二年目の春・7
「へぇ…… クルト・ゲーデルが動いてると? あの詰んでる状況の彼に何ができるんだい?」
」
「わからん。 だが奴と近しい者と悠久の風がメガロメセンブリアで何かをしている。」
一方魔法世界の某所では秘密結社完全なる世界のデュナミスがようやくクルトの動きを察知して、地球にいたフェイト・アーウェルンクスを呼び戻していた。
「まさか悪足掻きでもして、姫御子か主の居場所でも掴んだのかい?」
「わからんと言っただろう。 だがタカミチは居ない。 第一線を退くという噂もあるし、クルトと決別したという噂もある。」
最早組織とすら言えぬ完全なる世界だが、フェイトが助けた孤児だった少女達が魔法世界に散りなんとか情報を集めている。
そしてメガロメセンブリアでのクルトの妙な動きと、それに関連して悠久の風が何かをしているのはようやく掴んだらしい。
「それで僕にメガロメセンブリアへ行けと?」
「ああ。 どうせ手懸かりも掴んでないのだろう?」
「文句があるなら貴方が行けばいい。 デュナミス。」
デュナミスは未だに手懸かりも掴めぬフェイトに明らかに不満な様子だった。
さっさとメガロメセンブリアに行けとでも言いたげな態度を取るが、そんなデュナミスにフェイトの方は不快な表情になり反旗を翻す。
アーウェルンクスシリーズの中でも少し変わっているフェイトは、使命を与えられているが同時にそれに疑問を感じるだけの自由も与えられている。
デュナミスにとってアーウェルンクスはただの人形でしかないが、フェイトはそんなデュナミスと価値観が合わない部分があった。
あくまでも主たる創造主を探すことは一致してるものの、厳密に言えばフェイトはデュナミスの命令を聞くようには言われてはいない。
「勘違いしないで欲しい。 僕は貴方の人形ではない。 僕は僕のやり方で主を探す。」
予期せぬフェイトの言葉に互いににらみ合い、どれだけ沈黙が続いたかは不明だが、先に動いたのはフェイトだった。
これ以上ここに居ても何にもならないと判断したのか、フェイトは立ち上がるとそのままデュナミスに背を向けてその場を後にする。
「人形風情が。」
フェイトの姿が見えなくなるとデュナミスは吐き捨てるように一言呟くも、それ以上口を開くことはなかった。
本来の歴史とは違い手懸かりもなくメガロメセンブリアの捜索の手が今も延びている現状では、デュナミス一人ではどうしようもない。
彼自身も戦えるが、一人で出来ることは限られている。
それにクルトの行動が一種の罠の可能性も考慮すれば、デュナミスは自らメガロメセンブリアには行く気はないらしい。
変わりゆく歴史の中で、かつては魔法世界において創造主の力により数多の命を消し去り人の運命を変えた者達は。
より強大な力を持つ存在により、人知れず追い詰められていた。
彼らに希望の光が射す可能性は、今のところ限りなくゼロに近かった。
」
「わからん。 だが奴と近しい者と悠久の風がメガロメセンブリアで何かをしている。」
一方魔法世界の某所では秘密結社完全なる世界のデュナミスがようやくクルトの動きを察知して、地球にいたフェイト・アーウェルンクスを呼び戻していた。
「まさか悪足掻きでもして、姫御子か主の居場所でも掴んだのかい?」
「わからんと言っただろう。 だがタカミチは居ない。 第一線を退くという噂もあるし、クルトと決別したという噂もある。」
最早組織とすら言えぬ完全なる世界だが、フェイトが助けた孤児だった少女達が魔法世界に散りなんとか情報を集めている。
そしてメガロメセンブリアでのクルトの妙な動きと、それに関連して悠久の風が何かをしているのはようやく掴んだらしい。
「それで僕にメガロメセンブリアへ行けと?」
「ああ。 どうせ手懸かりも掴んでないのだろう?」
「文句があるなら貴方が行けばいい。 デュナミス。」
デュナミスは未だに手懸かりも掴めぬフェイトに明らかに不満な様子だった。
さっさとメガロメセンブリアに行けとでも言いたげな態度を取るが、そんなデュナミスにフェイトの方は不快な表情になり反旗を翻す。
アーウェルンクスシリーズの中でも少し変わっているフェイトは、使命を与えられているが同時にそれに疑問を感じるだけの自由も与えられている。
デュナミスにとってアーウェルンクスはただの人形でしかないが、フェイトはそんなデュナミスと価値観が合わない部分があった。
あくまでも主たる創造主を探すことは一致してるものの、厳密に言えばフェイトはデュナミスの命令を聞くようには言われてはいない。
「勘違いしないで欲しい。 僕は貴方の人形ではない。 僕は僕のやり方で主を探す。」
予期せぬフェイトの言葉に互いににらみ合い、どれだけ沈黙が続いたかは不明だが、先に動いたのはフェイトだった。
これ以上ここに居ても何にもならないと判断したのか、フェイトは立ち上がるとそのままデュナミスに背を向けてその場を後にする。
「人形風情が。」
フェイトの姿が見えなくなるとデュナミスは吐き捨てるように一言呟くも、それ以上口を開くことはなかった。
本来の歴史とは違い手懸かりもなくメガロメセンブリアの捜索の手が今も延びている現状では、デュナミス一人ではどうしようもない。
彼自身も戦えるが、一人で出来ることは限られている。
それにクルトの行動が一種の罠の可能性も考慮すれば、デュナミスは自らメガロメセンブリアには行く気はないらしい。
変わりゆく歴史の中で、かつては魔法世界において創造主の力により数多の命を消し去り人の運命を変えた者達は。
より強大な力を持つ存在により、人知れず追い詰められていた。
彼らに希望の光が射す可能性は、今のところ限りなくゼロに近かった。