二年目の春・9
植物園の見学を終えた一行は、サークルや部活に顔を出していた木乃香達とあやかと合流して納涼祭の実行委員会が主催する料理大会の会場に来ていた。
場所はお料理研究会が試食会をする為に用意した屋外キッチンで、観客席も立ち見を含めて少しだが用意している。
「タマちゃんも審査員やるん?」
「子供が一人居た方がいいとの意見もありまして」
なお審査員は横島を審査委員長に、木乃香と超鈴音と五月と大学生が数名にタマモも加えた計十名となる。
審査の方法は審査員の得点と、一般観客がそれぞれ一票ずつ一番良かった料理に得票したのを合わせた合計により決まる仕組みだ。
参加者は十名と結構集まっていて、実は予想以上の参加希望者に急遽予選会を開催して勝ち抜いた十名による決勝戦となっていた。
一応アマチュア限定としていたが、学園の調理科の学生や素人料理自慢の人が集まったらしい。
「それでは調理を初めて下さい。 制限時間は一時間。 試食は完成した人から順次行います! 納涼祭当日は早さもポイントになりますので、その辺を踏まえて頑張って下さい!」
ろくに宣伝も準備もしてなかったので、報道部などの学園内のメディアは来なかった。
司会進行は大学生が行い、演出は超鈴音が手掛けて本当にちょっとした大会のような雰囲気だ。
「このかちゃんはつくらないの?」
「ウチは今回はタマちゃんと一緒や。 美味しい料理を選ぶんよ」
ちなみにタマモは今一つ理解してないらしく、昨年の体育祭のように木乃香が料理を作るのだと勘違いしていたらしい。
なんとなく料理大会イコール木乃香のイメージが強いようだ。
「あれ。 あの人……」
「あの人は大学院に進学したネ。 だから未だアマチュアの学生ヨ」
一方大会参加者の中には意外な人物が居た。
昨年の体育祭の料理大会にて、木乃香と新堂美咲に決勝で破れた男性だった。
木乃香に嫌みを口にして自滅した男のまさかの参加に横島は驚いてしまう。
「大学院って、専攻はなんなんだ?」
「食品工学ネ。 優秀で引き留められたという話ヨ」
「お祭り向けの物を作れるかだな。」
新堂と同じく春に大学を卒業したとばかり思っていたが、大学部の内情に詳しい超鈴音いわく元々優秀な上に勉強熱心なようで、研究者に向いているらしい。
料理の力量に関しては確かなのを体育祭で見ている。
普通に考えると優勝候補だが手間を掛けて一品一品作るスイーツではなくお祭りで、みんなが手軽に食べれる物を作れるかが彼の課題であった。
そして木乃香は昨年対戦した相手を審査員として見ることに、少し不思議な縁を感じていた。
正直あまり印象は良くなかったが、曲がりなりにも同じ料理をする立場となれば気持ちが分からなくもない部分もある。
彼はどんな気持ちで自分や横島の関わる納涼祭の料理大会に応募したのだろうと考えると、改めて一度は勝った自分の責任の重さを痛感していた。
場所はお料理研究会が試食会をする為に用意した屋外キッチンで、観客席も立ち見を含めて少しだが用意している。
「タマちゃんも審査員やるん?」
「子供が一人居た方がいいとの意見もありまして」
なお審査員は横島を審査委員長に、木乃香と超鈴音と五月と大学生が数名にタマモも加えた計十名となる。
審査の方法は審査員の得点と、一般観客がそれぞれ一票ずつ一番良かった料理に得票したのを合わせた合計により決まる仕組みだ。
参加者は十名と結構集まっていて、実は予想以上の参加希望者に急遽予選会を開催して勝ち抜いた十名による決勝戦となっていた。
一応アマチュア限定としていたが、学園の調理科の学生や素人料理自慢の人が集まったらしい。
「それでは調理を初めて下さい。 制限時間は一時間。 試食は完成した人から順次行います! 納涼祭当日は早さもポイントになりますので、その辺を踏まえて頑張って下さい!」
ろくに宣伝も準備もしてなかったので、報道部などの学園内のメディアは来なかった。
司会進行は大学生が行い、演出は超鈴音が手掛けて本当にちょっとした大会のような雰囲気だ。
「このかちゃんはつくらないの?」
「ウチは今回はタマちゃんと一緒や。 美味しい料理を選ぶんよ」
ちなみにタマモは今一つ理解してないらしく、昨年の体育祭のように木乃香が料理を作るのだと勘違いしていたらしい。
なんとなく料理大会イコール木乃香のイメージが強いようだ。
「あれ。 あの人……」
「あの人は大学院に進学したネ。 だから未だアマチュアの学生ヨ」
一方大会参加者の中には意外な人物が居た。
昨年の体育祭の料理大会にて、木乃香と新堂美咲に決勝で破れた男性だった。
木乃香に嫌みを口にして自滅した男のまさかの参加に横島は驚いてしまう。
「大学院って、専攻はなんなんだ?」
「食品工学ネ。 優秀で引き留められたという話ヨ」
「お祭り向けの物を作れるかだな。」
新堂と同じく春に大学を卒業したとばかり思っていたが、大学部の内情に詳しい超鈴音いわく元々優秀な上に勉強熱心なようで、研究者に向いているらしい。
料理の力量に関しては確かなのを体育祭で見ている。
普通に考えると優勝候補だが手間を掛けて一品一品作るスイーツではなくお祭りで、みんなが手軽に食べれる物を作れるかが彼の課題であった。
そして木乃香は昨年対戦した相手を審査員として見ることに、少し不思議な縁を感じていた。
正直あまり印象は良くなかったが、曲がりなりにも同じ料理をする立場となれば気持ちが分からなくもない部分もある。
彼はどんな気持ちで自分や横島の関わる納涼祭の料理大会に応募したのだろうと考えると、改めて一度は勝った自分の責任の重さを痛感していた。