二年目の春・7

「ふーん。そう。 まあいいんじゃない?」

この日の夜、夕映はのどかとハルナに超鈴音の今日の会議でのことを話していい変化の兆しかもしれないと教えていたがハルナの反応は冷たい。


「ハルナ。 やっぱり信じられないの?」

「別にどっちでもいいわね。 ただ好き勝手した責任も取らないんだなって考えたら私は彼女を評価しないけど。 先生達もやったもん勝ちを認めたんだって思うとちょっとがっかりするくらいかしら。」

のどかは素直に喜ぶもハルナはやはり超鈴音に厳しく改心しただけでは評価しないとキッパリと言い切る。

ハルナの場合は本当にやったもん勝ちを許したんだという大人達にも不満はあるようであるが、超鈴音に関しては過去に来て歴史を変えたのに責任も取らないで程度なんだなと考えたら呆れて物が言えないと言いたげだった。


「実際責任の取りようがありませんからね。 それに未成年の犯罪は更正を主としていて罰を与える為ではありませんよ。」

「分かってるわよ。 でも彼女ならそこまで計算してたと思うけど。」

「そうかもしれませんが。」

ハルナは面白くないようだが客観的に見て未成年の超鈴音のしかも法律に引っ掛からない犯罪をどう裁くかは難しく、まだ超鈴音を疑ってる夕映ですら現状が無難かと見ている。

大学部では嘆願書まで出した訳で表で過剰に処罰出来ないし、かといって裏で密かにというのもあれだけ騒ぎになれば簡単でないのは考えるまでもない。


「ですが責任はこの先に取る可能性もありますしね。 何があるのか知りませんが、変えようとした歴史が起きた時に彼女が上手く立ち回り歴史よりマシにしてくれる可能性もゼロではないですし。」

「夕映。 あんたまだそんな期待してるの?」

「いえ私はそこまで都合良くは期待してないですよ。 ただ可能性の話としてしてる訳でして。」

「お金も利権も手離さないし研究も続ける。 彼女何を失った? なんか私には上手く立ち回ったようにしか見えないわ。」

夕映は信用はしてないがそこまで超鈴音に敵対的でもないがハルナは横島側の人間で一番超鈴音に厳しいかもしれない。

自ら非常識ともいえる行動を取る彼女だが、ある意味一番そういう行動の重さを理解してるという部分はあるのだろう。


「何度も言うけど私はどっちでもいいわね。 元々そんなに話もしたことないし。 ただ超のこと面白くないと思ってる人、多分意外に多いと思うわよ。」

ハルナは現状で近右衛門や横島が目を光らせて自分達に害がないならば文句までは言う気もなく、親友の二人にだからこそ話した本音だろうが超鈴音に対する周囲の潜在的な疑念は消えてないだろうし不満はむしろ増してるのではと指摘する。

安易に心を入れ替えたのではと安心したいような夕映とのどかにハルナは警告したいだけだったのかもしれない。


「あんまり仲良くすると、あんた達まで嫌な目で見られるから気を付けなさいよ。」

一度失った信頼はそう簡単には戻らぬし、やったもん勝ちをした超鈴音がこの先疑念や不満を持たれると困るのは仲良くしてる者まで同類だと見られる可能性だとハルナは考えてるようだ。

夕映とのどかは横島や近右衛門が楽観視し過ぎではと少し不安になることになる。


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