麻帆良祭への道

(実行委員会のメンバーの怒りの表情が見えるような気がするです)

普通の同人誌ならばまだいいのだろうが、わざわざ18禁の同人誌を隠れて販売するハルナ達を取り締まる側の実行委員会に、夕映は思わず同情したくなる気がした


「本当は一緒に販売も手伝ってほしいのよ」

「断固お断りするです。 友人の趣味嗜好にケチを付ける気はありませんが、この趣味ばかりは同じだとは見られたくありません」

制作を手伝うまでは友情で我慢するが、流石の夕映とのどかもこの本を売る側に回るのは嫌なようだ

忙しいから一緒に販売も手伝ってほしいと言い出すハルナに夕映は即拒否していた


「あんた達、最近色気づいて来たんじゃないの? 友情より男を取るなんて悲しいわ」

「誰が色気づいて来たと言うのですか。 私にはそんな相手など居ません」

「私も男の人はちょっと……」

からかい半分で意味深な笑顔を浮かべているハルナだが、二人が真顔で即座に否定すると更に面白そうな笑顔を見せる


「その割には二人とも横島さんと仲がいいわよね。 でも気をつけないと他の女に出し抜かれるわよ」

ニヤニヤと面白いおもちゃを見つけたと言わんばかりのハルナだが、夕映とのどかは横島にそんな感情はないとキッパリと言い切っていた


「ふ~ん、そうなんだ~ まあ私はどっちでもいいけど、誰かに取られてからじゃ遅いわよ。 束縛の激しい彼女が出来たら今のような関係は多分無理ね」

一見すると興味なさ気に話そうとするハルナだったが、面白くて笑いを堪えているのがみえみえである

そんな性格が悪い友人に夕映とのどかは深いため息をはくが、冗談半分で言われたことが微妙に頭に残ってしまう

別に横島が好きな訳ではないが、どこかで見たような軽い女の彼女が出来て自分達の居場所がなくなるのは面白くない

そんな微妙に考え込む二人の表情を見たハルナは、満足そうな笑顔を浮かべて同人誌制作に戻っていく



一方美砂・円・桜子の三人は、麻帆良祭のガイド本や各種イベントやアトラクションのパンフレットを広げて当日までに回る計画を立てていた

正式な期間は三日間なのだが三日で全て回れるはずがないだけに、麻帆良学園の生徒は事前に見てまわる事が常識なのだ


「こんな時はやっぱり彼氏欲しくなるわね」

「麻帆良祭前になるとカップル増えるのよね。 麻帆良祭を楽しんでそのまま夏も楽しめるし……」

ビッケとクッキと戯れる桜子を眺めつつ美砂と円は麻帆良祭の行動を考えるが、男っ気がまるでない現状に僅かにため息をはく


「やっぱりこの前美砂に告白した高校生の彼もったいなかったんじゃない?」

「うーん、割とイケメンだったんだけどね……」

桜子が話に参加しないで猫と戯れてる為に二人で話を進めるが、どうやら美砂は少し前に高校生を振ったらしい

円は何故振ったのか理解出来ないようだったが、美砂はあまりパッとしない表情だ


「なんかガキっぽい気がしたのよね。 それに微妙に視線がエロくてさ~」

見た目は割とよかったのだが、何か惹かれるモノがなかったと語る美砂に円は微妙に苦笑いを浮かべてしまう

中学生の自分達が高校生をガキっぽいと語るのは、流石にどうかと思うらしい


67/100ページ
スキ