二年目の春・9
「平穏が壊れたのは、神族と魔族が本格的に争いを始めたからだ。 まあきっかけはアシュ様なのだがな。」
十年ほど平穏に暮らしていた横島の状況に変化をめたらしたのが神魔の争いだった。
その事実に少女達は戸惑いを隠せないでいる。
神とは絶対的なものでも人々を守る存在でもない。
神族という一つの種族なのだとこの時ようやく理解したのかもしれない。
「神魔のバランスが崩れた影響は大きかった。 直接神魔の闘いに巻き込まれなくとも天変地異や異常気象など人間界への影響はあちこちに現れたからな。」
神話クラスの事件に続き僅か十年で世界は崩壊に向かう。
「ただ横島がそれに最初から直接関わっていた訳ではない。 当時の横島はルシオラの力で強くなったが、相手は神魔なのだ。 手に負える事態ではなかったからな。」
神魔戦争初期の横島はまだ平穏な日々が続いていた。
人間界における神魔の戦闘もあったが、神界屈指の武闘派である斉天大聖のいる妙神山に被害が及ぶことはなかったのだ。
しかし天変地異や異常気象は、世界を人間達を混乱させ狂わせていく。
最初に問題になったのは、局地的な食料不足による飢餓の発生だった。
国連や各国は食料や資金を援助しようとしたが、一部の国が拒否してしまう。
すでに国家の中枢は神魔戦争を把握していて、現状のレベルでの世界の維持は不可能だと考え対策を始めていたのだ。
地下に大規模シェルターの建設を開始して食料の輸出も事実上停止する国が相次いだ。
自国民を飢えさせてまで他国に食料を輸出するおめでたい国など存在しないし、各国の国民もそれを支持した。
グローバル社会が崩壊して、各国は生き残る為のサバイバルに突入する。
「その頃の横島は妙神山と、この異空間世界を行ったり来たりしていた。 横島も自分の身近な者だけは、ここに避難させたりしていたからな。」
異空間アジトが活気づいたのはこの頃からだった。
元々ドクターカオスが住み着いてはいたが、横島の数少ない友人や知人を異空間アジトに避難させていたし。
日本政府や人間社会にあまりいい記憶がない横島も、日本に支援物資を送ることだけは認めざるを得なかった。
美神美智恵や唐巣などは異空間アジトへの人類の避難を考えてはいたが、こちらは横島と令子の反対により頓挫している。
横島自身もその気はなかったが、何より令子が強固に反対していたことでどうしようもなかったというのが結果だろう。
「結果として神魔の争いは膠着状態になった。 元々神魔の上層部は本格的な争いに否定的だったからな。 しかしそれで収まらない者達は人間を利用し襲い戦線を拡大して行った。」
降着したまま数年の年月が流れ、世界の中には世紀末のような無法地帯となった国や地域も多かった。
日本は島国であることと横島からの援助で国家の体制は維持していたが、神魔戦争初期には中国や朝鮮半島とは国交断絶していて双方の国民が完全に引き揚げる事態にもなったし。
神魔戦争中期には第二次日中戦争も起きた。
飢餓や混乱の批判からの逃れる為には外敵を作るのが一番だったし、口減らしの意味もあった。
そちらも結局は横島が援助して迎撃しつつ中国の崩壊により事実上の終戦になるまで、局地戦を中心に続いたが。
この時代は戦争は世界各地で起きていて、決して珍しいものではなかったのだ。
「主戦派は焦れたのだろうな。 次第に闘いに協力しない同族や人間に矛先を向けた。 連中はそんな者達を一網打尽にする為に敵対していた神魔の主戦派が手を組み罠を仕掛けた。」
世界の運命を決定的にしたのは、神魔の主戦派による謀略だった。
神魔の非主戦派は和平に奔走していて、主戦派はそれを利用して非主戦派を一網打尽にする計画を立てた。
厄介だったのは神魔の上層部ですら主戦派と非主戦派に分かれていたことだろう。
横島にその気はなかったが、アシュタロスの遺産で人間界で動いていた横島も和平派の一派に数えられていて、横島や仲間達は人間界の代表として和平のテーブルに引きずり出されることになった。
