二年目の春・9

「うわぁ! すごい! すごいね!」

一方タマモは残る木乃香達と夜のパレードを見物していた。

電飾やライトアップなどで彩られたパレードの山車に、仮装や様々なコスチュームに着飾った人々。

しかもそれは伝統とは無縁の自由な物になる。

分かりやすく言えばカーニバルと言える物になろうか。

タマモはそんな夢の世界のようなパレードに、興奮した様子で騒いでいた。


「あれ、作るの大変なのよね。 制作に半年は掛かるし。」

「ハルナ詳しいわね。」

明日菜は興奮したタマモが迷子になったり怪我をしないようにと抱き上げて見物していたが、ハルナはパレードの裏側の大変さをふと語っていた。

パレードは生徒とスポンサーである支援企業がそれぞれ参加していて、大型の山車などは半年も前から制作を始める。

毎年使い回しをしないらしく、パレード本番の三日間と予行演習の数日の為に半年を掛けて作るらしい。

雪広や那波は単独で参加するが、中小の支援企業は学生の団体と共同の場合が多く、制作資金はほぼ企業から出ていた。

ハルナは夕映達とは違うディープな交遊があるようで、パレードの裏側に何故か詳しいようだ。


「あー! はにわさんだ! おーい!!」

「えっ!?」

「ハニワ兵の着ぐるみ集団。 目立ってるわね。」

そのままタマモはパレードに参加してる人達に手を振ったり声援を送ったりしていたが、ふとハニワ兵の着ぐるみを来た集団がパレードに参加してるのを見ると、更に嬉しそうに手を振る。

少女達はまさかと思うが、本当にハニワ兵の着ぐるみを来た集団二十人程がパレードに参加してた。

なおパレードの参加は参加団体の許可があれば、一般人でも気軽に参加出来る。

団体によっては外部の観光客に衣装を貸して参加をさせてるところもあるのでおかしくはないが、ハニワ兵の着ぐるみ集団は派手なパレードの中でも目立つ方だった。

ちょっとコミカルな動きをする着ぐるみ集団に、一体どこの集団なんだと話題になることになるが。

少女達からするとやっぱりやらかしたなと、少し困ったように笑うしか出来ない。

まあ麻帆良祭で騒動が起きるのは良くあるので、大丈夫だろうと思うしかないのだが。


「あっ、タマちゃんだ!」

「これ食べる!?」

「うん!」

ちなみにタマモと少女達の周りには、タマモや少女達の顔見知りや友人が偶然集まると、みんなでちょっとした宴会のように騒ぎながらパレード見物をすることになる。

中には木乃香や明日菜も誰だか分からない人も紛れていたが、タマモは細かいこと気にしないので見物してる集団はどんどん増えていく。

しかもそこにアナスタシア目当ての男子大学生が集まると、更にカオスな状況になっていた。



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