二年目の春・8

タマモが目を醒ましたのは、窓から差し込む朝日を感じ頃だった。

むくっと起きたタマモは、そこが自宅ではなく異空間アジトであることに一瞬首を傾げるが、まあいいかとベッドに再び横になると一緒に寝ていた横島に抱き付くように二度寝に入る。

いつもならば真っ先に起きてみんなを起こすところだが、ここ数日昼寝をしてなかったタマモはまだ寝足りないらしい。


「おっ!? 刀子さん。 朝飯作ってくれたんっすか!?」

「私は朝になってから来たからね。」

この日横島とタマモが起きたのは、時計の針が九時近い頃だった。

少女達は明日菜が一番早く横島達より一足先に起きたようだったが、この日は昨日一緒でなかった刀子とアナスタシアとチャチャゼロに雪広さやかが、朝になりこちらに来たようで刀子は横島達の朝食まで用意してくれている。


「この時期、麻帆良だとゆっくり出来ないのよね。 本当ここは便利ね。」

すでに麻帆良祭まで一週間を切った状況で一番忙しいのは教師陣であり、刀子はせっかくだからと少女達と一緒に数日休みたいらしい。


「いつでも来て下さいよ。 そうだ、どうせなら一緒に寝ましょうか?」

「それは遠慮しておくわ。」

「朝から何を言ってるんですか!」

「いや、その。 習慣でな……」

横島はタマモと一緒に刀子が用意してくれた朝食を食べながら、さらっと粉をかけるよう発言をするも先に起きていた明日菜に突っ込まれてしまう。

まあいつもの事なので、明日菜も条件反射的に突っ込んだだけなのだが。


「きょうはおやすみ?」

「そうだな。 特にやることもないし」

「うみにいきたい!」

一方のタマモは横島達のいつものやりとりを聞き流しつつ、異空間アジトに来れば店を休む日だと理解してるようで、海に行きたいと言い出す。


「うーん。 みんな疲れてるからなぁ。 あとで聞いてみて良かったらな。 ダメならどっかに散歩でも行こうか」

「うん!」

明日菜や刀子はタマモが行きたいなら、いいという感じだ。

しかしみんな結構疲れてるので今日は休ませてやりたいと考えた横島は、タマモが好きな散歩に付き合うことでこの日の海は回避しようとするが。



「イェーイ! 海だ!!」

お昼近くに全員起きて来る少女達はタマモの提案にあっさり乗ってしまい、いつもの海水浴場に来ていた。

ここは地球でいうハワイなので季節はもう夏そのものであり、一足早い夏の海に少女達は駆けていく。


「みんな若いな。」

「本当ね。」

今回高畑が来てないので大人は横島と刀子とアナスタシアとチャチャゼロだけだが、四人は少女達とタマモの若さに改めて年の違いを感じたのは言うまでもない。

尤も横島は若干鼻の下を伸ばしていて、人のことは言えない様子だったが。

46/100ページ
スキ