二年目の春・8

一方横島と親しい少女達の、この日の夕食は店に戻っての夕食となっていた。

店舗の準備を初めて以降は外食だったが、やっぱり夕食はいつものように食べたいと少女達から要望があった為である。

まあ、それほど手の込んだ料理を作る暇はないので、メニューは比較的手早く食べれる鍋料理になっていたが。


「やっぱりここが一番落ち着くわね」

「そうね!」

外食も決して悪くはないが、地味に慣れない作業で疲れていると横島の店で普通に食べる夕食が一番美味しく感じる。

今夜は魚の寄せ鍋がメインになっていて、あっさりヘルシーな料理を中心に作っていた。

外食ばかりだとカロリーが気になるようで、少女達の方からあっさりした夕食をとのリクエストがあったのだ。

夏も近いこの時期に食べ過ぎは、何かと大変だと気を使っている。

尤も横島に近い少女達は異空間アジトでいつ水着を着るか分からないので、日頃から気を付けてもいるが。


「はにわさんのやたいが、あったんだよ!」

「へ~、ハニワさん達こっちに来てるんだ。」

一方今夜の話題はタマモとアナスタシアが見た麻帆良に来ているハニワ兵の達の話題だった。

身ぶり手振りを交えて今日見たことを語るタマモの話を少女達は興味深げに聞いていたが、ちょっと大丈夫なのだろうかと不安そうな少女も居る。

魔法使いが居る時点で今更かもしれないが、何かやらかすのではと不安にもなるらしい。


「今来てるのは店を出したい奴らだろうな。 学園長先生に許可とか貰ったりしたし。 本番は警備と観光でもっと来るぞ。」

「うわぁ。 そんな話になってるんだ。」

「麻帆良祭期間中は人出が多いからな。 警備が大変らしい。」

ただ少女達はあのハニワ兵が麻帆良祭に大量に来ると聞いて、本当に大丈夫なのかと更に不安になる。

楽しいことをしてれば混ざろうとするし、一緒になって盛り上がるハニワ兵達にはブレーキ役が必要ではと密かに思うようだ。

横島としては限度を考えて楽しんでくれればいいと、楽観的だが。


「あいつらもたまには祭り見物したいだろうからな。 麻帆良祭ならどさくさに紛れて大丈夫そうだしさ。」

あっさりした夕食と慣れ親しんだ環境で身も心も休ませながら、横島と少女達は間近に迫った麻帆良祭の話題で盛り上がることになる。

特にタマモは去年からずっと待ちに待った麻帆良祭なだけに、楽しみで仕方ないようであった。

そして本来の歴史にて少女達を魔法世界の問題に巻き込み利用しようとするクルト・ゲーデルが終わりを迎えようとしているが、少女達には何も知らされることなく終わりそうである。
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