「美味しそう！」

「お腹すいた～。」

そして夕食の時間となると３ーＡの少女達が集まっていて夕食を兼ねて試食会となるが、テーブルに並ぶ試作メニューに少女達は試食というか普通に食事するように食べたい物を手に取り食べ始める。

一応試食会としているがそれほど深く考えてる少女はあまり多くなく純粋にちょっとしたパーティ感覚なのだろう。


「右から牛豚鶏と変えてみたんだが……。 って聞いてるか？」

「聞いてないですね。」

横島はこの日の試食会に合わせて鶏ひつまぶしに加えて牛しぐれ煮風ひつまぶしと豚の照り焼き風ひつまぶしと揃えていて意見を聞こうとするが、育ち盛りの少女達はご馳走を食べるのに夢中で全く聞いてない。

もちろん夕方から訪れている雪広食品の社員はきいているが。


「やばい、ご飯がススム！」

「もうちょっとニンニクとか辛さとか効かせてパンチがある味にしたらどうなんだろ？」

「えー！ お昼からニンニクはキツくない？」

ただまあ少女達はそれぞれに好き勝手に食べては感想を口にするので、横島達や超一味はそれをメモしながら味の改良やどれに絞るか考えていく。


「このお新香美味しいわね。」

「ああ、それマスターの手作りだよ。 マスターお新香も本番で出すの？」

「お新香か？ まだ決めてないが。 量を考えると難しいかもな。」

なお味の感想は意外なところにも及び、横島が箸休めにと一緒に出したお新香にあきらが興味を抱く。

海鮮ひつまぶしはともかく残りは肉系なのであっさりとしたぬか漬けのお新香の美味しさが際立つらしい。

横島に近いまき絵や亜子は夕食の時によく出てるので食べなれていたが、地味ながら箸が止まらなくなる美味しさなのだ。


「作れなくもなさそうだけど、地下がぬか漬けだらけになるのもなぁ。」

まだ麻帆良祭まで期間があるので今から準備すれば作れなくもなさそうなのだが、横島と木乃香達は地下がぬか漬けだらけになる光景を想像して微妙な表情をする。

毎日かき混ぜるだけでも一苦労だし麻帆良祭で出す量を確保するなら素直に雪広系列で扱う漬物を買った方がいい。


「お代わり！」

「あんたもよく食べる割に太らないわよね。」

ちなみに試食会ということを半ば放棄している桜子は、試作メニュー一品についお茶碗一杯も盛っては食べてと繰り返していて周りの少女達を呆れさせる。

桜子の場合横島と出会ってから特に食べる楽しさを知ったらしく放っておくとお腹が膨れるほど食べるが、不思議と太る様子はない。


「大丈夫だよ。 ちゃんとデザートの分はお腹を開けてるから。」

「そんな心配してないって。」

食べすぎじゃないのと言わんばかりの美砂と円であるが桜子自身はデザートというかサイドメニューの試食する分を計算して食べてるらしい。

何人かの太りやすい少女は羨ましげに見ているが、わが道をゆく桜子は今を楽しむんだと言わんばかりに美味しそうにひつまぶし各種を頬張り続けた。