二年目の春・8
「やれやれ。 悪い意味でナギの意思を継いだの。」
一方魔法世界の辺境で隠遁生活を送っていたネギと祖父達の元には、悠久の風の主力メンバーが数人訪れていた。
「ここに来る可能性もありますので、しばらく警護致したいと思いますが宜しいでしょうか?」
「ああ、こちらからお願いする。 助けてくれ。」
彼らの目的はクルト・ゲーデルからネギ・スプリングフィールドを守ることであり、戦闘能力も高畑に次いで高い者達で集団ならば互角以上に戦える自負のある者達だ。
クルトの逃亡先として考えられるのは反メガロメセンブリアの地域や組織を筆頭に、ネギや高畑など個人で関係があり行きそうな場所に絞り、メガロ当局や悠久の風は探している。
「代表は、もう二十年前のような後悔をしたくないからと。」
そんな中でも一番危ういのが、老人と子供しか居ないネギ達のところで、悠久の風では無駄足になっても構わないからと主力を送っていた。
「君達が責任を感じることではない。 ワシとて同罪じゃからの。 だが未来ある子供達は守ってやりたい。 よろしくお願いする。」
アスナ姫の行方が知れぬ魔法世界において、魔法世界を生み出したウェスペルタティア王家の唯一の正統な継承者がネギであり、その価値は二十年前の秘密やアリカ女王の冤罪を考慮すると依然として大きい。
クルトが何を考え狙っているかは誰にも分からないが、二十年前にアリカ女王の冤罪を察知しながらもそれを見過ごした者達にとっては、せめて彼女の子供は守りたいという意思は未だに強い。
「しかしゲーデル議員は本当に何を考えてるのやら。」
「復讐であろう。 アリカ女王を冤罪に追い込み赤き翼をも潰そうとした元老院へのな。」
「ですが彼は魔法世界の危機に対して熱心で……」
「無論赤き翼やアリカ女王の意思を継いでもおるのであろう。じゃが、ワシには奴の心の底にある復讐の炎が見える気がするの。」
ただ悠久の風のメンバーでさえ、クルトが何故ここまでするのかと疑問を持っている。
やり方に問題はあったが、誰よりも魔法世界の人々のことを考えていたはずなのだ。
祖父はそんな疑問を持つ悠久の風のメンバーに、復讐という言葉で自身の考えを語る。
世界や人々に対する想いは消えてはない。
しかしクルト自身が赤き翼を否定して、今があるのもまた事実なのだ。
願う未来は同じであるし、互いに理解してる部分もあるのだろうが、クルトに関して言えばアリカ女王に対する想いが強すぎるのだと祖父は見ていた。
「復讐ですか。」
「誰よりもメガロメセンブリアを憎む故に、その中に入る。 奴は止まらんかもしれんの。」
それでもメガロメセンブリアが、まだこの二十年で変わってナギやアリカの作り出した時間を無駄にしてないならば、クルトもまた変わったかもしれない。
だがクルトにも祖父にも、メガロメセンブリアが変わったようには見えない。
魔法世界を救うために何が必要か。
クルトはそれをメガロメセンブリアを終わらせることだと、考えたのではと祖父は思う。
クルトとメガロメセンブリアの対立は最早誰にも止められないかもしれない。
亡くなった人が戻らぬ限りは。
そんな絶望的な状況に祖父は胸を痛めるしか出来なかった。
一方魔法世界の辺境で隠遁生活を送っていたネギと祖父達の元には、悠久の風の主力メンバーが数人訪れていた。
「ここに来る可能性もありますので、しばらく警護致したいと思いますが宜しいでしょうか?」
「ああ、こちらからお願いする。 助けてくれ。」
彼らの目的はクルト・ゲーデルからネギ・スプリングフィールドを守ることであり、戦闘能力も高畑に次いで高い者達で集団ならば互角以上に戦える自負のある者達だ。
クルトの逃亡先として考えられるのは反メガロメセンブリアの地域や組織を筆頭に、ネギや高畑など個人で関係があり行きそうな場所に絞り、メガロ当局や悠久の風は探している。
「代表は、もう二十年前のような後悔をしたくないからと。」
そんな中でも一番危ういのが、老人と子供しか居ないネギ達のところで、悠久の風では無駄足になっても構わないからと主力を送っていた。
「君達が責任を感じることではない。 ワシとて同罪じゃからの。 だが未来ある子供達は守ってやりたい。 よろしくお願いする。」
アスナ姫の行方が知れぬ魔法世界において、魔法世界を生み出したウェスペルタティア王家の唯一の正統な継承者がネギであり、その価値は二十年前の秘密やアリカ女王の冤罪を考慮すると依然として大きい。
クルトが何を考え狙っているかは誰にも分からないが、二十年前にアリカ女王の冤罪を察知しながらもそれを見過ごした者達にとっては、せめて彼女の子供は守りたいという意思は未だに強い。
「しかしゲーデル議員は本当に何を考えてるのやら。」
「復讐であろう。 アリカ女王を冤罪に追い込み赤き翼をも潰そうとした元老院へのな。」
「ですが彼は魔法世界の危機に対して熱心で……」
「無論赤き翼やアリカ女王の意思を継いでもおるのであろう。じゃが、ワシには奴の心の底にある復讐の炎が見える気がするの。」
ただ悠久の風のメンバーでさえ、クルトが何故ここまでするのかと疑問を持っている。
やり方に問題はあったが、誰よりも魔法世界の人々のことを考えていたはずなのだ。
祖父はそんな疑問を持つ悠久の風のメンバーに、復讐という言葉で自身の考えを語る。
世界や人々に対する想いは消えてはない。
しかしクルト自身が赤き翼を否定して、今があるのもまた事実なのだ。
願う未来は同じであるし、互いに理解してる部分もあるのだろうが、クルトに関して言えばアリカ女王に対する想いが強すぎるのだと祖父は見ていた。
「復讐ですか。」
「誰よりもメガロメセンブリアを憎む故に、その中に入る。 奴は止まらんかもしれんの。」
それでもメガロメセンブリアが、まだこの二十年で変わってナギやアリカの作り出した時間を無駄にしてないならば、クルトもまた変わったかもしれない。
だがクルトにも祖父にも、メガロメセンブリアが変わったようには見えない。
魔法世界を救うために何が必要か。
クルトはそれをメガロメセンブリアを終わらせることだと、考えたのではと祖父は思う。
クルトとメガロメセンブリアの対立は最早誰にも止められないかもしれない。
亡くなった人が戻らぬ限りは。
そんな絶望的な状況に祖父は胸を痛めるしか出来なかった。