二年目の春・7

一方麻帆良祭に向けた動きは3ーAばかりでなく学園全体ですでに準備は進んでいて、名物の一つである凱旋門のレプリカを始めとした建築物は今が準備の最盛期だった。


「ねえねえ、これなあに?」

「おじょうちゃん。こいつは麻帆良祭の案内看板だな。あちこちに作ってんだ。」

横島の店の周りは住宅地なため空き地などなく特に変わった建築物はないが、いつも散歩するコースの一角には大きな案内看板が立てられていてタマモはチャチャゼロや猫達と若干不思議そうに見上げていた。


「あれ? おじょうちゃん。 マホラカフェのタマモちゃんだろ?」

「うん! おさんぽしてるの!」

「マジか!? 一緒に写真撮っていいか?」

「うん。 いいよ。」

看板を建てていたのは大学部の人達だったが一人の男子大学生がタマモの正体に気付くと、何故か一緒に写真撮影をしたいと言い始めてしまうがタマモはあっさりとオッケーして一緒に作業をしていた男子大学生に携帯電話で写真を撮ってもらう。


「お前、ロリコンか? 流石に捕まるぞ。」

「馬鹿だな。 タマモちゃんの写真は幸運を呼ぶってうわさなんだぞ!」

ニッコリと笑顔で男子大学生と一緒に写真に写ったタマモは楽しげであったが、流石に他の大学生は引き気味でロリコン扱いしていた。

ただ実は最近大学部では何故かタマモの盗撮写真や画像が幸運を呼ぶラッキーアイテムとして出回っていて、その影響だったりする。

昨年の体育祭の保護者による野球大会や料理大会から始まり先日の松岡選手のホームランボールゲットなど、横島や木乃香達が注目される度に一緒に目撃されているタマモは最近何故か大学部では幸運を呼ぶ子供だと言われているらしい。


「そんな馬鹿な話……。 オレもいいか?」

「うん。」

馬鹿じゃないのかと一緒に作業をしていた大学生は笑うが、それでも幸運を呼ぶと言われると欲しくなったらしく物は試しだと考えたようでタマモは次々に大学生達と写真を撮っていくことになる。


「こんどおみせにきてね!」

「おう! ありがとう。 必ず行くからな!」

ただタマモもただ流されるばかりではなく、ちゃっかり彼らに店に来てと宣伝することも忘れないが。

横島は別にこれ以上忙しくならなくていいと思ってるが、タマモはいろんなお客さんにもっと自分のお店に来て欲しかった。

ちなみにこれ以降彼らが一緒に撮った写真を自慢するので幸運を呼ぶ少女タマモと一緒に写真を撮りたいと考える学生が増えるが、大学部の木乃香や夕映やのどかを見守る極秘サークルなどが過度な接触を辞めさせるべく密かに暗躍する結果タマモの周りに大学生が押し寄せる事態にはならないのだが。

しかしその分だけ前々から親しかった女子中高生の間でタマモと一緒に写真を撮るブームが来ることになる。


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