横島君のお店開店

さて横島の方は二階に続き一階の掃除をしながら何をするか考えていたのだが、そんな時に外から店舗を覗き込む木乃香達三人を見つける


「よっ、偶然だなー ここの店なら閉店したらしいぞ」

店舗を覗き込む木乃香達に横島は閉店を知らないで前の店に来たのかと思い声をかけるが、三人は違うとばかりに首を横に振った


「ここに住むんでしょ? 引っ越しの手伝いに来たのよ」

本当は興味本意で様子を見に来ただけだった明日菜だが、一応引っ越しの手伝いという理由にしていた

バカレッドとの異名もある明日菜だったが、常識は割と知っているようである


「そりゃ助かるけど……、なんで部屋借りたの知ってんだ?」

「麻帆良学園報道部が調べたみたいです。 報道部は学園内に限れば警察やマスコミよりも情報が早いのですよ」

まだ誰にも話してないはずの事実を木乃香達が知ってる事に横島は不思議そうに首を傾げるが、夕映は報道部により調べられたと告げる


(表の部活動の情報収集活動も馬鹿に出来ないってか。 魔法協会も上手く利用してるんだろうが、それが一般人に簡単に情報が流れるって事は、情報管理に問題もあるんだろうな)

学園の部活動の情報収集能力に横島は若干驚きつつも、それが木乃香達に流れた結果から情報管理は甘いと考え込む


(まあ、俺には関係ないか)

過去の経験からつい裏側まで考えていた横島だったが、よく考えてみれば自分には全く関係ない話だと思い頭を切り替えていた


「ここで占い屋さん始めるん?」

「いや、占いは趣味だからな~ 商売は別にするつもりだよ」

占いにしては広い店舗に木乃香は若干不思議そうに尋ねるが、横島はやはり占いを本職にするつもりはない


「それでは何をするか決まったのですか?」

「ちょうどいいから一緒に考えて貰おうかな」

「………」

本当は何か考えがあって物件を借りたと考えていた夕映は新しい商売を尋ねるが、本当に何も考えてないような横島に三人はポカーンと呆れてしまう


「ちょ……ちょっと!? 普通考えてから部屋借りるもんでしょ! そんないい加減で大丈夫なの?」

いち早く復活した明日菜はたまらず横島を問いただすように言葉をかけるが、当の横島は大丈夫だと笑って話すのみである


「私はとてつもなく不安なのですが……」


「やっぱり二ヶ月で夜逃げコースじゃ……」

「そうなん? ウチは案外大丈夫だと思うんやけど……」

笑っている横島に三人はコソコソと相談をするが、夕映はあまりに楽天的な横島に不安を感じ明日菜は夜逃げするのではと予想していた

唯一なんとかなるのではと感じていたのは木乃香だが、これが彼女の霊感なのか天然なのかは誰にもわからない


「まだお茶もないんだよな~ 俺ちょっと買い物に行ってくるから、中を見学でもしててくれ」

せっかく木乃香達が来てくれたのにお茶の一つもない事に気付いた横島は、三人に留守番を頼んで買い物に行ってしまう

本当は異空間アジトから食料を取り寄せれば早いのだが、木乃香達の手前こちらで買った方がいいと判断して買い物に行ったようである



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