二年目の春・8
翌日の中等部は午後から麻帆良祭の準備をする時間になっていて、お昼を食べた少女達は仮設店舗へとやって来ていた。
今年は早めに動き出したはずが、気が付けばギリギリとなってる現状に少女達自身もようやく危機感が出てきたらしくやる気はあるらしい。
「タマちゃん、そこにあるのは絶対舐めたらあかんえ。」
「ぜったい?」
「絶対や。」
この日の仮設店舗は内装や外観に使う資材なんかがたくさん置いてあり、タマモは瞳を輝かせて見ていた。
大工さんになるんだと喜ぶタマモであるが、木乃香達はまずさきにタマモに資材なんかを舐めたりしないように言い聞かせる。
元々の習性か、タマモは時々食べ物以外も匂いをかぎ舐めようとしたりして周りに止められることがあるのだ。
流石にペンキまでは舐めないと思うが、きちんと教えておく必要があるとは思うらしい。
タマモの正体を知らぬ少女達はそこまで言わなくても大丈夫だろうと笑っているが、木乃香達は真剣だった。
「外観はまた発泡スチロールなんだ。 」
「本物の木とか木目調の物って、結構高いぞ。」
外観は発泡スチロールで木のように整形して塗装することにしていて、横島は早くも数人の少女達と発泡スチロールの切り出しを行っている。
流石に室内はもう少し違う物を使うらしいが、あまり本格的な物を使えばそれだけ経費がかかるのだ。
発泡スチロールならば、雪広グループから廃棄する物をタダで貰えるという利点があった。
「タマちゃんはこっちや」
「うん!」
そしてタマモだがこの段階では正直戦力になってるとは言いがたく、木乃香が自分の仕事である椅子に被せる布のカバーを縫うのを手伝わせていた。
針に糸を通したり、布を切るのをやらせてみたりしていている。
こちらは日頃ハニワ兵がやってる作業に近くタマモもよく見ているので、簡単なお手伝いならば可能だった。
タマモ本人は大工さんらしい仕事じゃないなと少し首を傾げていたが、少女達の半数はこちらの作業をしてるので文句がある訳ではない。
「高畑先生って、不器用?」
「いや~、こういうのあんまりやったことなくて」
一方思わぬ注目を集めているのは、担任の高畑であった。
電熱線カッターや通常のカッターで発泡スチロールを切って目的の形にしていくだけなのだが、高畑は意外なことに下手だったのだ。
鼻歌交じりにいい加減にも見えるスピードと雑さで次々と仕上げる横島の隣で、何度も手を加えながら整形しているがなかなか上手くいってない。
横島の物はよく見ると意外に悪くないなと見えるが、高畑の作ってる物はどうしても違和感があるように見えてしまう。
正直三年間一緒だった高畑も、こうして麻帆良祭の準備から手伝うのは初めてであり少女達は新鮮だったのか笑っていたが。
今年は早めに動き出したはずが、気が付けばギリギリとなってる現状に少女達自身もようやく危機感が出てきたらしくやる気はあるらしい。
「タマちゃん、そこにあるのは絶対舐めたらあかんえ。」
「ぜったい?」
「絶対や。」
この日の仮設店舗は内装や外観に使う資材なんかがたくさん置いてあり、タマモは瞳を輝かせて見ていた。
大工さんになるんだと喜ぶタマモであるが、木乃香達はまずさきにタマモに資材なんかを舐めたりしないように言い聞かせる。
元々の習性か、タマモは時々食べ物以外も匂いをかぎ舐めようとしたりして周りに止められることがあるのだ。
流石にペンキまでは舐めないと思うが、きちんと教えておく必要があるとは思うらしい。
タマモの正体を知らぬ少女達はそこまで言わなくても大丈夫だろうと笑っているが、木乃香達は真剣だった。
「外観はまた発泡スチロールなんだ。 」
「本物の木とか木目調の物って、結構高いぞ。」
外観は発泡スチロールで木のように整形して塗装することにしていて、横島は早くも数人の少女達と発泡スチロールの切り出しを行っている。
流石に室内はもう少し違う物を使うらしいが、あまり本格的な物を使えばそれだけ経費がかかるのだ。
発泡スチロールならば、雪広グループから廃棄する物をタダで貰えるという利点があった。
「タマちゃんはこっちや」
「うん!」
そしてタマモだがこの段階では正直戦力になってるとは言いがたく、木乃香が自分の仕事である椅子に被せる布のカバーを縫うのを手伝わせていた。
針に糸を通したり、布を切るのをやらせてみたりしていている。
こちらは日頃ハニワ兵がやってる作業に近くタマモもよく見ているので、簡単なお手伝いならば可能だった。
タマモ本人は大工さんらしい仕事じゃないなと少し首を傾げていたが、少女達の半数はこちらの作業をしてるので文句がある訳ではない。
「高畑先生って、不器用?」
「いや~、こういうのあんまりやったことなくて」
一方思わぬ注目を集めているのは、担任の高畑であった。
電熱線カッターや通常のカッターで発泡スチロールを切って目的の形にしていくだけなのだが、高畑は意外なことに下手だったのだ。
鼻歌交じりにいい加減にも見えるスピードと雑さで次々と仕上げる横島の隣で、何度も手を加えながら整形しているがなかなか上手くいってない。
横島の物はよく見ると意外に悪くないなと見えるが、高畑の作ってる物はどうしても違和感があるように見えてしまう。
正直三年間一緒だった高畑も、こうして麻帆良祭の準備から手伝うのは初めてであり少女達は新鮮だったのか笑っていたが。