麻帆良祭への道
「そういえば横島さんは何処に行ったのでしょうか?」
「アスナもいいひんね」
そして横島と明日菜が仮設店舗の外に出てしばらくした頃、夕映と木乃香は横島と明日菜の姿が見えないことに気付いていた
先程まで際どいコスプレの少女達に囲まれて騒いでいただけに、姿が見えなくなるとすぐに分かる
「どこ行ったんやろ?」
なんとなく横島と明日菜が気になった二人は居そうな場所を探してみるが、なかなか見つからない
そのまま外に出て探してみるが、ついさっきまでは入口付近に居たはずなのにすでにそこには居なかった
「あっ!?」
外に出て混み合う雪広グループの企業ブースに視線を向けていた夕映は、無料の試食会に並ぶ横島と明日菜を発見する
なんと横島と明日菜は一般人や学生に混じって、無料試食会の列に並んでいたのであった
「ねえ、本当にいいの? 一応、授業中なんだけど……」
「いいって。 先生が来たら上手くごまかしてやるから」
実は最初は普通に混み合う人達を見ていた横島と明日菜だったが、美味しそうな匂いに釣られた横島が明日菜を誘って列に並んでいたのだ
「せっかく美味いもんが食えるのに逃すなんてもったいないだろ」
「それはそうなんだけどね……」
一応とはいえ授業中の扱いなので明日菜は若干迷っているが、タダで美味しい物が食べれるとなると横島と同じく食べたいらしい
そのまま横島はすき焼き丼を貰って明日菜はチーズケーキを貰うが、ほくほく顔の二人を待っていたのは呆れ気味な夕映とニコニコ顔の木乃香だった
「おっ、二人ともいいとこに来たな。 食うか?」
夕映と木乃香に見つかってちょっと困った表情を浮かべる明日菜と対称的に、横島は特に気にした様子もなく二人を誘って近くのベンチに移動する
「いや~、美味しそうな匂いについつい釣られてな」
そのまま四人はすき焼き丼とチーズケーキをちょっとずつ食べるのだが、当然箸とスプーンは一つずつしかない
同じ箸やスプーンで順番に回しながら食べるのだが、特にそこを指摘する者は居なかった
(これは間接キスというものでは……)
まあ実際には一人だけ密かに気にしていたのは、もちろん夕映である
ただ一人だけそこを指摘すると横島を傷つけそうなので黙っていたが……
(まあ知らない人ではないですし、いいでしょう)
表情にこそ現さない夕映だったが、横島を見るとやはり意識してしまう
実際ファーストキスもまだな夕映なだけに、どうしても僅かには意識してしまうらしい
しかし横島を傷つけたくないという想いと横島なら別にいいかという想いから、夕映は特に何も言うことなく食べていた
(皆さんが横島さんに近寄ろうとする気持ちは分かるです。 一緒に居て心地好い人ですし……)
何だかんだ考えつつも夕映もまた現状を楽しんで、いつの間にか笑顔を見せている
正直夕映にとってこれほど一緒に居て楽しく心地好い人は、亡くなった祖父以外では初めてであった
もっと近付いて愛されたらどうなるのだろうと、密かに考えてしまうのも仕方ないことだろう
「ん? 夕映ちゃんちょっと顔が赤くないか? 日射病か?」
「なっなっ……何でもないです!」
いつの間にかほんの僅かな時間考え込んでいた夕映の顔が微妙に赤かったらしい
横島に近くから顔を覗き込まれた夕映が僅かにパニクったのは言わなくても分かるだろう
「アスナもいいひんね」
そして横島と明日菜が仮設店舗の外に出てしばらくした頃、夕映と木乃香は横島と明日菜の姿が見えないことに気付いていた
先程まで際どいコスプレの少女達に囲まれて騒いでいただけに、姿が見えなくなるとすぐに分かる
「どこ行ったんやろ?」
なんとなく横島と明日菜が気になった二人は居そうな場所を探してみるが、なかなか見つからない
そのまま外に出て探してみるが、ついさっきまでは入口付近に居たはずなのにすでにそこには居なかった
「あっ!?」
外に出て混み合う雪広グループの企業ブースに視線を向けていた夕映は、無料の試食会に並ぶ横島と明日菜を発見する
なんと横島と明日菜は一般人や学生に混じって、無料試食会の列に並んでいたのであった
「ねえ、本当にいいの? 一応、授業中なんだけど……」
「いいって。 先生が来たら上手くごまかしてやるから」
実は最初は普通に混み合う人達を見ていた横島と明日菜だったが、美味しそうな匂いに釣られた横島が明日菜を誘って列に並んでいたのだ
「せっかく美味いもんが食えるのに逃すなんてもったいないだろ」
「それはそうなんだけどね……」
一応とはいえ授業中の扱いなので明日菜は若干迷っているが、タダで美味しい物が食べれるとなると横島と同じく食べたいらしい
そのまま横島はすき焼き丼を貰って明日菜はチーズケーキを貰うが、ほくほく顔の二人を待っていたのは呆れ気味な夕映とニコニコ顔の木乃香だった
「おっ、二人ともいいとこに来たな。 食うか?」
夕映と木乃香に見つかってちょっと困った表情を浮かべる明日菜と対称的に、横島は特に気にした様子もなく二人を誘って近くのベンチに移動する
「いや~、美味しそうな匂いについつい釣られてな」
そのまま四人はすき焼き丼とチーズケーキをちょっとずつ食べるのだが、当然箸とスプーンは一つずつしかない
同じ箸やスプーンで順番に回しながら食べるのだが、特にそこを指摘する者は居なかった
(これは間接キスというものでは……)
まあ実際には一人だけ密かに気にしていたのは、もちろん夕映である
ただ一人だけそこを指摘すると横島を傷つけそうなので黙っていたが……
(まあ知らない人ではないですし、いいでしょう)
表情にこそ現さない夕映だったが、横島を見るとやはり意識してしまう
実際ファーストキスもまだな夕映なだけに、どうしても僅かには意識してしまうらしい
しかし横島を傷つけたくないという想いと横島なら別にいいかという想いから、夕映は特に何も言うことなく食べていた
(皆さんが横島さんに近寄ろうとする気持ちは分かるです。 一緒に居て心地好い人ですし……)
何だかんだ考えつつも夕映もまた現状を楽しんで、いつの間にか笑顔を見せている
正直夕映にとってこれほど一緒に居て楽しく心地好い人は、亡くなった祖父以外では初めてであった
もっと近付いて愛されたらどうなるのだろうと、密かに考えてしまうのも仕方ないことだろう
「ん? 夕映ちゃんちょっと顔が赤くないか? 日射病か?」
「なっなっ……何でもないです!」
いつの間にかほんの僅かな時間考え込んでいた夕映の顔が微妙に赤かったらしい
横島に近くから顔を覗き込まれた夕映が僅かにパニクったのは言わなくても分かるだろう