二年目の春・10
妙神山での日々で変わった事はそれなりにある。
小竜姫の修行の過程でジークにも魔族仕込みの戦闘術を教わったりして親しくなったし、時々ふらっとやって来る雪之丞とも親しくなった。
西条とは相変わらずケンカが絶えなかったが、横島と美智恵の関係が悪化していくと一番苦労していたのは西条になる。
神魔大戦初期にはオカルトGメンやGS協会や国などの方の情報を令子や横島に流していたのも彼であり、強権を発動なり超法規的に令子や横島を戦わせようとした者達を相手に人権などを楯にして戦ったのも彼なのだ。
結局令子は嫌気がさしてGS自体を廃業して異空間アジトに移住してしまうが、西条は最後まで横島側と人間側の調整をしていた過去があり、美智恵と違い異空間アジトも一部のアシュタロス関連の施設以外は自由に出入りをしていた。
美智恵の方はあまり横島との和解に積極的ではないというか、自分が悪役となり上手くいくならそれでいいと考えていた節がある。
ただ美智恵と令子・横島は、お互いの価値観の違いが時を重ねる事に明らかとなり上手く行かなくなっていた。
美智恵はあくまでも人間世界を存続させる事を考えていたが、令子はそんな気は更々なく横島も同様だった。
どちらが正しいという訳でもなくどちらが悪い訳でもない。
「この料理も、元々俺のじゃないんだよなぁ。 実は。」
「それって、どういう……」
少し話が逸れたが横島はそんな昔の事を思い出しながらも、妙神山での生活を語っていた。
そんな中でふと思い出したかのように料理の腕前について語ると、周囲の反応が変わる。
「借りたのは力だけじゃないんだ。 経験とか知識とか。 記憶は完全じゃないけど。」
「つまり魂を分けてもらった人の料理の技術だと?」
「まあな。 何人か居る人の技術や知識を統合して使ってる感じか。 元々は戦うときにバランスが悪くて技術とか経験を統合したんだけど、こっち来てから使い道ないしさ」
借りたという言葉は元の相手への敬意の意味もある。
正直もう返す事は不可能に近く、それこそコスモプロセッサーでも使わないと分離出来ないほど完全に融合している。
「そんなこと出来るんだ……」
「奇跡っちゃあ奇跡だな。 同じことやろうとしても二度と出来ないしな。」
横島の料理の腕前の秘密に驚く少女達。
二度と出来ないということを一度は出来てしまった事に驚いていた。
「人格まで統合したのですか?」
「いや、そこまでは出来なかったな。 理由はよく分からん。 魂が安全装置のようにブレーキ掛けたのかもしれんし。 推測は出来るがな。」
「ならそれは横島さんの料理では?」
「うん。 そう思う。」
少し申し訳無さげにメッキの剥がれた自分の秘密を語る横島に、真っ先に反応したのは夕映だった。
例えるのは難しいが、誰の意思により成したのかということこそ重要であり、横島が借りた知識や技術で作った料理でもそれはもう横島の料理になるのではと口にする。
「よくある例えだと、武器が悪いのか人が悪いのかというようなものですね。」
「マスターとおんなじこと出来なさそうだよね。 技術云々じゃなく発想的に。」
「うん。うん。」
なんとなく負い目がある横島に少女達は、多少ズルはしても横島が作った料理まで否定するのは間違いではと考えていた。
同じ経験や知識があっても同じ物を作れる訳ではない。
それは少女達にもよく分かった。
小竜姫の修行の過程でジークにも魔族仕込みの戦闘術を教わったりして親しくなったし、時々ふらっとやって来る雪之丞とも親しくなった。
西条とは相変わらずケンカが絶えなかったが、横島と美智恵の関係が悪化していくと一番苦労していたのは西条になる。
神魔大戦初期にはオカルトGメンやGS協会や国などの方の情報を令子や横島に流していたのも彼であり、強権を発動なり超法規的に令子や横島を戦わせようとした者達を相手に人権などを楯にして戦ったのも彼なのだ。
結局令子は嫌気がさしてGS自体を廃業して異空間アジトに移住してしまうが、西条は最後まで横島側と人間側の調整をしていた過去があり、美智恵と違い異空間アジトも一部のアシュタロス関連の施設以外は自由に出入りをしていた。
美智恵の方はあまり横島との和解に積極的ではないというか、自分が悪役となり上手くいくならそれでいいと考えていた節がある。
ただ美智恵と令子・横島は、お互いの価値観の違いが時を重ねる事に明らかとなり上手く行かなくなっていた。
美智恵はあくまでも人間世界を存続させる事を考えていたが、令子はそんな気は更々なく横島も同様だった。
どちらが正しいという訳でもなくどちらが悪い訳でもない。
「この料理も、元々俺のじゃないんだよなぁ。 実は。」
「それって、どういう……」
少し話が逸れたが横島はそんな昔の事を思い出しながらも、妙神山での生活を語っていた。
そんな中でふと思い出したかのように料理の腕前について語ると、周囲の反応が変わる。
「借りたのは力だけじゃないんだ。 経験とか知識とか。 記憶は完全じゃないけど。」
「つまり魂を分けてもらった人の料理の技術だと?」
「まあな。 何人か居る人の技術や知識を統合して使ってる感じか。 元々は戦うときにバランスが悪くて技術とか経験を統合したんだけど、こっち来てから使い道ないしさ」
借りたという言葉は元の相手への敬意の意味もある。
正直もう返す事は不可能に近く、それこそコスモプロセッサーでも使わないと分離出来ないほど完全に融合している。
「そんなこと出来るんだ……」
「奇跡っちゃあ奇跡だな。 同じことやろうとしても二度と出来ないしな。」
横島の料理の腕前の秘密に驚く少女達。
二度と出来ないということを一度は出来てしまった事に驚いていた。
「人格まで統合したのですか?」
「いや、そこまでは出来なかったな。 理由はよく分からん。 魂が安全装置のようにブレーキ掛けたのかもしれんし。 推測は出来るがな。」
「ならそれは横島さんの料理では?」
「うん。 そう思う。」
少し申し訳無さげにメッキの剥がれた自分の秘密を語る横島に、真っ先に反応したのは夕映だった。
例えるのは難しいが、誰の意思により成したのかということこそ重要であり、横島が借りた知識や技術で作った料理でもそれはもう横島の料理になるのではと口にする。
「よくある例えだと、武器が悪いのか人が悪いのかというようなものですね。」
「マスターとおんなじこと出来なさそうだよね。 技術云々じゃなく発想的に。」
「うん。うん。」
なんとなく負い目がある横島に少女達は、多少ズルはしても横島が作った料理まで否定するのは間違いではと考えていた。
同じ経験や知識があっても同じ物を作れる訳ではない。
それは少女達にもよく分かった。