二年目の春・8
「今日はマドレーヌかぁ。」
「おかげでこっちの弁当も大人気だし、揚げパン用のパンの売り上げもいい。」
一方少女達の店舗の隣の雪広グループのパビリオンでは、物品販売ブースが好調だった。
3ーA公認のひつまぶし弁当は、行列に並びたくない人に人気だし、揚げパン用の一口パンはお土産に買っていく人が続出している。
「おい、弁当追加だ。 三十ほど早めにな。」
「弁当の調理こっちで独立させて正解だったな。売れ行きがいいから間に合わなくなるとこだった。」
雪広グループ側の目的は宣伝広報なので、直接的な売り上げが主目的ではないが売れて悪いことなどない。
今年はどうなるのかと多少心配はあったが、去年の事もあったので弁当は近くの雪広系スーパーで調理しているので追加販売が容易だった。
揚げパン用の一口パンは、別にそのままで食べれない物ではないが、家庭で同じ揚げパンが作れるとなると人気商品になっている。
こちらはグループのパン工場のラインを一つ確保して製造してるので、仮設店舗とこちらでいくら売れても品切にならないようにしていた。
「今年の当たりは揚げパンか?」
「誰でも思い付きそうな物なんだけどな。」
「給食の揚げパンを懐かしみつつ、トッピングと一口の大きさで新しい物にした。商品開発の見本だな。」
わんこひつまぶしも人気で売れ行きはいいが、麻帆良祭後に残るかは手間の関係から少し微妙だった。
あくまでも人海戦術が使えて少量を何種類も食べたい祭りには最適だが、商売としてお店でやるには専門店でも作らぬ限りは更なる手間を減らす工夫などが必要になる。
その点でいえば一口揚げパンは、コンビニやファーストフードでも出せる手軽さがある。
トッピングやパンの具次第では可能性が広がるので、麻帆良カレーに続く第二のご当地グルメになるのではとの期待があった。
「お嬢様も名前を上げたしな。 一年で逞しくなった。」
「中学生の女の子に逞しくなったはまずいだろ?」
「仕事なんだ。 逞しくやるくらいじゃないと、やらない方がいい。」
二年目ということで期待外れになるのではとの不安などもあったが、それが少女達の勉強になるならばと雪広グループ関係者は見守っていた。
実際商品にしろイベントにしろ、失敗するのは大人でも珍しくはない。
横島がかなり助けているのを知っていたが、それを加味しても二年目は期待値があがるだけ大変だと大人達は見ていたのだ。
「無欲の勝利かね?」
「無欲?」
「一人居るだろ? 無欲で心からお客さんの為に楽しんでる子がさ。」
「ああ、タマモちゃんか。 確かにな。」
横島の手助けや少女達の二年目の経験、そして最後に後押ししたのはタマモの無欲さだと一人の関係者は思うらしい。
利益や評価に客単価や回転率など一切考えられない幼子は、お客さんの為にただ努力している。
少女達の店にはそんなタマモの無欲な優しさが溢れていて、それ故にプレオープン四日を過ぎても勢いは衰えないのだろうと見ていた。
世代を越えた交流は麻帆良の売りだが、タマモを見ているとそれは間違ってなかったのだと改めて知らしめる結果になっていた。
「おかげでこっちの弁当も大人気だし、揚げパン用のパンの売り上げもいい。」
一方少女達の店舗の隣の雪広グループのパビリオンでは、物品販売ブースが好調だった。
3ーA公認のひつまぶし弁当は、行列に並びたくない人に人気だし、揚げパン用の一口パンはお土産に買っていく人が続出している。
「おい、弁当追加だ。 三十ほど早めにな。」
「弁当の調理こっちで独立させて正解だったな。売れ行きがいいから間に合わなくなるとこだった。」
雪広グループ側の目的は宣伝広報なので、直接的な売り上げが主目的ではないが売れて悪いことなどない。
今年はどうなるのかと多少心配はあったが、去年の事もあったので弁当は近くの雪広系スーパーで調理しているので追加販売が容易だった。
揚げパン用の一口パンは、別にそのままで食べれない物ではないが、家庭で同じ揚げパンが作れるとなると人気商品になっている。
こちらはグループのパン工場のラインを一つ確保して製造してるので、仮設店舗とこちらでいくら売れても品切にならないようにしていた。
「今年の当たりは揚げパンか?」
「誰でも思い付きそうな物なんだけどな。」
「給食の揚げパンを懐かしみつつ、トッピングと一口の大きさで新しい物にした。商品開発の見本だな。」
わんこひつまぶしも人気で売れ行きはいいが、麻帆良祭後に残るかは手間の関係から少し微妙だった。
あくまでも人海戦術が使えて少量を何種類も食べたい祭りには最適だが、商売としてお店でやるには専門店でも作らぬ限りは更なる手間を減らす工夫などが必要になる。
その点でいえば一口揚げパンは、コンビニやファーストフードでも出せる手軽さがある。
トッピングやパンの具次第では可能性が広がるので、麻帆良カレーに続く第二のご当地グルメになるのではとの期待があった。
「お嬢様も名前を上げたしな。 一年で逞しくなった。」
「中学生の女の子に逞しくなったはまずいだろ?」
「仕事なんだ。 逞しくやるくらいじゃないと、やらない方がいい。」
二年目ということで期待外れになるのではとの不安などもあったが、それが少女達の勉強になるならばと雪広グループ関係者は見守っていた。
実際商品にしろイベントにしろ、失敗するのは大人でも珍しくはない。
横島がかなり助けているのを知っていたが、それを加味しても二年目は期待値があがるだけ大変だと大人達は見ていたのだ。
「無欲の勝利かね?」
「無欲?」
「一人居るだろ? 無欲で心からお客さんの為に楽しんでる子がさ。」
「ああ、タマモちゃんか。 確かにな。」
横島の手助けや少女達の二年目の経験、そして最後に後押ししたのはタマモの無欲さだと一人の関係者は思うらしい。
利益や評価に客単価や回転率など一切考えられない幼子は、お客さんの為にただ努力している。
少女達の店にはそんなタマモの無欲な優しさが溢れていて、それ故にプレオープン四日を過ぎても勢いは衰えないのだろうと見ていた。
世代を越えた交流は麻帆良の売りだが、タマモを見ているとそれは間違ってなかったのだと改めて知らしめる結果になっていた。