十年ほど平穏に暮らしていた横島の状況に変化をめたらしたのが神魔の争いだった。
その事実に少女達は戸惑いを隠せないでいる。
神とは絶対的なものでも人々を守る存在でもない。
神族という一つの種族なのだとこの時ようやく理解したのかもしれない。
「神魔のバランスが崩れた影響は大きかった。 直接神魔の闘いに巻き込まれなくとも天変地異や異常気象など人間界への影響はあちこちに現れたからな。」
神話クラスの事件に続き僅か十年で世界は崩壊に向かう。
「ただ横島がそれに最初から直接関わっていた訳ではない。 当時の横島はルシオラの力で強くなったが、相手は神魔なのだ。 手に負える事態ではなかったからな。」
神魔戦争初期の横島はまだ平穏な日々が続いていた。
人間界における神魔の戦闘もあったが、神界屈指の武闘派である斉天大聖のいる妙神山に被害が及ぶことはなかったのだ。
しかし天変地異や異常気象は、世界を人間達を混乱させ狂わせていく。
最初に問題になったのは、局地的な食料不足による飢餓の発生だった。
国連や各国は食料や資金を援助しようとしたが、一部の国が拒否してしまう。
すでに国家の中枢は神魔戦争を把握していて、現状のレベルでの世界の維持は不可能だと考え対策を始めていたのだ。
地下に大規模シェルターの建設を開始して食料の輸出も事実上停止する国が相次いだ。
自国民を飢えさせてまで他国に食料を輸出するおめでたい国など存在しないし、各国の国民もそれを支持した。
グローバル社会が崩壊して、各国は生き残る為のサバイバルに突入する。
「その頃の横島は妙神山と、この異空間世界を行ったり来たりしていた。 横島も自分の身近な者だけは、ここに避難させたりしていたからな。」
異空間アジトが活気づいたのはこの頃からだった。
元々ドクターカオスが住み着いてはいたが、横島の数少ない友人や知人を異空間アジトに避難させていたし。
日本政府や人間社会にあまりいい記憶がない横島も、日本に支援物資を送ることだけは認めざるを得なかった。
美神美智恵や唐巣などは異空間アジトへの人類の避難を考えてはいたが、こちらは横島と令子の反対により頓挫している。
横島自身もその気はなかったが、何より令子が強固に反対していたことでどうしようもなかったというのが結果だろう。
「結果として神魔の争いは膠着状態になった。 元々神魔の上層部は本格的な争いに否定的だったからな。 しかしそれで収まらない者達は人間を利用し襲い戦線を拡大して行った。」
降着したまま数年の年月が流れ、世界の中には世紀末のような無法地帯となった国や地域も多かった。
日本は島国であることと横島からの援助で国家の体制は維持していたが、神魔戦争初期には中国や朝鮮半島とは国交断絶していて双方の国民が完全に引き揚げる事態にもなったし。
神魔戦争中期には第二次日中戦争も起きた。
飢餓や混乱の批判からの逃れる為には外敵を作るのが一番だったし、口減らしの意味もあった。
そちらも結局は横島が援助して迎撃しつつ中国の崩壊により事実上の終戦になるまで、局地戦を中心に続いたが。
この時代は戦争は世界各地で起きていて、決して珍しいものではなかったのだ。
「主戦派は焦れたのだろうな。 次第に闘いに協力しない同族や人間に矛先を向けた。 連中はそんな者達を一網打尽にする為に敵対していた神魔の主戦派が手を組み罠を仕掛けた。」
世界の運命を決定的にしたのは、神魔の主戦派による謀略だった。
神魔の非主戦派は和平に奔走していて、主戦派はそれを利用して非主戦派を一網打尽にする計画を立てた。
厄介だったのは神魔の上層部ですら主戦派と非主戦派に分かれていたことだろう。
横島にその気はなかったが、アシュタロスの遺産で人間界で動いていた横島も和平派の一派に数えられていて、横島や仲間達は人間界の代表として和平のテーブルに引きずり出されることになった。