二年目の春・8

結局二日目も行列が途切れることなく夕方を迎えた。

野外に立体映像を増やしたこともあり、多少は混雑が緩和されている。

ただまあ、昨年の覇者の出し物を一度見ておこうという人は多く、行列が行列を呼び混雑は完全に解消されなかったが。


「評判は上々か。 並ぶ時間が長いのはマイナスだけど。」

「絵本も増刷よ! 本番前に売り切れそうだわ。」

閉店した店舗で最後まで残っていたメンバーで余り物を食べつつ反省会をするが、大きなトラブルもなく二日も終えることが出来ていた。

タマモとハルナの絵本も売れ行きは好調で、急遽馴染みの印刷屋さんに増刷を頼んだらしい。


「子供の夢を叶えた出し物だって!」

「なんか美化されてない!?」

ちなみにこの日の麻帆良スポーツには、3ーAの森のレストランが幾つかの有力サークルと共に特集を組んで紹介されていた。

幼い子供の夢をみんなで叶えた出し物と書かれていて、若干美化されている。

本当はギリギリまで決まらなくて、一番マシなアイデアを出していたタマモの意見に乗っただけなのだが。


「手作りの温かみがあるセットと、立体映像のコラボは今年も健在。」

「料理も麻帆良祭らしい挑戦的な料理で、軽く食べれる物ばかりなので一度は食べたい逸品って評価いいね。」

麻帆良スポーツの今年の麻帆良祭の出し物ランキングの予想で3ーAのレストランは、堂々の優勝候補の一角になっていて評価は高い。

他にも麻帆良祭観光マップや観光ガイドを私的に作成しているサークルなどがあり、どれも3ーAの扱いは大きく宣伝効果は抜群になる。


「うーん。 宣伝してくれるのはいいが、サプライズ感がなくなるよなぁ。 来る前に内容を知られちゃってるし。」

「メニュー少し変えてみますか?」

「下手に変えると混乱するだけだな。 数量限定で菓子でも売ってみるか。」

ここで問題なのは、店に来る前に店の情報が知られてしまうことだった。

評判自体はいいし、あまり大きな変更は逆効果になるので現状を大きく変える必要はないが、ちょっとした知らないメニューでも増やしたいのが横島にはあるらしい。



結局限定のメニューは横島が少し考えてみることになり、この日は解散となる

あまり派手で誰も知らないようなメニューを出す必要もなく、手軽に食べれる焼き菓子でも作ろうかと横島は考えているが。

ただこの日は横島と美砂達は、麻帆良祭本番に向けて楽器の練習の追い込みもしなくてはならず、帰宅早々地下室で練習を始めることになった。

個々の練習は上達してるが、全体での音合わせは横島が多忙だったこともあり、まだもう少し練習が必要らしい。

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