その頃高畑は広域指導員の仕事で麻帆良中を忙しく走り回っていた

ネギ絡みの問題は相変わらず変わらないのだが、現在は麻帆良祭関連の仕事で考える暇がないほど忙しい

裏表問わず武闘派として知られる高畑なだけに仕事は主に揉め事への対応などだが、この時期は麻帆良の外からやって来るガラの悪い連中から生徒を守るのが主な仕事だった

デスメガネの異名を取る高畑に麻帆良内の者は逆らう馬鹿は居ないが、先程横島達が見たような外部のチンピラなどを確保または麻帆良市内からの退去を迫るのが仕事である

中でも高畑に回って来るのは説得が不可能なような案件が多く、半ば力ずくで確保することも珍しくなかった


「君達には去年も会ったね。　麻帆良学園には来ない約束だったはずだが」

この日高畑が確保したのは先程横島と木乃香が見た相手である

どうやら彼らは去年も問題を起こしたらしく、二度と麻帆良学園に来ないことを条件に解放されていたらしい


「どこに行こうと俺の勝手だろうが！」

先程リーゼント男に手も足も出なかった彼らだが、相変わらず態度が悪く高畑にも睨みつけて威圧しようとする

まあ彼らの理屈ではナメられたら終わりだとでも考えてるのかもしれないが……


「麻帆良市は基本的に麻帆良学園の私有地なのだよ。　従って学園には侵入を拒否する権利がある。　君達は反省もしてないようだし警察に引き渡すからね」

高畑は規則として決まった説明をいくつかした後、彼らは警察に引き渡たされることになる

麻帆良は基本的に麻帆良学園の私有地であり内部で起きた問題は基本的麻帆良学園側で解決されるが、高畑がこの時期に関わる者達は大半が警察に引き渡される者達ばかりだった

私有地とはいえ麻帆良市内にも警察は存在するし、普通に麻帆良内を巡回などをしている

まあ学園絡みの問題は警察も立ち入らないし基本的には平和な街なので警察の仕事はさほどないのだが、この時期の警備や不審者の扱いは麻帆良学園側と警察が協力しているのが実情だった


「よく取り押さえてくれたね豪徳寺君。　しかしこの時期の不審者は危険だから君も気をつけて欲しい」

ガラの悪い連中を警察に引き渡した高畑は彼らを取り押さえたリーゼントの男に声をかけるが、彼の名は豪徳寺薫と言う高校生である

豪徳寺は魔法教師の間では割と有名な一般人で、ケンカの仲裁や不審者の取り押さえなど過去にも人助けをした実績があった

中には迷子の子供の保護などもあり、下手な魔法生徒よりも信頼がある一般人である


「はい、申し訳ありませんでした」

「いや、注意してる訳じゃないんだよ。　君の実力は知ってるからね。　ただ君のような人でも注意はして欲しいってだけなんだ」

リーゼントの見た目に反して礼儀正しい豪徳寺に、高畑は多少苦笑いを浮かべつつ説明していく

高畑としては人助けをした豪徳寺に注意などしたくはないが、この時期の不審者はどこぞのスパイや工作員の可能性もあり少々危険なのだ

出来れば最初に学園側に連絡を入れて欲しいと頼むことは必要だった