二年目の春・8
「みんな、おはよう!」
メガロメセンブリアが揺れ始めてる頃、麻帆良は朝を迎えていた。
当然ながら今のところ麻帆良に影響はなく、タマモはいつものように庭の猫達に朝の挨拶をしている。
今年産まれた仔猫達も無事に成長していて、タマモはお姉さんぶって仔猫達にいろいろ教えたりしていた。
庭を見渡すと夏野菜はきゅうりが早くも収穫出来そうに実っていて、トマトやナスなどもいつ実が出来てもおかしくないほどに成長している。
「ヒマワリも大きくなったね。」
「うん! わたしよりおっきい!」
タマモはさよと猫達の健康状態を確認してやると、庭の花壇のヒマワリを見上げて、あっという間に自分の身長を越された成長の早さに改めて驚いていた。
身長が同じくらいまでは私も負けないと言っていたタマモであるが、流石に植物の成長には勝てなかったらしい。
「きゅうり収穫しましょうか?」
「うん! しゅうかくしたい!」
あいにくと横島は仕込みに忙しいので、この日は二人で庭のお手入れをするタマモとさよだが、今日はようやくきゅうりが収穫出来るようで二人仲良くきゅうりを収穫する。
猫達も何となくそんなタマモとさよを眺めてる中、タマモは収穫用のハサミで一つ一つ慎重に収穫していく。
「こういうの見てると、懐かしく感じるんですよね。 何故でしょう?」
自分達で苗を植えて毎日水をあげたり、雑草を取ったりした畑での収穫は格別だった。
たださよはタマモがちょっと背伸びして収穫してる姿に、胸が締め付けられるような懐かしさを感じる。
『姉ちゃん! オレのきゅうりの方が大きいぞ!』
その瞬間さよは、見知らぬ景色の中できゅうりを収穫する丸刈り頭の坊主の幻を見てしまう。
『うふふ、じゃあ私はこっち収穫しちゃうね。』
『あー! それはオレが収穫しようと思ってたのに!』
『早い者勝ちだよ』
それは記憶の底に眠っていた、さよの生前の記憶の断片だった。
苦しい時代だったさよの青春時代に、家の庭を畑にしていた頃の弟との想い出だ。
「さよちゃん? だいじょうぶ?」
「タマちゃん!」
突然呆けたように固まったさよをタマモは心配そうに見上げていたが、そんなタマモの声で我に帰ったさよはそのままタマモを抱き締めていた。
「どうしたの?」
「昔のこと、ちょっと思い出せたの。 私が生きていた頃の大切な想い出。」
心配そうなタマモは横島を呼びに行こうか迷うが、そんなタマモにさよは少し涙ぐみながら過去の一端を思い出せたことの喜びを伝える。
全て思い出せた訳ではないが、思い出せない記憶もいつか思い出せると実感したさよの喜びは、計り知れないものがあるだろう。
タマモと二人できゅうりを手にして猫達に囲まれながら記憶を思い出せた喜びを分かち合っていた。
メガロメセンブリアが揺れ始めてる頃、麻帆良は朝を迎えていた。
当然ながら今のところ麻帆良に影響はなく、タマモはいつものように庭の猫達に朝の挨拶をしている。
今年産まれた仔猫達も無事に成長していて、タマモはお姉さんぶって仔猫達にいろいろ教えたりしていた。
庭を見渡すと夏野菜はきゅうりが早くも収穫出来そうに実っていて、トマトやナスなどもいつ実が出来てもおかしくないほどに成長している。
「ヒマワリも大きくなったね。」
「うん! わたしよりおっきい!」
タマモはさよと猫達の健康状態を確認してやると、庭の花壇のヒマワリを見上げて、あっという間に自分の身長を越された成長の早さに改めて驚いていた。
身長が同じくらいまでは私も負けないと言っていたタマモであるが、流石に植物の成長には勝てなかったらしい。
「きゅうり収穫しましょうか?」
「うん! しゅうかくしたい!」
あいにくと横島は仕込みに忙しいので、この日は二人で庭のお手入れをするタマモとさよだが、今日はようやくきゅうりが収穫出来るようで二人仲良くきゅうりを収穫する。
猫達も何となくそんなタマモとさよを眺めてる中、タマモは収穫用のハサミで一つ一つ慎重に収穫していく。
「こういうの見てると、懐かしく感じるんですよね。 何故でしょう?」
自分達で苗を植えて毎日水をあげたり、雑草を取ったりした畑での収穫は格別だった。
たださよはタマモがちょっと背伸びして収穫してる姿に、胸が締め付けられるような懐かしさを感じる。
『姉ちゃん! オレのきゅうりの方が大きいぞ!』
その瞬間さよは、見知らぬ景色の中できゅうりを収穫する丸刈り頭の坊主の幻を見てしまう。
『うふふ、じゃあ私はこっち収穫しちゃうね。』
『あー! それはオレが収穫しようと思ってたのに!』
『早い者勝ちだよ』
それは記憶の底に眠っていた、さよの生前の記憶の断片だった。
苦しい時代だったさよの青春時代に、家の庭を畑にしていた頃の弟との想い出だ。
「さよちゃん? だいじょうぶ?」
「タマちゃん!」
突然呆けたように固まったさよをタマモは心配そうに見上げていたが、そんなタマモの声で我に帰ったさよはそのままタマモを抱き締めていた。
「どうしたの?」
「昔のこと、ちょっと思い出せたの。 私が生きていた頃の大切な想い出。」
心配そうなタマモは横島を呼びに行こうか迷うが、そんなタマモにさよは少し涙ぐみながら過去の一端を思い出せたことの喜びを伝える。
全て思い出せた訳ではないが、思い出せない記憶もいつか思い出せると実感したさよの喜びは、計り知れないものがあるだろう。
タマモと二人できゅうりを手にして猫達に囲まれながら記憶を思い出せた喜びを分かち合っていた。