二年目の春・7

「カロリー高そうやわ。」

「そうだね。」

麻帆良祭の出し物の容器について決めた横島達は残る課題のメニューの完成度を高めることを始めるが、一口揚げパンに生クリームやアイスをトッピンクしてみていた。

油で揚げたパンに砂糖などではなく生クリームをトッピンクしたりアイスの上に揚げパンを乗せてみたりしていて、美味しい事には変わりないが、やはりカロリーの高さが気になるのは年頃だからであろう。

実際カロリーは高いのだが。


「ここに彩りを考えてこのチョコをふりかけると。」

しかも横島はそこに彩りを考えてお菓子作りなどに使う細かくてカラフルなカラースプレーというチョコをまぶすと、本当にジャンクフードらしい彩りもいい一品になる。

基本的にシンプルな見た目のスイーツが多い横島の店ではあまり使わぬものであるが、どうしても揚げパンは見た目が地味なので何かしらの彩りが欲しいのだ。


「横島さんらしくないスイーツですわね?」

「うちの店では出さんタイプだからな。 でもお祭りのチョコバナナとか美味いだろ? ジャンクフードにはジャンクフードの美味さがあるんだと思う。」

なんというか横島らしくないなと木乃香達ばかりかあやかまで思うが、元々横島はジャンクフードとか好きなので別に抵抗がある訳ではない。

チープな味と言えばその通りだが、子供などが喜びそうな見た目は麻帆良祭では大切だと横島は思うようだ。


「ね! おいしそうなにおいがするでしょ!」

「流石タマちゃん!」

さて試食をとしたその時、タマモと桜子が厨房に入ってくる。

どうも匂いを嗅ぎ付けたタマモが桜子と共に味見にやって来たらしい。


「どうだ? 見た目とか?」

「うん! きれい!」

「可愛いと思うよ♪」

見た目の派手さはまずまずのようで肝心の味だが、熱い揚げパンと冷たいアイスやクリームの組み合わせは意外に良かった。

まあ揚げパンの中には餡が入ってるので少しくどいというか濃い味にはなるが、横島はクリームの量やトッピンクの量を考えれば大丈夫だと考えている。


「去年のゼリーとかソフトクリームより簡単だしな。 ひつまぶしが少し手間がかかるからこのくらい簡単なのがベストだろ。」

「これ真似したくても一口サイズのパンが特注なのも意外にミソですね。 真似するには雪広グループから買うしかないと。」

「別に真似したきゃすればいいさ。 売れなくなったら味で勝負に切り替えるから。」

「そこが横島さんの怖いとこですね。」

一方夕映は真似しやすいメニューながら、手頃な一口パンが今のところ雪広グループの特注で真似出来ないことも一口揚げパンの利点だと考えていた。

しかも横島は真似されて売り上げが落ちたら味で勝負する方向に切り替えるつもりだし、それが可能なのは去年の麻帆良祭で明らかなのでタチが悪いと思うようだ。

元々計画性というものがあまりない横島は突発的な対応と応用力は高い。

まあ周りが付き合うのは大変なのだが。

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