二年目の春・7

「二人ともテレビにバッチリ映ってたじゃん!」

「えへへ。」

一方女子中等部の3ーAの教室では横島と少女達がテレビや新聞に載ったことでお祭り騒ぎだった。

特に裕奈なんかはまき絵と亜子に一緒に行かないかと誘われていただけに悔しそうである。

野球にはあまり興味はないが有名選手に会えるなら物珍しさで行ったのだろう。


「麻帆良スポーツは最早松岡選手の写真すらありませんね。」

ちなみにこの日の麻帆良スポーツでは横島と少女達と大学生達の写真が何故か一面になっていて《松岡500号はまたもやこの人が取った!》と500号よりも横島が取ったことを中心に書かれていて、去年の宝くじや麻帆良祭の影の立役者だとか納涼祭の主催者に体育祭で優勝した木乃香の師匠だといろいろ経歴が紹介されていた。

お祭り騒ぎの影には横島が居るとでも言いたいような書き方だが、夕映達ですら否定できないのでもう笑うしかない。

しかも昨日の食事会の様子も写真はないが書かれていて大学生達が感動した様子で取材を受けた内容がのってる。


「ねえ、アナスタシアさんっていいの?」

それと三面には麻帆良にやって来た超絶美女は噂のマスターの元カノ?という芸能ニュースっぽい話が載っていて、今年の麻帆良祭のミス麻帆良の有力候補か!?なんて書かれている。


「大丈夫でしょう。 アナスタシアさんはアナスタシアさんですし。」

のどかなんかはあまり騒ぎになりアナスタシアの正体がバレるのではと心配げだが、横島ならばともかく夕映はアナスタシアがそんなヘマをするはずがないし変身するところでも見られない限りは大丈夫だと確信していた。

最近は雰囲気ががらりと変わったが、かつてのエヴァの孤高の雰囲気を思い出すと正体を知る夕映ですら別人だと思う瞬間があるほどなのだ。


「本当に偶然なところが凄いわね。」

「そうやな~。」

肝心のホームランボールをゲットした横島に関してはボールの落下地点が少女達の上ではないので放置していたら、飲みかけの紙コップに入ってしまったという本当の偶然の結果だったと聞き明日菜と木乃香はなにもしなくても騒ぎを起こす人だと改めて理解している。

横島からすると野球好きな大学生達が取るだろうと高を括っていたら大学生達の間をすり抜けて落ちてきたのだから、自分はなにもしてないと主張はしているのだが。

ただ明日菜と木乃香からすると横島の騒動の周りには桜子も意外と居て、案外桜子の運にも左右されてるのではとも感じていた。

まあ不思議と騒ぎにはなるが悪いことは起きないのでさほど深く気にしてる訳ではないが、なんとなく横島やタマモと桜子は一緒に居ると騒ぎになる確率が上がるのかなとは思っている。


「芸能のスカウトとか来るかも!?」

「さすがに来るわけないって。」

そして噂されてる桜子だが、彼女はこれを機会にスカウトが来るかもしれないとの冗談を口にして周りから笑われていた。

桜子本人は来ても断固断ると明言しているが。


「芸能人なんかになったらマスターのご飯が毎日食べられなくなる!」

断る理由は忙しい芸能人になると横島のご飯らしくいつの間にか餌付けされてる桜子に周りは更に爆笑していた。


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