二年目の春・8

「ではどうぶつさんの不思議なレストランでよろしいですか?」

「賛成ー!」

結局タマモをプロデューサーと言う名の責任者にしたことでクラスはようやく一つに纏まった。

テーマはどうぶつさんと旅行に行くレストランになったのだ。

タマモに至ってはプロデューサーの意味を説明されても完全に理解してないが、とりあえずどうぶつさん達が旅行出来る不思議なレストランというおとぎ話に出てきそうなアイディアを披露して一番マシで無難だったのが一つの決め手だろう。

それぞれに意見はあったが、タマモがやりたいならと引いた少女も居るが。


「では椅子とテーブルですが。」

「これなんてどう?」

「アタシはこっちかな?」

そして焦点だった椅子とテーブルに関しては、大きな切り株のテーブルにキノコの椅子が人気のようだ。

店内は森の中を基本的なイメージとして、立体影像を使うときには見やすいようにと白いスクリーンをレストランの壁に下ろす案がいいのではと話が進む。

去年との違いは立体影像を部分的ではなく店舗全体に広げることで、去年はモンスターやファンタジーらしい物などを立体影像で投影して部分的に使っていただけなのだ。


「外観はやはり木がいいわね。」

そしてもうひとつの焦点だった外観だが、少女達のアイデアで下の店舗部分を根本に上部を立体影像で世界樹を投影してミニ世界樹の外観にしようと決まる。

世界の何処かにあるもうひとつの世界樹はどうぶつさん達の不思議なレストランだった。

そのレストランではどうぶつさん達が世界の各地に旅行に出掛けることが出来る不思議なレストラン。

そんなストーリーが完成した。


「燃えるわね! これを絵本にして売るわよ!」

「ハルナ。 もう十日もありませんが出来るんですか?」

「私に任せなさい! 当日までには間に合わせるわ!」

ちなみに一人だけ違う方向で燃えていたのはハルナだった。

彼女は何故かレストランのストーリーで絵本を作ると言い出すと、準備を投げ出して女子寮に戻ってしまう。

なおハルナは印刷は横島に頼むつもりで、異空間アジトを使っても間に合わせると妙な気合いが入っている。


「絵本ですか。 地味に売れそうではありますが。」

「そのまま作家としてデビューでも狙ってそう。」

「なるようになるわよ。」

若干薄汚れた精神のハルナにな絵本が作れるか心配な夕映達だが、どうせ言っても聞かないし好きにしたらいいのではと諦めぎみだった。


「わたしのすけっちぶっく。もっていっちゃった。」

「大丈夫や。あとで返して貰おうな」

突然の思い付きで勝手に動き出したハルナだが、絵本の絵はタマモの絵を元にするらしくタマモのスケッチブックを持っていってしまい、タマモと少女達を唖然とさせる。

ただまあイメージ自体はタマモが居れば大丈夫なので、この日はタマモのイメージをみんなに伝えて必要な物を用意することでほぼ時間がなくなることになる。

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