二年目の春・8

そのままこの日は作業の遅れを取り戻すべくみんなで奮闘するが、途中タマモは美砂と円と桜子と一緒にみんなのおやつを買いに出ていた。

流石に昼から作業をしてると夕方になれば小腹が空くのだ。


「わっ! きょうりゅうだ!」

楽しげに美砂達とおしゃべりしながら近所のコンビニに向かうタマモだが、ふと見ると大学部の敷地にて雄叫びをあげる恐竜を見つけてしまい美砂達の後ろに隠れてしまう。


「ああ、あれね。 ロボットよ。」

「大丈夫。 大丈夫。」

「ろぼっと?」

タマモが見たのはティラノサウルスだったので、テレビか何かで見たのか食べられちゃうかもしれないと警戒する。

そんなタマモに美砂達は笑いながら本物じゃないロボットだと教えるが、タマモとしてはロボットはカクカクした物か合体するイメージしかないらしく首を傾げて考え込む。


「うーん。 ちょっと見に行こっか?」

「あぶなくない?」

「大丈夫だよ」

基本的に人見知りや物怖じしないタマモの珍しい姿に美砂達は微笑ましく思えてしまい、邪魔にならないようにと敷地内に入り恐竜ロボットに近付いていく。


「すいませーん。ちょっと見学していいですか?」

「ああ、いいぞ。」

「って誰かと思えばタマモちゃんじゃないか!」

「あっ、こんにちは!」

それは工学部のロボット研究会の恐竜ロボットで、動かしてるメンバーは工学部の学生だった。

桜子が遠慮なく見学させて欲しいと頼むと男ばっかりの学生達は歓迎するが、一人の学生がタマモを見て驚くとタマモは笑顔で挨拶した。


「タマちゃん。知ってる人?」

「うん! おみせにきてくれるひと!」

「どうだ? すごいだろ?」

「うん! かみついたりしない?」

「アハハ。 噛みついたりはしないな。 これ大きなオモチャなんだよ」

顔見知りが居たことでタマモは危ないとか怖いより好奇心が出てきたようだが、そんなタマモは例によって警戒しながら近寄りクンクンと匂いを嗅いでまた首を傾げた。

よく分からないが生き物の匂いはしなく、タマモ的には以前の茶々丸に近い匂いに感じる。

ロボットとかガイノイドとか今一つ理解してないタマモからすると、茶々丸の友達かなと考えつつ大きな口に噛まれたら痛そうだと美砂達の元に逃げていく。

学生達はそんなタマモを笑いながら微笑ましげに見ていて、何度か説明してるうちにタマモはようやく恐竜が生き物ではないと理解した。


「すごかったね!」

せっかくだからと恐竜と記念写真を撮ったタマモは満足げな表情で、本来の目的であるおやつを買いにコンビニへと再びむかうことになる。

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