二年目の春・9
いよいよ三日目が始まった。
横島のシフトは夕方からなので、昼間はタマモと一緒に麻帆良祭見物をすることになる。
「うわぁ。タマちゃんよく似合うね!」
朝一で横島とタマモが木乃香達や美砂達などのいつものメンバーと訪れていたのは、学園の茶道部合同の野点だった。
場所は例年と同じ学園内の日本庭園で、着物の無料貸し出しと着付けも行ってくれる太っ腹なイベントになる。
まあこちらは着物の普及を進める業者の協力もあり実現している企画で、横島は遠慮したがタマモと少女達は着物に着替えての参加になるらしい。
「私、着物初めてです。」
「お腹が締め付けられてるから、いっぱい食べれなそう。」
なお茶道部には茶々丸とさよが居て、少女達の着付けから手伝っていた。
この野点は参加はお茶代だけなのでリーズナブルであり、あまり派手なアトラクションやイベントには参加しない人達なんかも来るので結構人気になる。
「さよちゃん、楽しそうね!」
「はい。 とっても楽しいです!!」
ずっと見ていただけの麻帆良祭から、初めて参加したさよは人一倍麻帆良祭を楽しんでいた。
横島達と一緒にあちこち見物もしたし、クラスの店で働くのも頑張った。
ただ本来の歴史と一番違うのは、この世界ではさよと朝倉は特別親しくはなく普通のクラスメートだということか。
現にさよは茶々丸と仲が良く茶道部も一緒に部活に参加して楽しんでいて、麻帆良祭期間中も一緒に居る機会が多かった。
相変わらずちょっとドジなさよだが、誰よりも茶道を楽しむので同じ茶道部員からの評判は上々だ。
ちなみに横島が今年スイーツを提供しているのは茶道部だけであり、昨日も異空間アジトで木乃香と注文の茶菓子を作っていたりする。
「風が気持ちいいね。」
「うん」
見上げると飛行船や気球が青空を飛ぶのが見えた。
吹き抜ける風はもう初夏の風のようで、太陽の陽射しの暑さを風が癒してくれて心地いい。
麻帆良では珍しい順和風の庭園の景色も素晴らしく、風に流れるように聞こえてくる麻帆良祭の喧騒と合わさると妙な心地良さを少女達に与えている。
茶々丸とさよがお茶を点ててくれる姿を一同は眺めながら、のんびりとした時間を過ごしていた。
さよに関しては少し大人になったかなと、横島には見えている。
元々の天然な性格は相変わらずだが、お茶を点てる時の表情はいつものさよとは違う大人のように見えるのだ。
半世紀もの間、止まっていたさよの時間は確かに動き出している。
少女達にも与えた腕時計型通信機のカメラの機能で、そんなさよの少し大人な表情を撮影すると、いつかさよの想い出の一枚になるかなと漠然と考えていた。
「おいしい!」
さよが点ててくれたお茶をタマモは前に教わった作法を思い出しながらゴクリゴクリと飲むと、満面の笑みで嬉しそうに感想を口にした。
そんなタマモの笑顔もまた一つの風流に感じる野点の会場では、笑顔溢れる人々の憩いの一時となっていた。
横島のシフトは夕方からなので、昼間はタマモと一緒に麻帆良祭見物をすることになる。
「うわぁ。タマちゃんよく似合うね!」
朝一で横島とタマモが木乃香達や美砂達などのいつものメンバーと訪れていたのは、学園の茶道部合同の野点だった。
場所は例年と同じ学園内の日本庭園で、着物の無料貸し出しと着付けも行ってくれる太っ腹なイベントになる。
まあこちらは着物の普及を進める業者の協力もあり実現している企画で、横島は遠慮したがタマモと少女達は着物に着替えての参加になるらしい。
「私、着物初めてです。」
「お腹が締め付けられてるから、いっぱい食べれなそう。」
なお茶道部には茶々丸とさよが居て、少女達の着付けから手伝っていた。
この野点は参加はお茶代だけなのでリーズナブルであり、あまり派手なアトラクションやイベントには参加しない人達なんかも来るので結構人気になる。
「さよちゃん、楽しそうね!」
「はい。 とっても楽しいです!!」
ずっと見ていただけの麻帆良祭から、初めて参加したさよは人一倍麻帆良祭を楽しんでいた。
横島達と一緒にあちこち見物もしたし、クラスの店で働くのも頑張った。
ただ本来の歴史と一番違うのは、この世界ではさよと朝倉は特別親しくはなく普通のクラスメートだということか。
現にさよは茶々丸と仲が良く茶道部も一緒に部活に参加して楽しんでいて、麻帆良祭期間中も一緒に居る機会が多かった。
相変わらずちょっとドジなさよだが、誰よりも茶道を楽しむので同じ茶道部員からの評判は上々だ。
ちなみに横島が今年スイーツを提供しているのは茶道部だけであり、昨日も異空間アジトで木乃香と注文の茶菓子を作っていたりする。
「風が気持ちいいね。」
「うん」
見上げると飛行船や気球が青空を飛ぶのが見えた。
吹き抜ける風はもう初夏の風のようで、太陽の陽射しの暑さを風が癒してくれて心地いい。
麻帆良では珍しい順和風の庭園の景色も素晴らしく、風に流れるように聞こえてくる麻帆良祭の喧騒と合わさると妙な心地良さを少女達に与えている。
茶々丸とさよがお茶を点ててくれる姿を一同は眺めながら、のんびりとした時間を過ごしていた。
さよに関しては少し大人になったかなと、横島には見えている。
元々の天然な性格は相変わらずだが、お茶を点てる時の表情はいつものさよとは違う大人のように見えるのだ。
半世紀もの間、止まっていたさよの時間は確かに動き出している。
少女達にも与えた腕時計型通信機のカメラの機能で、そんなさよの少し大人な表情を撮影すると、いつかさよの想い出の一枚になるかなと漠然と考えていた。
「おいしい!」
さよが点ててくれたお茶をタマモは前に教わった作法を思い出しながらゴクリゴクリと飲むと、満面の笑みで嬉しそうに感想を口にした。
そんなタマモの笑顔もまた一つの風流に感じる野点の会場では、笑顔溢れる人々の憩いの一時となっていた。