二年目の春・9
「先生。 おはよー。」
「おはよう。 今日も事故や怪我のないようにね。」
一方刀子は中等部近辺にて朝の見回りをしていた。
麻帆良祭期間中はやはり気が抜けないし、部外者が学校の敷地まで入るので問題が起きたりする。
尤も今はごみ袋を片手にごみを拾いながらの見回りであり、ごく普通の朝の光景だったが。
「カレね」
生徒や教職員など手の空いてる者でみんなでごみ拾いをしているのだが、刀子はふと平行世界の自分に想いを馳せる。
一般人のカレが出来ていて、縁もない魔法世界に島流しにされて裁かれるという状況に少し考えさせられてしまう。
カレとはどんな人なのだろうと気になるのが本音で。
それ以上に自分は何かあれば魔法世界に裁かれる立場なのだと、改めて見せられた影響は多少あった。
少女達はそこまで気にしてないようだったが、それなりに社会経験を重ねた刀子からすると自分の人生について少し考えてしまう。
「おはようポー。」
「あら、おはよう。 早いわね。」
「手伝うポー!」
ごみ拾いにはいつの間にか人型のハニワ兵達まで参加していて、彼らは学校の周囲の裏通りでごみを拾っていた。
実は昨日辺りから、語尾にポーと付ける変な人達が今年は来てると麻帆良では少し話題となっている。
妙に親切でノリがいいと評判がよく、迷子を見付けては迷子センターに連れていくなど感謝の声がSNSには上がっていた。
「あなた達を見てると、気持ちが明るくなるわね。」
タイプ的に奉仕種族のようなハニワ兵は、協調性や思いやりが人より優れている。
平行世界の話とはいえ、少し厳しい現実を見せられて心理的な負担になっていた刀子は、心からハニワ兵が羨ましいと感じていた。
「先生。 お疲れポー?」
「休まないと駄目ポー!」
「大丈夫よ。 疲れてる訳じゃないわ。」
そんな少し元気がないような刀子をハニワ兵達は心配した。
医務室か職員室で休むようにと心配するハニワ兵達に、刀子は笑顔で大丈夫だと答える。
何処か垢抜けないハニワ兵達のコミカルな様子に心が軽くなった刀子は、気を入れ直して見回りを続けた。
同じ未来は望んでも来ない。
ハニワ兵達を見て、そう感じる事が出来たようだった。
ただ超鈴音の計画により、自分達が裁かれる事に納得した訳ではない。
犯罪者と戦った現場の警察官に責任を擦り付けるようなメガロメセンブリアのやり方には不信感を募らせた。
元々メガロメセンブリアにあまりいい印象のない刀子は、この件で更にメガロメセンブリアへの不信を強める事になる。
まあ魔法世界の真相と二十年前から現在までの歴史の裏側を知る者で、メガロメセンブリアを信頼する者は少なくともメガロメセンブリアの外には多くない。
アリカ女王に無実の罪を着せて、大戦の功労者である赤き翼を犯罪者扱いしたメガロメセンブリアへの不信は魔法世界と地球の双方で大きい。
特にナギの行方不明と死亡説にはメガロメセンブリアの陰謀説も根強く、少なくとも大戦後のメガロメセンブリアの赤き翼叩きのせいで亡くなったと考える者は多いのだ。
悠久の風のように魔法世界と地球の双方で頑張る者達の足を引っ張っているのは、他ならぬメガロメセンブリアだった。
様々な矛盾を感じながらも、刀子は目の前の今日一日を精一杯生きる為に気合いを入れる事になる。
「おはよう。 今日も事故や怪我のないようにね。」
一方刀子は中等部近辺にて朝の見回りをしていた。
麻帆良祭期間中はやはり気が抜けないし、部外者が学校の敷地まで入るので問題が起きたりする。
尤も今はごみ袋を片手にごみを拾いながらの見回りであり、ごく普通の朝の光景だったが。
「カレね」
生徒や教職員など手の空いてる者でみんなでごみ拾いをしているのだが、刀子はふと平行世界の自分に想いを馳せる。
一般人のカレが出来ていて、縁もない魔法世界に島流しにされて裁かれるという状況に少し考えさせられてしまう。
カレとはどんな人なのだろうと気になるのが本音で。
それ以上に自分は何かあれば魔法世界に裁かれる立場なのだと、改めて見せられた影響は多少あった。
少女達はそこまで気にしてないようだったが、それなりに社会経験を重ねた刀子からすると自分の人生について少し考えてしまう。
「おはようポー。」
「あら、おはよう。 早いわね。」
「手伝うポー!」
ごみ拾いにはいつの間にか人型のハニワ兵達まで参加していて、彼らは学校の周囲の裏通りでごみを拾っていた。
実は昨日辺りから、語尾にポーと付ける変な人達が今年は来てると麻帆良では少し話題となっている。
妙に親切でノリがいいと評判がよく、迷子を見付けては迷子センターに連れていくなど感謝の声がSNSには上がっていた。
「あなた達を見てると、気持ちが明るくなるわね。」
タイプ的に奉仕種族のようなハニワ兵は、協調性や思いやりが人より優れている。
平行世界の話とはいえ、少し厳しい現実を見せられて心理的な負担になっていた刀子は、心からハニワ兵が羨ましいと感じていた。
「先生。 お疲れポー?」
「休まないと駄目ポー!」
「大丈夫よ。 疲れてる訳じゃないわ。」
そんな少し元気がないような刀子をハニワ兵達は心配した。
医務室か職員室で休むようにと心配するハニワ兵達に、刀子は笑顔で大丈夫だと答える。
何処か垢抜けないハニワ兵達のコミカルな様子に心が軽くなった刀子は、気を入れ直して見回りを続けた。
同じ未来は望んでも来ない。
ハニワ兵達を見て、そう感じる事が出来たようだった。
ただ超鈴音の計画により、自分達が裁かれる事に納得した訳ではない。
犯罪者と戦った現場の警察官に責任を擦り付けるようなメガロメセンブリアのやり方には不信感を募らせた。
元々メガロメセンブリアにあまりいい印象のない刀子は、この件で更にメガロメセンブリアへの不信を強める事になる。
まあ魔法世界の真相と二十年前から現在までの歴史の裏側を知る者で、メガロメセンブリアを信頼する者は少なくともメガロメセンブリアの外には多くない。
アリカ女王に無実の罪を着せて、大戦の功労者である赤き翼を犯罪者扱いしたメガロメセンブリアへの不信は魔法世界と地球の双方で大きい。
特にナギの行方不明と死亡説にはメガロメセンブリアの陰謀説も根強く、少なくとも大戦後のメガロメセンブリアの赤き翼叩きのせいで亡くなったと考える者は多いのだ。
悠久の風のように魔法世界と地球の双方で頑張る者達の足を引っ張っているのは、他ならぬメガロメセンブリアだった。
様々な矛盾を感じながらも、刀子は目の前の今日一日を精一杯生きる為に気合いを入れる事になる。