二年目の春・7
その後も雑談は続き、なかなか意見が纏まらない。
当然部活やサークルの準備もあるので、全員が揃うことはまあ少ないわけで居る人で決めて準備をしなくてはいけなかった。
「みなさん、とりあえず椅子とテーブルをどんな物にするか考えましょう」
「普通じゃ面白くないよね!」
「飛行機の椅子は!?」
「いや、新幹線でしょ!」
結局あやかが中心となってみんなで考え始めるが、まず立ち塞がったのはフロアをどうするかという問題で、椅子やテーブルをどんな物にするかである。
イベント用の簡素な椅子やテーブルでは味気ないのは確かなのだが、去年の木製の椅子やテーブルは今年は合わないだろう。
比較的多いのが立体影像で旅をするようなコンセプトで考えていたので、乗り物系の椅子やテーブルだった。
ただ問題は乗り物系はテーブルが小さくて食べにくいことなんかもあるし、そもそも用意できるのか少女達には分からなかった。
「乗り物の椅子か? 出来なくはないだろうが、椅子の値段とか輸送費を考えると怖いな」
一方この日は担任として付き添いで来た高畑が居るので男一人でない横島は、高畑と後ろで話を聞いていたが少し難しいかと考えている。
プレオープンを合わせて一週間もない営業なだけに、椅子にかけられる経費は限られていた。
「ねえねえ、かぼちゃのばしゃは?」
「……かぼちゃの馬車?」
そしてタマモは木乃香と明日菜に挟まれながら、腕組みをしてタマモなりに真剣に話を聞いていたが、乗り物の名前があちこちから出るのでなんとなく頭に浮かんだ乗り物の名前を口にする。
昨日寝る前に読んで貰った、大好きなシンデレラの絵本を何故か思い出したらしい。
「馬車はね……」
「それだぁ! 何もありふれた乗り物にする必要無いのよ!」
「どういう意味?」
タマモの何気ない一言は、意外にも周りに聞こえたらしいものの反応はあまり良くない。
ただここでハルナが突然大声を上げると、クラスメートは今度は何なんだと視線を向ける。
「かぼちゃの馬車の椅子とテーブルとかいいじゃない! あとはキノコの椅子とテーブルとか、珊瑚の椅子とテーブルとか! メルヘンにしちゃえばいいじゃないのさ!」
突然大声を上げたハルナにタマモもビックリして見ていたが、いっそメルヘンの乗り物のようにしちゃえばいいと少し乱暴な意見を言うハルナの言葉には一定の説得力があった。
提供する料理と店が合うかという問題もない訳ではないが、ならば日本の昔話風にすればいいという考えも出れば、少なくとも高いお金がかかる乗り物の椅子を頼むよりは現実的だった。
「でもメルヘンの椅子とか作れるの?」
「作れるかもしれないよ。演劇部だと舞台のセットとか小道具は手作りしてるから。少なくとも去年くらいなら出来ると思う。」
あとの問題はそれらしい物が作れるかだが、ここで珍しく意見を口にしたのは演劇部の夏美だった。
ある意味部活でメルヘンっぽい小道具をよく作る彼女からすると、去年のレベルの物なら十分作れるという確信がある。
当然部活やサークルの準備もあるので、全員が揃うことはまあ少ないわけで居る人で決めて準備をしなくてはいけなかった。
「みなさん、とりあえず椅子とテーブルをどんな物にするか考えましょう」
「普通じゃ面白くないよね!」
「飛行機の椅子は!?」
「いや、新幹線でしょ!」
結局あやかが中心となってみんなで考え始めるが、まず立ち塞がったのはフロアをどうするかという問題で、椅子やテーブルをどんな物にするかである。
イベント用の簡素な椅子やテーブルでは味気ないのは確かなのだが、去年の木製の椅子やテーブルは今年は合わないだろう。
比較的多いのが立体影像で旅をするようなコンセプトで考えていたので、乗り物系の椅子やテーブルだった。
ただ問題は乗り物系はテーブルが小さくて食べにくいことなんかもあるし、そもそも用意できるのか少女達には分からなかった。
「乗り物の椅子か? 出来なくはないだろうが、椅子の値段とか輸送費を考えると怖いな」
一方この日は担任として付き添いで来た高畑が居るので男一人でない横島は、高畑と後ろで話を聞いていたが少し難しいかと考えている。
プレオープンを合わせて一週間もない営業なだけに、椅子にかけられる経費は限られていた。
「ねえねえ、かぼちゃのばしゃは?」
「……かぼちゃの馬車?」
そしてタマモは木乃香と明日菜に挟まれながら、腕組みをしてタマモなりに真剣に話を聞いていたが、乗り物の名前があちこちから出るのでなんとなく頭に浮かんだ乗り物の名前を口にする。
昨日寝る前に読んで貰った、大好きなシンデレラの絵本を何故か思い出したらしい。
「馬車はね……」
「それだぁ! 何もありふれた乗り物にする必要無いのよ!」
「どういう意味?」
タマモの何気ない一言は、意外にも周りに聞こえたらしいものの反応はあまり良くない。
ただここでハルナが突然大声を上げると、クラスメートは今度は何なんだと視線を向ける。
「かぼちゃの馬車の椅子とテーブルとかいいじゃない! あとはキノコの椅子とテーブルとか、珊瑚の椅子とテーブルとか! メルヘンにしちゃえばいいじゃないのさ!」
突然大声を上げたハルナにタマモもビックリして見ていたが、いっそメルヘンの乗り物のようにしちゃえばいいと少し乱暴な意見を言うハルナの言葉には一定の説得力があった。
提供する料理と店が合うかという問題もない訳ではないが、ならば日本の昔話風にすればいいという考えも出れば、少なくとも高いお金がかかる乗り物の椅子を頼むよりは現実的だった。
「でもメルヘンの椅子とか作れるの?」
「作れるかもしれないよ。演劇部だと舞台のセットとか小道具は手作りしてるから。少なくとも去年くらいなら出来ると思う。」
あとの問題はそれらしい物が作れるかだが、ここで珍しく意見を口にしたのは演劇部の夏美だった。
ある意味部活でメルヘンっぽい小道具をよく作る彼女からすると、去年のレベルの物なら十分作れるという確信がある。