二年目の春・7

「早く決めないとなぁ。」

翌日になると横島は木乃香・のどか・夕映・あやかと雪広グループの社員と共に、麻帆良祭のメニューの容器をどうするかを店の厨房で話ていた。

一応雪広グループからは既存の使い捨て容器のサンプルとカタログに食器洗い器のカタログを持参していて、横島の側には超鈴音が置いていった食べられる容器の現物が残されている。


「量産出来るんですか?」

「うーん。 生産ラインはないからうちも食品研究してるとこで作ればまあなんとか。 大学部と協力すれば間に合わせることは出来ると思いますが。」

やはりインパクトがあり使い捨てと違い食べられる利点は大きく総論では食べられる容器がいいのではという話になる。

耐水性も思ってたより悪くなく多少時間を置けば染みていくが漏れる前に食べれば、それはそれで味が染みて結構美味しいということも判明していた。


「作ってもいいのではないでしょうか? これは最悪麻帆良祭で使えなくても納涼祭で使いたいほどです。」

「納涼祭ですか。」

「あちらは汁物以外にもありますしね。」

問題は量産する生産ラインまではないので早く作るか決めないといけないことで、メニューの最終決定を待っていれば間に合わなくなることだ。

横島達はどうするか悩むが、ここで夕映は食べられる容器を先行して生産することを提案する。

もし何かの理由で使えなくなっても納涼祭には様々な料理が予定されているので、小さなお茶碗サイズの食べられる容器ならば使い道はいくらでもあった。

寧ろゴミの削減を考えるなら納涼祭向きではとすら夕映は考えている。


「単価は原材料で考えて頂いて構いません。大学部との話し合いは必要ですが試作品として作り麻帆良祭で好評だったら本格販売に向けて動きますから。」

「じゃあ、それでいきましょうか。」

単価は正直海外製の使い捨て容器には負けると思われるが、そう高くて使えないという程にもならないだろうと雪広グループの社員は話していて、どのみち量産は麻帆良祭までには間に合わないので、食品研究してるところで機械を使い作る以上はあまり単価を気にするだけ無駄であった。

最終的には評判次第では量産を考えて今から動くのが精一杯であり、販売単価なんかはその時までは開発費で気にしなくてもいいレベルになる。


「量は去年のことを考えると、確実に余るくらいにしませんといけませんわね。」

そして生産数は去年の混雑を考えたら途中で足りなくなったでは話にならない。

一応一つ百円代で横島は考えてることから計算して十万個は容器に確保したいとなる。

去年に関しては最終日に食材が足らなくヘリでの輸送までした記憶もあるし、実際はその半分でも余裕で足りそうではあるが余れば納涼祭に回せばいいからと十万個を目指すことにした。

すぐに手に入らない物だけに最終日に器が使い捨てになるなんて自体だけは避けたいのだ。

まあ製造するの側の都合もあるのであくまでも努力目標ではあるが。

79/100ページ
スキ