日付が変わり深夜まで騒いでいた少女達が、一人また一人と帰ると横島と少女達は異空間アジトの別荘に行き休んでいた。

タマモも一日中遊び倒して流石にお疲れだった事もある。


「あさ？」

翌朝はみんな起きるのが遅く、日頃から早起きのタマモですら十時を回る頃に起きて、時計を見ながら小首を傾げていた。

外の日差しなどを見ると、お昼寝から起きたような感覚があるのだろう。

この日は美砂と一緒に寝ていて、彼女はまだ熟睡中だ。

タマモはベットから出ると、誰か起きてるかなと別荘の一階に行く。


「おはよう！」

「オウ。 早イナ。」

「ぽー！」

一階のリビングではすでにチャチャゼロとハニワ兵達が、レースゲームをして盛り上がっていて、横島が朝食の支度をしていた。

お味噌汁の匂いにお腹が鳴るタマモはチャチャゼロ達に挨拶をして、横島のお手伝いを始める。

まあそんなに凝った料理を作ってる訳ではないので、箸やお皿を並べるくらいだったが。


「タマちゃんおはよう！」

「おはよう！」

「ああ、一日一回はタマちゃん分を補給しないと。」

「？？？」

しばらくするとぼちぼち少女達も起きて来ていて、まき絵や桜子に美砂なんかはタマモを抱きしめて朝から騒いでいる。

当のタマモは意味を理解してないが、まあみんなと一緒に居て抱っこしてもらえるのは好きなのでご機嫌な様子だ。


「みんな元気ね。」

一方一晩休んでもお疲れ気味だったのは刀子であった。

肉体的な疲労というよりは精神的な疲労であったが、少しゆっくり休みたいからと、昨日は少女達より先に来て休んでいたらしい。

神鳴流の修行なんかもあり肉体的には強い刀子であるが、馴れないハプニングや混雑には気疲れしたのだろう。


「刀子さんは先にお茶どうぞ。」

そんな刀子に教師は大変だなとしみじみと感じる少女達であるが、横島は精神的な疲労を癒す効果のある魔法のハーブティを刀子に入れると出していた。


「魔法のお茶？」

「美味しそう！ 私にもちょうだい！」

「ちょっと待ってろ。」

ただ刀子だけ特別扱いする事に少女達は敏感だった。

好奇心旺盛なのもあり、みんなが魔法のハーブティを欲しがるので横島は入れてやることになる。


「普通に美味しいけど。 こう飲んだら一気に元気になるとかないね。」

「これはそんな物なんだよ。 そもそも急激な回復とか体にも精神にも良くないからな。 ヤバイ薬みたいになるだろうが。」

ハーブティにあまり馴染みがない少女達にも飲みやすく好評だったが、魔法の効果はいまいち感じない。

理由は少女達が精神的な疲労を感じてないと言うことと、魔法の効果があまり強くないだけである。


「じゃあ、回復魔法とかも体に良くないの？」

「いや、怪我とかを放置するよりは魔法で回復した方がいいぞ。 ただしあれも自然の法則を変えてるからな。 使いすぎると良くない。」

その昔、強すぎる魔法の効果で失敗した魔鈴が世界との調和を考えて完成度を高めた魔法料理の一つである魔法のハーブティだけに、体には優しい仕様だった。


「何事もほどほどが一番と言うこととですか。」

「まあな。 使いどころを間違えなきゃいいのは、魔法も薬も一緒だ。」

ゲームやアニメのように万能でないリアルな魔法に感心する少女達だが、タマモと桜子はそろそろ我慢の限界だった。

お腹が空いたそんな二人の要望もあり、一同は遅い朝食を食べることになる。