麻帆良祭への道
「まあ冗談はともかく、目的は同じだったようネ」
「このままだと間に合いませんからね」
グッタリした横島に満足したような超と葉加瀬はようやく本題に入るが、どうやら二人も準備をしに来たようである
先程の言葉が何処まで本気だったのかは分からないが、横島をからかっていたのは確かだろう
「確かに間に合わんだろうが、こんな時間に作業したらマズイんだろ?」
満足そうな超達とは対照的に横島は苦笑いを浮かべて答えるが、超と葉加瀬は寮に戻らないこともよくあると笑っている
工学部に出入りする二人は、徹夜で工学部の研究室に泊まり込むこともよくあるらしい
「じゃあ続けましょうね」
そして超と葉加瀬が規則を無視してこれから作業をすると分かると、当然千鶴も帰る気を無くして作業に戻ってしまう
「まあいいか」
結局明日みんなを驚かせようと張り切る三人を、横島は止める事は出来なかった
その後何だかんだ言いつつ作業を再開するが、日頃サポートをしている横島や超が作業に徹すると驚くほど早く進んでいく
まあ2-Aのみんなも悪気はないのだろうが、慣れない上におしゃべりなどをしながら作業するのでお世辞にも効率がいいとは言えなかったのである
「こんなもんか?」
「よく出来てると思いますよ」
時間が深夜一時を回り作業が一段落した横島は出来上がった物を見ていたが、それは木製の椅子とテーブルだった
当初はファミレスやフードコートにあるような椅子やテーブルがあったのだが、インテリアに合わない事から別の物を用意していたのだ
無論一から作るのではなく組み立てるだけのアウトドア用の既製品だったが、それでも数が多いだけに一苦労だった
横島は千鶴の手伝いを受けつつ僅か数時間で全部組み立てたのだから驚異的なスピードである
一方の超と葉加瀬だが、二人は照明などの取り替えなどを中心に行っていた
これも本来は普通の照明だったのだが、オイル式のランプなどに交換する予定だったのである
基本的に2ーAの少女達では時間のかかる物や大変な物を中心に進めていた
「ちょっと休憩してていいぞ。 なんか夜食作ってくるわ」
作業が一段落した事で横島は千鶴を休憩させて自身は夜食でも作ろうと厨房に行くが、千鶴が手伝うからと一緒に着いて来る
そのまま横島と千鶴は日中の残り物の食材で夜食を作り始めるが、ふと千鶴は料理をする横島を静かに見つめていた
(やっぱり不思議な人ですね)
千鶴が横島とよく会うようになったのは麻帆良祭関連の時からなので割と最近なのだが、すでに一緒に居ても違和感なく馴染んでる自分自身に驚きであった
その美しい容姿と実家の家柄のせいで男性には正直警戒感も強かった千鶴だったが、横島には何故かそれが感じなくなっているのが不思議なようだ
那波重工の娘である千鶴には、良くも悪くも多くの男性が近寄って来るのが常だったのだから
(近付けば近付くほど、引き込まれそうになる気がするわ。 みんなが騒ぐはずね)
この時、千鶴はこれ以上横島に近付けば自分も引き込まれるような予感めいた確信を持っていた
それは明日菜や木乃香達など、横島と親しい者達のこの数ヶ月の変化を見ているため尚更そう感じるのだろう
(でも……離れるのは悲しいわね)
横島に近付けば自分も変われるかもしれないと感じた千鶴は、このきっかけを無駄にしたくないと考えている
それが恋愛の情なのかは分からないが、木乃香達のように本音で甘えたいと願わずにはいられなかった
「このままだと間に合いませんからね」
グッタリした横島に満足したような超と葉加瀬はようやく本題に入るが、どうやら二人も準備をしに来たようである
先程の言葉が何処まで本気だったのかは分からないが、横島をからかっていたのは確かだろう
「確かに間に合わんだろうが、こんな時間に作業したらマズイんだろ?」
満足そうな超達とは対照的に横島は苦笑いを浮かべて答えるが、超と葉加瀬は寮に戻らないこともよくあると笑っている
工学部に出入りする二人は、徹夜で工学部の研究室に泊まり込むこともよくあるらしい
「じゃあ続けましょうね」
そして超と葉加瀬が規則を無視してこれから作業をすると分かると、当然千鶴も帰る気を無くして作業に戻ってしまう
「まあいいか」
結局明日みんなを驚かせようと張り切る三人を、横島は止める事は出来なかった
その後何だかんだ言いつつ作業を再開するが、日頃サポートをしている横島や超が作業に徹すると驚くほど早く進んでいく
まあ2-Aのみんなも悪気はないのだろうが、慣れない上におしゃべりなどをしながら作業するのでお世辞にも効率がいいとは言えなかったのである
「こんなもんか?」
「よく出来てると思いますよ」
時間が深夜一時を回り作業が一段落した横島は出来上がった物を見ていたが、それは木製の椅子とテーブルだった
当初はファミレスやフードコートにあるような椅子やテーブルがあったのだが、インテリアに合わない事から別の物を用意していたのだ
無論一から作るのではなく組み立てるだけのアウトドア用の既製品だったが、それでも数が多いだけに一苦労だった
横島は千鶴の手伝いを受けつつ僅か数時間で全部組み立てたのだから驚異的なスピードである
一方の超と葉加瀬だが、二人は照明などの取り替えなどを中心に行っていた
これも本来は普通の照明だったのだが、オイル式のランプなどに交換する予定だったのである
基本的に2ーAの少女達では時間のかかる物や大変な物を中心に進めていた
「ちょっと休憩してていいぞ。 なんか夜食作ってくるわ」
作業が一段落した事で横島は千鶴を休憩させて自身は夜食でも作ろうと厨房に行くが、千鶴が手伝うからと一緒に着いて来る
そのまま横島と千鶴は日中の残り物の食材で夜食を作り始めるが、ふと千鶴は料理をする横島を静かに見つめていた
(やっぱり不思議な人ですね)
千鶴が横島とよく会うようになったのは麻帆良祭関連の時からなので割と最近なのだが、すでに一緒に居ても違和感なく馴染んでる自分自身に驚きであった
その美しい容姿と実家の家柄のせいで男性には正直警戒感も強かった千鶴だったが、横島には何故かそれが感じなくなっているのが不思議なようだ
那波重工の娘である千鶴には、良くも悪くも多くの男性が近寄って来るのが常だったのだから
(近付けば近付くほど、引き込まれそうになる気がするわ。 みんなが騒ぐはずね)
この時、千鶴はこれ以上横島に近付けば自分も引き込まれるような予感めいた確信を持っていた
それは明日菜や木乃香達など、横島と親しい者達のこの数ヶ月の変化を見ているため尚更そう感じるのだろう
(でも……離れるのは悲しいわね)
横島に近付けば自分も変われるかもしれないと感じた千鶴は、このきっかけを無駄にしたくないと考えている
それが恋愛の情なのかは分からないが、木乃香達のように本音で甘えたいと願わずにはいられなかった