かうが、横島だけは相変わらず何も気づいてない。
「おっ、なんかのパーティーか? 言ってくれればご馳走作ったのに……」
別荘の中はタマモとハニワ兵達が飾りつけをしたので、横島もなんかのパーティーだとすぐに気付く。
知っている人の誕生日はないし、麻帆良祭の打ち上げパーティーかと考えているらしい。
「せーの、たんじょうびおめでとう!」
ハニワ兵は木乃香達が作ったご馳走を前に、タマモはワクワクを隠し切れない様子で今回のパーティーのネタ晴らしをする。
「おめでとう!!」
タマモの掛け声に合わせて他もみんなが横島の誕生日を祝うように声を掛けると、横島は鳩が豆鉄砲を食ったような顔でポカーンとする。
「そういや、今日は俺の誕生日か……」
素で忘れていた横島の気持ちを理解するのか、高畑は少し苦笑いを浮かべていたが。
横島はこんなにたくさんの人にお祝いされたのは初めてだった。
話題は麻帆良祭のことであり、3-Aの出し物の順位なんかが何位になるのかということで盛り上がっている。
あとはバンド大会での活躍の影響で、タマモがまたもや大人気だった。
「珍しいよなぁ。アナスタシアがご馳走してくれるなんて」
横島自身はそんな常連のお客さん達にからかわれたりしていたが、いつもと違うのは夕食の支度が不要なことだろう。
どうやら横島は本当に自分の誕生日を忘れてるらしく、今夜の誕生日パーティーはエヴァが夕食をご馳走するという名目で夕食の支度をしないでいいと言われたらしい。
「まあ、たまにはいいんじゃない?」
木乃香とのどかは一足先にパーティー会場の異空間アジトで準備をしているが、明日菜はバイトとして店で働いている。
すっかり自分の誕生日を忘れてる横島に明日菜は、本当に神様や魔王を超える凄い人なんだろうかと疑問を抱く。
まあ、横島が変なのは今に始まったことではない。凄いけど変なのが横島だったのであまり気にしてないが。
「タマちゃん、ただいま~」
「まきえちゃん、おかえり!」
そのまま横島がのんびりと仕事をしつつ常連の少女達の愚痴や恋愛相談なんかを聞いていると、まき絵と亜子が学校から帰ってくる。
当然のようにタマモにただいまと言うと、まき絵はタマモを抱き抱えて一緒に喜びの笑顔を見せる。
「マスター、ただいま!」
「おう、おかえり。……だから抱きつくなって! もう子供じゃないんだから!!」
ただし、まき絵がタマモと同じノリで横島にも抱きつくと、横島は相変わらず困った表情をしつつ受け止めている。
明日菜もいつものことだと笑っているし、まき絵は美沙と違い横島を意識して誘惑してる訳ではない。
他のメンバーと違いまき絵だけは抱き付いてもいやらしさがないのは、まき絵にとっては好都合だった。
尤もまき絵もまた成長している。
横島に男性を意識しているし、恋愛感情もある。
ただどうしても子供っぽさが前面に出ているのが幸いと言えば幸いだった。
以前は子供っぽさがコンプレックスだったが、元々細かい事を気にしない性格なうえに子供っぽさを気にしない横島にも影響された部分もあるし、割と役得な立場でもあるので以前よりは気にしなくなっている。
単純に横島やみんなと一緒にいるのが楽しいというのも大きいが。
この時期の夕暮れは遅い。
夕食時になると流石にお客さんも減っていて、今日はアナスタシアに夕食をご馳走になるからと店も早めに閉めて待っている。
「揃っているな。ではいくか」
アナスタシアが店に顔を現したのは、いつものメンバーと雪広さやかが集まった頃だった。
教師である高畑と刀子が少し前に来ていて、一部の少女はお腹が空いたと騒いるところだ。
いつものように異空間アジトに転移した一行は慣れた様子で別荘に向かうが、横島だけは相変わらず何も気づいてない。
「おっ、なんかのパーティーか? 言ってくれればご馳走作ったのに……」
別荘の中はタマモとハニワ兵達が飾りつけをしたので、横島もなんかのパーティーだとすぐに気付く。
知っている人の誕生日はないし、麻帆良祭の打ち上げパーティーかと考えているらしい。
「せーの、たんじょうびおめでとう!」
ハニワ兵は木乃香達が作ったご馳走を前に、タマモはワクワクを隠し切れない様子で今回のパーティーのネタ晴らしをする。
「おめでとう!!」
タマモの掛け声に合わせて他もみんなが横島の誕生日を祝うように声を掛けると、横島は鳩が豆鉄砲を食ったような顔でポカーンとする。
「そういや、今日は俺の誕生日か……」
素で忘れていた横島の気持ちを理解するのか、高畑は少し苦笑いを浮かべていたが。
横島はこんなにたくさんの人にお祝いされたのは初めてだった。