麻帆良祭への道

その後お昼を過ぎてようやくインテリアの準備に入れるが、衣装も決まりテンションが高い一同とは対照的に準備の遅れは致命的だった


「だからあれほど遊んでないで、早くしなさいと言いましたのに」

明後日のプレオープンに完全に間に合わないと感じたあやかは焦った様子で作業を急ぐように指示を出すが、それでも2ーAの少女達は危機感が薄く賑やかに騒ぎながら作業をしている


「大丈夫だって~」

「なんとかなるよ」

すでに麻帆良祭の三日前からプレオープンする件は大々的に宣伝してる為に変えるのは難しいのであやかは焦っているのだが、他のみんなは最悪本番までに間に合えばいいという軽い気持ちがありイマイチ真剣味が足りない

まあ実際に営業日時や時間が変わるのは麻帆良祭ではよくある事ではあるが、ぶっつけ本番はあまりに危険だと思うあやかは焦りを隠せない様子である



「そういえばマスターの部屋ってどんな感じなの?」

「あーちょっと気になるかも……」

「遊びに行きたいな~」

一方横島はと言えば、作業もそこそこの美砂達三人とおしゃべりしていた

まあ横島は手を動かしているが、美砂達三人はあまり危機感もないらしく横島の私生活を聞き出そうとしている


「部屋か? どんな部屋って言うか最低限の物しかないぞ。 電化製品しか揃えてないしな」

何かと噂の絶えない横島の自宅に興味を抱く三人だったが、ほとんど物がないと告げると少し考え込む

彼女達もまた横島が女に騙された話は信じているが、横島に関する様々な噂には真偽を疑うものも多いと考えているらしい


「じゃあ今度マスターの家でパジャマパーティーね。 明日菜達も誘ってさ」

「賛成ー!」

いろいろと噂がある横島は直接見るのが一番だと判断した美砂は、突然横島の家でパジャマパーティーをやろうと言いだし桜子がそれに乗ってしまう


「パジャマパーティーって泊まる気かよ。 寮が近いんだから泊まる必要なんてないだろ」

「そんなに心配しなくても襲ったりしないから大丈夫だって」

「いや、そりゃ女の子の台詞じゃないだろうが」

あの横島相手に話の主導権を握る美砂は、冗談のような事を言いつつ横島の反応を楽しんでいる

女好きを公言する横島が、実は女に攻められるのが苦手な事を彼女は当然気付いていた

いつもは割と上手くかわしてる横島だったが、その時の微妙な反応から気付いたらしい


「万が一なんかあれば、ちゃんと責任は取るから大丈夫よ」

「美砂カッコイイ~」

「だから立場があべこべだって」

調子に乗る美砂とそれを更に煽る桜子のあまりに上手い会話に、横島もつられて笑ってしまうのだが……


「少しは手も動かして下さい!」

いつの間に近くに居たあやかに、横島を含めた四人は怒られてしまう

一応横島は手も動かしていたが、端から見ると仲良く騒いでるようにしか見えなかったらしい

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